生理中の寒気を原因から解決。冷えの対処法まとめ

生理前から生理中にかけてはさまざまな不調が起こりやすい時期です。特に生理中は生理痛だけでもつらいので、不快な症状を伴うと、生理がゆううつになってしまいますよね。その代表的な症状に「冷え」があります。

なぜ生理中は冷えやすいのか、この冷えを予防・改善するにはどうすればよいのか、生理中の冷えが起こる原因と対処法について説明していきます。

生理中は月経随伴症状により冷えを感じる

生理中は、下腹部痛、冷え、腰痛、吐き気…などさまざまな症状が起こります。

生理痛は痛み止めで対応するものの、その他の不快な症状は生理が終わると自然に消えることもあって「生理中だから仕方ないかな」と特別な対処をすることなく、やり過ごしている女性が多いのではないでしょうか。

これらの不快な症状には「月経随伴症状」というれっきとした名称があり、生理のある人の約4割になんらかの月経随伴症状がみられることがわかっています。

月経随伴症状のなかでも、多くの人が感じているのが、からだの冷えです。個人差もありますが、生理中の冷えにはこのような特徴があります。

  • 生理が来ると体中が冷えて寒気がする
  • お腹や腰が冷える
  • 手足が冷たい
  • お腹が冷えて生理痛が強くなる
  • 冷えから頭痛が起こりやすくなる

生理痛だけでもつらいのですが、冷えると心とからだまでギュッとこわばりやすくなるので、生理の痛みやストレスが増してしまいますよね。

そもそも、からだはなぜ冷えるのでしょう。

冷えというのは、血行がとどこおった場所にあたたかい血液が十分に流れてこないため、その場所だけ冷たいように感じる現象です。

女性はもともと体が冷えやすい構造になっているため、生理に関係なく冷えやすいのですが、生理中は次に挙げる理由のため、普段よりもさらに体が冷えやすくなってしまうのです。

  • ホルモンの変動によって生理中は体温が低下するため
  • プロスタグランジンが血管を収縮させ、血行が悪くなるため
  • 生理による貧血が原因で血行が悪くなるため

ではなぜ生理中はこのような現象が起こるのか、続いて説明していきたいと思います。

生理中、いつもよりからだが冷えやすいのはなぜ?

生理中にからだが冷えるのは、次のような理由が重なってあらわれるためです。

ホルモンの影響で体温が下がるため

生理が来るとホルモンの影響で体温が下がるため、寒気や冷感を感じやすくなります。これが生理中に冷えを感じる第一の理由です。

生理のある女性は、基礎体温(起床後など安静時の体温)が生理周期に合わせて低くなったり高くなったりしています。生理開始から排卵日までは低温、排卵後から生理開始前までは高温になるのが特徴です。

個人差はありますが、高温期は体温が37.0℃くらいまで高くなり、生理が来ると36.5℃くらいまで一気に低くなって生理中はそのまま低温が続きます。

生理前は体温が高めなので、熱っぽい感じやほてる感じがしますよね。生理が来ると体温は平熱に下がります。そのため、生理が来ると体が冷えたような感じがするのです。

女性の基礎体温をコントロールしているのは、女性ホルモンのひとつ「黄体ホルモン(プロゲステロン)」です。

黄体ホルモンは妊娠を助けるホルモンで、妊娠しやすくするために子宮内膜を厚くしたり体温を上昇させたりする役割があります。

生理前は妊娠に備えて黄体ホルモンの分泌量が多くなり、それに伴って体温が上昇しますが、妊娠が成立しないと分泌量が急激に少なくなり、その影響で子宮内膜がはがれて生理が起こり、体温を高く保つ作用もなくなってしまうのです。

生理前に体温が高くなって生理が来たら体温が低くなるのは、ホルモンのはたらきが正しく行われている証拠で、生理中に「からだがあまり温かくない」と感じるのは、ごく自然な感覚ともいえます。

冷えの起こり方には個人差があり、あまり気にならない人もいれば、悪寒や冷感がひどく気になってつらく感じたり、冷えがほかの諸症状を引き起こす人までさまざまです。もちろん、冷えないほうが良いに越したことはありません。

また、生理前は体温が高いのでからだが温かいはずですが、冷えを感じるという人も少なくありません。生理前の冷えは、女性ホルモンや自律神経のバランスの乱れが原因で血行がとどこおるために起こります。

生理前は、手足などの末端が冷えたり、冷えにのぼせやイライラを伴ったりしやすいのも特徴です。

プロスタグランジンが血管を収縮させるため

生理中は、下腹部や腰に冷えを感じやすくなります。子宮を収縮させる「プロスタグランジン」という物質が骨盤内の血管も収縮させ、骨盤内の血行が滞ってしまうためです。

生理痛を起こしているのもプロスタンジンです。痛みや炎症を起こす作用があり、生理になると子宮の収縮に伴って下腹部痛を引き起こします。

プロスタグランジンは悪者のようにも見えますが、経血を子宮の外に排出させるという重要な役割を持っています。

生理は、はがれた子宮内膜を経血と一緒に子宮から排出するために起こっているのですが、子宮口(子宮の入り口)はストローくらいの太さしかないので、経血はスムーズに排出されません。

そのため、子宮をぎゅっと収縮させて経血を押し出す目的でプロスタグランジンが生成されるのです。

ただ、人によってはプロスタグランジンが多く生成されることがあり、子宮の収縮が強くなって痛みや冷えが起こりやすくなってしまうのです。

貧血が原因で血行が悪くなるため

生理による貧血(鉄欠乏性貧血)は血行をとどこおらせ、血液が熱を全身に送り届けるのをさまたげます。そのため貧血の人はからだが冷えやすくなります。

鉄は、赤血球を構成するヘモグロビンの材料になります。ヘモグロビンには、血流に乗って酸素を体のすみずみに運搬する役割があります。

しかし出血によって鉄が不足すると、血液中の酸素が少なくなって、血液の循環がとどこおりやすくなってしまうのです。

特に血液の循環が悪くなると、心臓から遠い場所にある手足に温かい血液が行き届かなくなるので、生理中は手足の冷えを感じる人も多くなります。

生理中の冷えを予防・解消するには

生理中は体温が下がるため、誰でも多少の冷えを感じるのが自然な現象ということがお分かりいただけたと思います。

ただ、冷えがあると、生理痛が重くなったり、腰痛、むくみなどの月経随伴症状が起こりやすくなるので、冷えを放置するのは良くありません。

なるべくからだが冷えないように注意して過ごし、もし冷えを感じたらすぐに体を温める対策をとることが大切です。

熱は筋肉で作られますが、女性は男性よりも筋肉量が少ないため熱を作るちからが弱く、どうしても体が冷えやすくなります。もともと冷え症の人は生理が来た時に冷えが悪化しやすいので、普段から体を温めて冷え性を予防しておきましょう。

冷え症の基本的な予防対策
  • 冷たい物は内臓を冷やすので避け、温かい食べ物・飲み物をとる
  • ショウガ、ネギ、ココアなどからだを温める成分が含まれる食品をとる
  • 薄着を避けてからだを保温する
  • きつい下着やからだを締め付けるファッションで血行をさまたげない
  • 適度な運動で血行を促進させ、熱を生み出す筋肉を増やしておく
  • お風呂はシャワーで済まさず湯船につかって、からだをじっくり温める
  • 強い冷房を避け夏でもブランケットや上着を活用し、冷えを防ぐ

冷えやすい生理中は、日常生活で上記の冷え対策を丁寧に実践します。くわえて、次の対策を取り入れて、生理特有の冷え、冷えに伴う不快な症状を解消していきましょう。

使い捨てカイロや腹巻でおなかや腰を集中的に温める

生理中は、プロスタグランジンの作用によって骨盤内の血行がとどこおりやすくなるので、おなかや腰を温めて血行を促進させましょう。腹巻や使い捨てカイロを使うと、お腹や腰を集中的に温めることができます。

お腹や腰が冷えると生理痛が強くなり、温めると軽くなることから、生理中には習慣的にお腹や腰を温めるという方も多いと思います。

生理中に冷えると下腹部や腰の痛みが強くなるのは、骨盤内の血行がとどこおることで子宮筋が過剰に収縮して痛みが強くなったり、骨盤内の筋肉がこわばって神経を圧迫するためです。

お腹や腰を温めて骨盤内の血流が促進されると、子宮筋や子宮周辺の筋肉の緊張がほぐれ神経の圧迫がやわらぐので、腹痛や腰痛が楽になります。生理前の下腹部痛や腰の重だるい感じを緩和する効果もあります。

また骨盤内には太い血管が通っているため、お腹や腰を温めると温かい血液がたくさん全身に送られるようになるため、効率良く全身の冷えをやわらげることもできます。

ショーツの上に腹巻を着用すると、お腹と腰がポカポカしていい気持ちです。薄手のものはファッションを邪魔しないので、日中もこっそり着用することができますね。

使い捨てカイロを入れるポケット付きのもの、遠赤外線効果で体を温めるものなど機能的な腹巻を活用すると、より効果的です。

使い捨てカイロは平均温度が50℃くらいで、腹巻よりもさらに温熱効果が高まります。

ただ、子宮を直接温めると、子宮の血行が良くなりすぎて一時的に出血量が増えてしまうことがあります。

貧血の人、子宮筋腫など子宮の持病があってもともと経血量の多い人は、貧血が悪化する可能性があるので、子宮よりも少し上にカイロを当てることをおすすめします。

ウォーキングや軽いストレッチをする

冷えをとるには、適度な運動がおすすめです。運動には血行を促進させてからだを温め、女性ホルモンのバランスを整えて月経前困難症(PMS)や生理のトラブルを予防する効果があります。

ただ、生理中は普段よりも体調がデリケートになっているので、からだに負担のかかる運動は良くありません。自分のペースに合わせてウォーキングをしたり、下半身の軽いストレッチをするのがおすすめです。

ウォーキングには、大きな負担をかけずに全身の血行を促進させる効果があります。特に足腰の筋肉を動かすので、生理中に血行がとどこおりがちな下半身を温める効果が抜群です。

下半身のストレッチには、股関節のこわばりをほぐして骨盤から脚への血液の循環をスムーズにしたり、骨盤内の血行を促進させる効果があります。おすすめのストレッチを2つ紹介しましょう。

足首まわし
  1. 床の上に両足を伸ばしてすわる。
  2. 左の足首を左手でつかんで、そのまま右の脚の上に左足の足首を乗せる。
  3. 右手で左足の指をつかみ、足首から先をゆっくり回す。
  4. 逆の足で1~3をおこなう。
開脚
  1. 床の上にすわり、無理をしない程度に脚を大きく開く。
  2. そのまま、息をゆっくり吐きながらからだを前に倒していく。

股関節や筋肉に痛みを感じたら、それ以上からだを動かすのはやめましょう。「痛きもちいい」と感じる程度でゆっくり行うのがコツです。

生理中は関節や筋肉のこわばりを感じやすいのですが、しっかりほぐそうとすると負担をかけてしまうので、力はセーブして軽めにおこないましょう。関節や筋肉を傷めて痛みが増したり、血行が良くなりすぎて経血量が強くなったりする可能性があります。

生理中は「足腰がポカポカしてきた」「痛いところが楽になってきた」と心地良さを感じる程度にからだを動かすのがおすすめです。

食事はしっかりとる

規則正しい食生活を心がけることは健康管理の基本です。特に生理中は体調を崩しやすいのでバランスよく栄養をとることがとても大切です。エネルギー源が不足すると熱がしっかり作られなくなるので、生理中の食事制限はあまりおすすめできません。

熱を作るためには主に糖質、熱を生み出す筋肉を維持するにはたんぱく質が必要です。ダイエットや糖質制限などでこれらの重要なエネルギー源が不足すると、体温が低くなりやすいので注意しましょう。

ダイエットが必要な人も、少なくとも生理中はハードな食事制限は避けることをおすすめします。

また、生理中は鉄が不足して貧血による冷えも起こりやすくなります。意識して鉄をしっかり摂取するように心がけましょう。

生理中の貧血を予防する食生活については生理中は貧血にも要注意!生理中に貧血が起こる原因と解消法で詳しく説明しています。

ツボ指圧で生理中の冷えをやわらげる

ツボ指圧には、副作用なく体を温める効果があります。

生理中の冷えをやわらげるツボ:三陰交
三陰交(さんいんこう)は、内くるぶしから指の幅3本分上で、押すと圧痛を感じる場所にあります。冷えや婦人系のトラブルの特効ツボなので、女性はぜひ活用しましょう。

冷え性や生理痛を改善する効果のほか、女性ホルモンのバランスを整える作用、腎臓・泌尿器系のトラブルを改善する作用も期待されています。

内くるぶしの上に4本の指をあて、人差し指の腹を押すと三陰交が指圧しやすいです。足首が隠れる長さの靴下を履いたり、足湯をして三陰交のある所を温めるようにするのも効果的です。

生理中の冷えをやわらげるツボ:関元
関元(かんげん)は、へそから指4本分下にある、生殖器や泌尿器の特効ツボです。

女性は下半身の冷えや生理痛の緩和、卵巣の機能を高める効果が期待できます。また腸の調子を整える作用があるので、生理中に軟便や下痢を伴いやすい人にもおすすめです。

関元を指圧するときは、へそのすぐ下に両手のひらを当て、人差し指と中指の腹でやさしく押すとよいでしょう。へその下に使い捨てカイロを当てると、お腹も温まり関元も刺激され一石二鳥です。

生理中の冷えをやわらげるツボ:中りょう
中りょう(ちゅうりょう)は、仙骨という平らな腰の骨にある左右8つのくぼみのうち、下から数えて2番目にあるツボです。

子宮の血行を促進させ、お腹の冷えや生理痛をやわらげる効果があります。

神経の上を通っているツボなので、骨盤内の臓器の機能を高めたり、腰痛をやわらげたりする効果が期待されます。また、PMSや不妊症の改善にも効果が期待されています。

お尻より少し上に手のひらを当て、親指の腹で中りょうをやや強めに押すと気持ちがよいでしょう。

中りょうのすぐ近くには同じ経絡のツボが集まっているので、この辺りをまとめて押すのもおすすめです。もちろん、カイロで温めるのも大変効果的です。

女性の冷えをやわらげるツボは、生理痛や生理のトラブルを改善する効果を備えているものが多いです。覚えておくと、とても役立つでしょう。

冷えは万病のもと…生理中の冷えは放置せずしっかり改善を

冷え自体は病気というわけではありませんが「冷えは万病のもと」という言葉を耳にするように、冷えが生理を重くしてしまったり、ほかの病気をまねいたりしてしまうことがあります。

女性は生理中にからだが冷えないよう、積極的に冷え対策を心がけましょう。

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