ホルモンバランスが乱れる原因9つ。意外?あの行動がまさか…

女性の心身を健康に保っているのが、2つの女性ホルモン「卵胞ホルモン」「黄体ホルモン」です。

女性ホルモンは周期的に分泌量を変動させながら互いにバランスを取り合い、女性の体にさまざまな作用をもたらします。

しかし、女性ホルモンを分泌するメカニズムはとてもデリケートなので、どこかでちょっとしたトラブルが起こるとすぐにホルモンのバランスが乱れて、女性特有の不調を引き起こしてしまうのです。

では、どのようなときにホルモンのバランスが乱れてしまうでしょう。女性は回避したい「ホルモンバランスが乱れる原因」について説明いたします。

ホルモンバランスが乱れるってどういうこと?原因は大きく分けて2つある

よく「女性ホルモンのバランスが乱れる」といいますが、これはどういうことなのでしょう。

ホルモンのバランスが乱れるとは、ホルモンの分泌がスムーズにできず、卵胞ホルモンまたは黄体ホルモンの分泌量が必要以上に多くなったり少なくなったりしてしまう状態のことです。

ホルモンバランスの乱れは病気に関係ないことが多い

女性ホルモンが乱れる原因を大きく分けると、

  • 器質的な原因(体になんらかの異常があって起こるもの)
  • 機能的な原因(検査をしても特に異常は見つからないのに起こるもの)

の2つがあります。

ホルモンバランスの乱れのほとんどは「機能的な原因」によるちょっとした「ゆらぎ」で、特に治療を急ぐものではありません。

一方、器質的な原因には、

  • 内分泌系の病気…バセドウ病(甲状腺機能亢進症)、プロラクチン産生腫瘍
  • 卵巣の病気…卵巣機能不全、多嚢胞性卵巣症候群(PCO)

などが挙げられ、早めの治療が必要です。

無月経や生理不順が長く続く場合は、これらのトラブルが疑われ、婦人科を受診して原因を特定させることがのぞまれます。

この記事では、病気が原因になっているケースを対象外とし、誰にでも起こりうる機能的なホルモンバランスの乱れ、ホルモンバランスがゆらぐ原因を紹介していきます。

ホルモンバランスの乱れはこうして起こっている

「ホルモンのバランスが乱れる」と言われるとき、体内ではどのようなことが起こっているのでしょうか。

私達の体内では、100種類ほどのホルモンが必要に応じて分泌され、体の機能を動かしています。これらホルモンの分泌をコントロールしているのが、脳にある「視床下部」というところです。

血液中のホルモンが不足してくると、脳にある「下垂体」へ「もっと○○ホルモンを分泌させなさい」と指令を送り、そのホルモンが十分に増えると「ホルモンの分泌をひかえなさい」と指令を送り、ホルモンの量をコントロールしています。

視床下部が司令塔となって、血液中のホルモン濃度を常に監視しては下垂体に指令を送り、次に下垂体が各内分泌腺にホルモンの分泌を促すことで、それぞれのホルモンがバランスを取り合いながら分泌し、体を健康に保つことができるのです。

ホルモンの分泌に関するこの仕組みは「フィードバック機構」と呼ばれています。

女性ホルモンの場合、視床下部が脳下垂体に指令を送り、脳下垂体が卵巣に指令を送ることで分泌されています。

フィードバック機構がスムーズにはたらいていると、卵巣から卵胞ホルモンや黄体ホルモンがバランス良く分泌され、規則正しく排卵や生理を繰り返すことができます。

ただし視床下部は、ホルモンの分泌だけでなく自律神経や免疫機能など重要な機能をつかさどる場所で非常にデリケートなため、ちょっとしたことで機能が乱れやすい場所でもあります。

しかも、下垂体は視床下部と近い場所にあるため、視床下部が刺激を受ける時には下垂体もすぐ反応し、視床下部が混乱すると下垂体も混乱して女性ホルモンを分泌する機能が低下してしまうことがあるのです。

特に、自律神経のバランスが乱れる時には女性ホルモンを分泌する機能も低下しやすくなってしまいます。

女性ホルモンを乱す主な原因

女性の体に負担をかけると、視床下部が反応してフィードバック機構が乱れ、ホルモンバランス乱れやすくなります。ホルモンバランスを乱す主な原因となっているのが次の9つです。

  • ストレス
  • 睡眠不足
  • 栄養バランスの悪い食生活
  • 肥満
  • 過剰なダイエット
  • 運動不足
  • 激しいスポーツ
  • 喫煙
  • 冷え症

続いて、これらの原因がなぜホルモンバランスを乱すのか説明していきます。

1.ホルモンバランスが乱れる原因の代表!ストレス

女性ホルモンのバランスを乱す最も大きな原因がストレスです。

ストレスを感じたときに心臓のドキドキする感じや発汗などのアクションを体に起こすのは、自律神経の役割です。

ストレスを感じると、自律神経をつかさどる視床下部が反応するたびに下垂体も刺激を受けてしまいます。そのためストレスを感じることが増えると、下垂体の機能が混乱をまねき、女性ホルモンのバランスが乱れやすくなってしまいます。

女性が受けやすいストレスには、人間関係、仕事、恋愛、結婚、勉強、環境の変化などがありますが、ストレスや悩みの重なるときは、気持ちがふさぐだけでなく、体の調子まで良くないと感じることが多いはずです。

これはストレスに反応した交感神経が過剰にはたらき過ぎ、副交感神経とのバランスが乱れてしまったために起こる、自律神経失調の症状です。

自律神経のバランスが乱れているとき、自覚はできませんが体内では女性ホルモンのバランスも不安定になっているので「ストレス感じるとすぐ具合も悪くなるのよね」と感じることが多い人は、ホルモンバランスのためにもストレス管理を心がけましょう。

また、強いストレスは下垂体から分泌される「プロラクチン」というホルモンの分泌量が増え、黄体ホルモンの分泌をさまたげ無排卵や無月経などの症状を引き起こすこともあります。

2.睡眠不足もやっぱりホルモンバランスを乱す

睡眠には、体や脳の疲労をリセットする重要な役割があります。

健康を維持するためにも女性ホルモンを分泌させるためにも、毎日ぐっすり眠ることが欠かせません。睡眠不足になると脳がしっかり休息できないため、下垂体の機能が低下して女性ホルモンがスムーズに分泌できなくなります。

ちなみに、日本人の女性の平均睡眠時間は、20代前半で7時間55分、20代後半で7時間44分なのだそうです。(総務省「平成23年社会生活基本調査」の結果)

健康のために理想的とされる睡眠時間は7時間前後といわれるので、20代女性はだいたい睡眠がきちんととれているみたいですよね。みなさんはどうでしょうか?

もしも睡眠時間が6時間を切っている人は、睡眠時間が少し不足しているので、なるべく睡眠時間を確保することをおすすめします。

また睡眠は時間の長さも大切ですが、睡眠の質(熟睡できたかどうか)も重要です。睡眠時間が短めでもぐっすり眠れていれば疲労をしっかり修復させることができます。

夜更かししたり寝る直前までスマートフォンを見たりして過ごすと、交感神経が興奮して体が覚醒してしまい、自然と睡眠が浅くなってしまいます。

自分ではたくさん寝たつもりでも睡眠の質が悪いと脳や体の疲労がとり切れないので、女性はホルモンバランスのためにも質の良い睡眠を心がけましょう。

3.栄養バランスの悪い食生活でホルモンはがたがたに…

私達の体は食事から摂取する栄養素で作られているので、体の機能を動かすために必要な栄養素が不足すると、体の調子が悪くなってしまいます。

ホルモンを分泌するためにもさまざまな栄養素が必要です。

  • ホルモンの材料…脂質など
  • ホルモンを分泌するとき必要な酵素・補酵素の材料…ビタミン、ミネラルなど
  • 内分泌系の器官を動かすエネルギー…炭水化物、たんぱく質、脂質

これらの栄養素が揃っていないと、ホルモンを分泌する機能がスムーズにはたらきません。

例えば、毎日お腹いっぱい食べたり、グルメを楽しんだりして、食に満足できていても、ビタミンやミネラルなどが不足していれば女性ホルモンはきちんと分泌されません。

健康を気づかってサプリメントでビタミンやミネラルを十分に補給していても、食事があまりとれていないと、エネルギーが不足して内分泌系の器官を元気に動かせないこともあるでしょう。

一般に、現代の日本人の食生活は、ビタミンやミネラルが不足しやすい傾向にあります。

軟水を飲んでいる日本人は硬水を飲んでいる外国人よりも自然とミネラルが不足しやすいと言われます。また、野菜・果物の摂取量が少なめなのでビタミン・ミネラルが十分に摂取できないのもその理由になっています。

外食や加工食品、お菓子はビタミンやミネラルがとりにくいので、これらが食生活の中心になっている人は注意が必要です。

また、糖質、脂質、アルコール、タバコは、体内で代謝される時にビタミンをたくさん消耗するため、甘いものや油の多い食事を好む人、飲酒、喫煙をすることが多い人もビタミンが不足しやすくなります。

規則正しい食生活は健康管理の基本ですね。女性はホルモンバランスのことも考えたいので、栄養バランスにはしっかり気を配りましょう。

4.肥満は不妊症や生活習慣病のリスクが高くなるだけじゃない

肥満も、ホルモンバランスを乱す大きな要因になっています。

実は、肥満と女性ホルモンの分泌は深い関係があり、体脂肪率が高くなると女性ホルモンがスムーズに分泌されなくなり、生理不順や不妊症を招きやすくなってしまうのです。

体肥満体形の女性の約6割に、月経異常(無月経、稀発月経、過少月経)が認められるという報告もあります。

肥満とは体脂肪が多い状態のこと、別の言い方をすると「脂肪細胞が肥大化した状態」になります。

「脂肪細胞」は体型に関わらず誰の体にもあるもので、体を保護するために脂肪を蓄えたり、善玉ホルモンと呼ばれる「アディポネクチン」を分泌して体の調子を整える役割があります。

しかし、肥満細胞がいったん肥大してしまうと、アディポネクチンが分泌されにくくなってしまいます。

アディポネクチンが不足すると卵巣の機能が低下し、卵子が育ちにくくなったり排卵が起こりにくくなったりします。すると排卵の刺激で起こるフィードバック機構がスムーズに機能しなくなるため、女性ホルモンの分泌に異常が起こりやすくなるのです。

女性の肥満の多くは、食べ過ぎや運動不足によるものです。ただ、まれに多嚢胞性卵巣症候群(PCO)など病気が原因で起こる場合もあるので、肥満体形で生理不順が気になる人は、婦人科で血液検査等を受け健康状態をきちんと把握されることをおすすめします。

いずれにしても体脂肪率が高い女性は、不妊症や生活習慣病のリスクが高くなってしまうので、肥満体型の人はダイエットすることがすすめられます。

5.肥満もダメだけど過剰なダイエットもダメ!

適切な体形をキープするためのゆるやかなダイエットは問題ありません。ただし過剰なダイエットは健康を害しやすく、特に女性はホルモンバランスが大きく乱れてしまう危険性があるので注意が必要です。

断食や「○○抜きダイエット」など、急激に栄養素が不足するような食事制限は、体に大きな負担をかけやすいです。

強い食事制限を長く続けると体重は落とすことはできますが、体が慢性的なエネルギー不足の状態になるので、卵巣に栄養が行き届かず、女性ホルモンを分泌する機能が低下してしまいます。

さらに栄養の欠乏した状態が長く続くと、卵巣から卵胞ホルモンが分泌できなくなって排卵が止まり、無月経が起こりやすくなります。

卵巣は、いったん卵巣機能が大きく低下すると元に戻りにくく、若くても卵巣の老化が進行してしまうこともあるので注意が必要です。

若い女性の卵巣が老化すると、子供が欲しいと思ったときに妊娠できなくなったり、40代以下で閉経を迎えたりするなどのトラブルを起こすこともあります。ですから栄養不足になるほどの過剰なダイエットは避けるようにしてくださいね。

6.ホルモンバランスを整えたい女性にはハードなスポーツはおすすめできない

適度な運動は、健康にも良くストレス解消にもなるのでおすすめです。ただし、激しいスポーツは体に大きな負担がかかるので、ホルモンバランスを整えたい女性が行う時は注意が必要です。

アスリート、ハードなスポーツを継続して行っている人は、そうでない女性に比べて生理不順や無月経などの月経異常が起こりやすいことが分かっています。

これは、スポーツのエネルギー消費量が大き過ぎて食事が追い付かずに体に必要な栄養素が欠乏しやすいこと、卵胞ホルモンの分泌を促進する体脂肪が極端に少ないことから、卵巣機能が低下してしまうために起こっています。

また、卵胞ホルモンが不足すると骨密度が低下するため、アスリートの女性には骨粗しょう症や疲労骨折が起こりやすいことも問題になっています。

女性が体に負担のかかるスポーツを行う際は、専門家のアドバイスに従って体調管理をきちんと行わなければなりません。特に成長期の女の子は、女性ホルモンが分泌できないと卵巣や子宮の発育が遅れやすくなるので注意が必要です。

7.ハードな運動はダメ、でも運動不足もダメ!

運動不足もホルモンバランスが乱れる原因になってしまいます。

適度な運動には血行を促進させ、血液と一緒に酸素と栄養を全身にしっかり行き渡らせる効果があります。血行が良いと各器官に十分な酸素や栄養を送ることができ、女性ホルモンを作ったり分泌させたりする機能が活発にはたらくようになるのです。

しかしあまり運動しないと血行がとどこおって、脳や卵巣に送られる酸素や栄養が減り女性ホルモンを分泌する機能が抑えられてしまいます。

肥満の原因になるという意味でも、運動不足は健康のために良くありません。

8.喫煙はもってのほか!女性には避けてほしいタバコの習慣

喫煙が健康に害を及ぼすことは言うまでもありません。もちろんホルモンバランスにも良くない影響をおよぼします。

喫煙すると、タバコの煙に含まれる一酸化炭素が血管が収縮させるので、血行が悪くなってしまいます。またニコチンがビタミンCを消耗し、ストレスに対抗する力や免疫力を低下させてしまいます。

女性は妊娠中の喫煙が胎児に悪影響を及ぼし、乳がん、子宮がん、卵巣がんのリスクも高まるので、ぜひ禁煙する習慣をおすすめします。

9.女性のお悩み、冷え症もホルモンバランスを乱してしまう

女性の7割が冷え症だといわれますが、体の冷えもホルモンバランスを乱す原因になってしまいます。

冷えとは、血行がとどこおって、熱を運ぶ血液が体の隅々まで行き渡らないために起こります。体の血行が悪いと、卵巣にも十分な血液が行き渡らず卵巣の機能が低下しやすくなってしまいます。

体が冷えると痛みを感じやすくなるので、冷え症は生理痛、PMSにも良くありません。また、不妊症の女性には冷え症が多いとも言われます。

女性の体は男性に比べ血行がとどこおりやすい構造になっていて、放っておくと冷え性になりやすいのです。女性は日頃から意識して体を温めるようにしましょう。

こんな人はホルモンバランスが乱れているかも!

思い当たる理由がないのに不調が次々とあらわれるときは、ホルモンバランスが乱れているかもしれません。特に次に挙げるような症状が起こりやすい人は、その可能性が大きいです。

ホルモンバランスが乱れているときに起こりやすい症状
  • 生理周期がバラバラになりやすい
  • 生理前になると体調が悪くなったりニキビが出たりする
  • 排卵期や生理前に少量の不正出血や鈍い下腹部痛などの症状がある
  • 風邪をひきやすい
  • イライラしやすい・落ち込みやすい
  • 疲れやすい
  • のぼせたり冷えたりしやすい
  • 肌が乾燥する・かゆくなる
  • 爪が割れる

ホルモンバランスが乱れる原因のほとんどは生活習慣にあります。「ホルモンバランスが乱れているかもしれない」と思ったら、生活を振り返ってホルモンバランスを乱す原因を見つけ、ホルモンバランスの改善に努めましょう。

女性ホルモンのバランスを整える方法については、次の関連記事で詳しく説明しています。

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