生理前・生理中はだるい…からだを軽くするだるさの対処法3つ
生理前から生理中にかけては、特に何もしていないのに体が重だるくて、動くのがおっくうになったり、気分がふさぎ込んだりしがちですよね。
この時期特有のだるさは、特に寝込むほどの症状ではないものの、だるいと感じるせいで全てのことがはかどらなくなってしまいやすく、なかなか厄介です。
なぜ生理前から生理中にかけては、こんなにだるくなりやすいのでしょう。その原因と、だるさを予防・改善する対策について説明していきます。
生理前・生理中にどうしてもだるくなってしまう理由
女性は生理前から生理中にかけては、だるいと感じることが多くなります。
この「だるい」という感覚は、どのような時に感じるのか、どのような現象をだるいと言っているのか、人によって少しずつ異なっています。
疲労感、倦怠感、体が重い感じ、動くのがおっくう、やる気が起こらない…といった感じを伴うとき「だるい」という表現が使われるようです。
私たちは、日常のさまざまな場面でだるさを感じることがありますが、その原因は次のようにさまざまです。
- 運動や仕事による肉体疲労
- 精神的な疲労
- エネルギー不足
- ビタミン・ミネラルの不足
- 睡眠不足
- ストレス
- 体調不良(貧血・感染症にかかっているとき、発熱時など)
ほとんどは活動したあとに脳や筋肉が疲労して起こるだるさですが、特に何もしていないのにだるくなるときは、睡眠不足や栄養不足などでからだの機能が低下し、疲労が回復しにくくなっていることも考えられます。
また女性も、周期的に変動するホルモンバランスの影響を受けて体調が変化し、特に思い当たる理由がないのにだるくなってしまうことがあります。
いずれの原因にしても、だるいと感じているのはからだの機能が一時的に低下している証拠です。脳が「そろそろ休んでください」「エネルギーを供給してください」というSOSを出してだるく感じることには変わりありません。
からだのSOSを受け止め、だるさをすみやかに解消するには、だるいと感じる理由を見つけてそれに合った解消法を実践する必要があります。女性がホルモンバランスの影響を受けて生理前・生理中にだるくなりやすい理由をそれぞれチェックしてみましょう。
生理前・生理中にだるくなるのはなぜ?
生理前・生理中にだるくなるのは、女性ホルモンの影響でからだがデリケートになっていて普段よりも疲れやすくなっているためです。
生理前は、女性ホルモンのひとつ「黄体ホルモン」の影響でだるいと感じることが多くなります。
排卵後から生理前の約2週間にかけては、黄体ホルモンの分泌が盛んになります。黄体ホルモンには、からだに水分をため込む作用があるため、生理前は水分が増えた分体重が増え、普段よりもからだが重だるく感じるようになります。
また黄体ホルモンには体温を上昇させる作用があり、生理前は37.0℃くらいの微熱が出ている状態になるので、人によっては熱っぽさを感じて日中でもボーッとしたりだるさを感じたりしやすくなります。
つまり、生理前のなんとなくだるい感じというのは、誰にでも起こりうる自然な体調の変化といえるのです。
また、生理前のなんともいえないだるさ、疲れやすさ、無気力感が強い場合は、ホルモンバランスの乱れによる月経前症候群(PMS)を起こしている可能性があります。
排卵後から生理前にかけては、黄体ホルモンと卵胞ホルモンの分泌量が大きく変動するため、この2つの女性ホルモンのバランスが乱れて、PMSによるさまざまな不調が起こりやすくなるのです。
PMSでだるさや無気力が起こるのは、ホルモンと連動してはたらく自律神経のバランスが乱れていること、気持ちを前向きにする卵胞ホルモンの分泌が低下していることが理由に考えられます。
PMSの症状には個人差があり、症状が強く出る人は日中にやたらと眠くなってボーッとしたり、だるくて何もする気が起きなくなったりして、仕事や家事にさしつかえてしまうことすらあります。
生理中にだるくなるのは血行の滞りに原因がある
生理中は、血行がとどこおりやすく、血液を通して全身に酸素が行き渡りにくくなるため、からだのエネルギーが不足して疲れやすくなったりだるさを感じたりします。
生理が来ると、体温を上昇させる黄体ホルモンの分泌量が減るため体温が低くなります。体温が低いときは、血管が収縮しているので全身の血行がとどこおりやすくなります。
血液には酸素や栄養を全身の細胞に送り届ける役割があるため、血行がとどこおると細胞に十分な酸素や栄養が届かなくなります。
細胞は、血液から受け取った酸素を使ってエネルギーを作ったり、栄養で細胞をリフレッシュさせたりしてからだの機能を正常に保っています。
しかし酸素が不足するとエネルギーを十分につくることができず、エネルギー切れでパフォーマンスが低下したり、細胞をリフレッシュすることができず疲労感が抜けなくなったりしてしまいます。これがだるさにつながります。
また、女性は生理の出血が原因で「鉄欠乏貧血」を起こしやすく、生理中は倦怠感や疲労感といった貧血症状を伴うことがあります。
鉄欠乏性貧血とは、体内の鉄が不足するために起こる貧血のことです。鉄欠乏性貧血を起こすと血液が酸素をスムーズに運搬することができなくなるため、からだが酸欠状態に陥って疲労や機能低下が起こりやすくなります。
血液中の酸素は、赤血球に含まれるヘモグロビンが運搬しています。ヘモグロビンを作るには鉄が必要ですが、生理の出血で鉄が失われるとヘモグロビンを十分に作ることができなくなり、血液中のヘモグロビンが少なくなってしまいます。
そのため、女性が生理中に貧血になるとからだが酸欠を起こしてエネルギー不足やからだの機能低下に至り、倦怠感や疲労感が起こりやすくなるのです。
女性は毎月の生理で鉄を少しずつ損失しているため、食事から鉄の補給が間に合っていないと、普段から慢性的な鉄不足におちいりやすく、生理が来た時に鉄欠乏性貧血を起こしやすくなります。
生理中のだるさが貧血から来ている、ということに気づかない人は意外に多いものです。生理がある人の約5割は鉄不足ともいわれ、貧血予備軍の人が増えているので、女性は普段から鉄不足に注意が必要です。
生理前・生理中のだるさを解消・予防する具体的な方法3つ
この時期特有のだるさは女性ホルモンが周期的に起こしているので、多少だるくなるのは自然な現象ともいえるでしょう。あまり「だるくてイヤだ、ゆううつだ。」と体調を否定せず、自分の体調を受け入れることも大切かもしれません。
生理前・生理中はどうしてもスッキリしない日が続きますが、きちんと体調管理をおこなえば女性ホルモンや自律神経のバランスが整い、だるさなどの不快な症状を緩和させることができます。
生理前・生理中は、普段よりもからだが負担を感じやすく疲れやすい状態になっているので、オーバーワークは避けましょう。活動のペースを少しゆっくりめにして、あまり無理をしないように過ごすことをおすすめします。
あわせて次の対策を日常生活に取り入れて体調を整えていきましょう。
1.睡眠をしっかりとる
意識して睡眠の質を高め、睡眠中に前日の疲労をきちんとリセットしましょう。
生理前から生理中にかけては女性ホルモンの影響で眠気を感じやすくなります。そのため、よく眠れて睡眠時間は確保できていると感じている人が多いかもしれません。
ただし、日中にやたらと眠くてだるく感じる場合は、ホルモンや自律神経のバランスが乱れているために夜間の睡眠が浅くなり「よく寝たつもりでも、実は質の良い睡眠が確保できていない」という可能性も考えられます。
生理前・生理中は、質の良い睡眠がとれるよう、安眠対策を心がけましょう。
就寝前にはリラックスを心がけ、自律神経を夜間モードの副交感神経に切り替えます。就寝前に日中モードの交感神経がたかぶっていると、寝つきが悪くなったり、眠っているつもりでも睡眠が浅くなったりします。
自律神経を交感神経から副交感神経にスムーズに切り替えるには、就寝の1~2時間くらい目に38~40℃のお風呂にゆっくりつかって、からだを温めるのが効果的です。
また、寝る前のインターネットやテレビの使用は交感神経を刺激するので、安眠のためには使用を控えることがのぞましいです。
2.適度な運動をして血行を促進させる
適度な運動には全身の血行を促進させ、からだの機能を高める効果があります。自律神経とホルモンのバランスも整うので、PMSや生理中の不調を予防・緩和させる効果も大いに期待できます。
ただし、からだに負担がかかりやすい時期なので、激しいスポーツやかえってストレスになってしまうようなスポーツは控えます。楽しみながらゆったりおこなえる運動を取り入れましょう。
たとえば、ウォーキング、水中ウォーク、ヨガ、ゆるやかなダンスなどがおすすめです。
「だるいときにわざわざ動く気になれないわ。」と感じる人もいるかもしれませんね。実は、だるいとき無理のない程度にからだを動かしたほうが、かえって疲労感が早く解消することも多いのです。
血行が促進されると細胞に酸素がたくさん行き渡り、効率良く疲労を解消させることができます。無理のない程度にぜひ試してみてください。
また、適度な運動は精神的なストレスや脳の疲れをリフレッシュさせる効果も高いので、生理前・生理中特有の気分的なだるさ、無気力感の解消にもおすすめです。
3.食べ物でだるさを改善する
だるいと感じているときは、からだが疲労の回復しにくい状態になっているので、疲労回復に役立つ栄養素を意識して摂取するとよいでしょう。
だるさを改善するため特に摂取したい栄養素は、ビタミンB1・B2・B6、ビタミンC、クエン酸です。あわせてビタミンB1のはたらきを高める硫化アリル、産官学連携プロジェクトによって抗疲労作用が確認されている成分「イミダペプチド」をとるのがおすすめです。
また女性は生理中の貧血が原因でだるくなることがあるので、貧血予防に鉄をしっかり補給することも大切です。
▼生理前・生理中のだるさを改善する栄養素
栄養素 | はたらき | 含まれている食品 |
---|---|---|
ビタミンB1 | 糖質をエネルギーに換える 疲労を回復する |
豚肉 にんにく えだまめ |
ビタミンB2 | 脂質をエネルギーに換える | レバー 納豆 卵 |
ビタミンB6 | たんぱく質をエネルギーに換える ホルモンのバランスを整える |
レバー 魚 肉 ナッツ類 |
ビタミンC | 疲労を回復する ストレスに対抗する |
パプリカ かんきつ類 キウイフルーツ |
クエン酸 | 疲労を回復する | かんきつ類 酢 梅干し |
硫化アリル | ビタミンB1のはたらきを助ける | ねぎ たまねぎ にんにく |
イミダペプチド | 疲労を回復する | 鶏肉 赤身魚 |
特に甘い物やご飯・パン・スナック菓子など糖質が多く含まれる食べ物をよく食べる人は、糖質をエネルギーに換えるビタミンB1がたくさん必要です。ビタミンB1が不足するとだるさ、抑うつ、集中力の低下が起こりやすくなるので注意してください。
ゆっくり過ごしましょ!生理前・生理中は無理をしないで
生理前から生理中にかけては、女性ホルモンのバランスが大きく変動し、1ヵ月の中で最も不調が起こりやすい時期にあたります。
体調がスッキリしないのは嬉しいことではありませんが、この時期はゆっくり過ごすためにもうけられた時期だと考えて、あまり無理をせずにからだを休めるとよいでしょう。
また、休養したり体調を整えたりしてもだるさが改善されない場合、疲労感が激しい場合は、ほかに原因がひそんでいる可能性があるので、受診されることをおすすめします。