イブの効果と副作用。処方成分を比較しぴったりなシリーズを選ぼう

「イブ」は薬局やCMでもよく目にする鎮痛剤のひとつ。

さまざまなメーカーからイブプロフェン配合の薬が販売されているにもかかわらず「イブプロフェンといえばイブ」といったイメージがすっかり定着しています。

これはイブという名前の力も大きいのですが、それだけでなくイブが薬局で買えるイブプロフェン製剤の「元祖」だということも関係しています。

人気の高いイブは、生理痛によく効く薬なのでしょうか？イブの特徴、選び方についてチェックしてみましょう。

イブってどんな薬？イブの特徴・有効成分について

エスエス製薬の「EVE（イブ）」は「イブプロフェン」を配合した解熱鎮痛薬です。

1985年にイブプロフェンを配合した初めてのOTC医薬品（薬局で買える市販薬）として「イブ」がデビュー、現在は次の5種類が展開されています。

▼イブシリーズ

• イブ
• イブA錠
• イブA錠EX
• イブクイック頭痛薬
• イブクイック頭痛薬DX

イブは、頭痛や生理痛に速く効くことで、特に女性を中心に支援されている薬です。

イブという名前は、成分のイブプロフェン（Ibuprofen ）に由来していることが一目瞭然ですね。

また聖書に出てくる人類の父と母「アダムとイヴ」のイヴ（＝EVE）が連想され、なんとなく女性をターゲットにした薬ということがうかがえます。

ちなみに、皇漢堂製薬からは、イブA錠と同じ処方のジェネリック医薬品に「アダムA錠」という名前が付けられています。

「イブ」シリーズの特徴

「イブ」シリーズに共通するのは次に挙げる特徴です。

イブのラインナップは、シンプルな処方の「イブ」と、イブに補助成分を配合した4つで構成されています。

イブ（指定第2類医薬品）

※1回分のコストはメーカー希望小売価格を参照に算出

イブプロフェンはどんな効果をもつ成分？副作用が起きにくいのが特徴

イブの主成分イブプロフェンは、抗炎症・解熱・鎮痛作用を持つ消炎鎮痛剤です。

イブプロフェンは、痛みの種類にかかわらずさまざまな痛みに対応して効く薬ですが、中でも「プロスタグランジン」という物質の過剰なはたらきが原因で起こる生理痛や頭痛などをしずめるのが得意です。

特に、生理痛、歯痛、外傷痛のように「原因がはっきりしている痛み」を止める目的で短期間に限定して使う場合は、安全性も高くすぐれた薬だといわれています。

このようにプロスタグランジンのはたらきをおさえて痛みをしずめる消炎鎮痛剤を「NSAID」といい、その仲間にはロキソニンに配合される「ロキソプロフェン」やバファリンに配合される「アスピリン」などがあります。

イブプロフェンはロキソプロフェンほど作用が強くありませんが、抗炎症・解熱・鎮痛作用のバランスが良く、NSAIDの中では副作用の起こりにくいところが特長です。

また、イブプロフェンはNSAIDの中でも胃に作用しにくい薬なので、胃を荒らしやすいロキソプロフェンやアスピリンが苦手な人も安心して使うことができます。

OTC医薬品に使用する場合は、1錠（1カプセル）あたり最大量で200㎎、１日あたりの最大量で600㎎と決められていますが、イブシリーズのうち3製品はイブプロフェンを最大量配合しているので、病院でもらう薬のようなたしかな効き目が期待できます。

ただ、いくら副作用が起こりにくいといっても、医療用医薬品と同じ処方ということは薬効が高い分、副作用の起こる可能性もゼロではないということになります。

ですから、使用上の注意はよく読んで正しく服用しなければならないことは、言うまでもありません。

そのほかの有効成分とそれぞれに起こりうる副作用

イブシリーズの製品に配合されている有効成分には次に挙げる3つがあります。

これらの成分は、イブプロフェンの補助成分として鎮痛作用を高める目的で配合されてます。

カフェインは大量摂取でイライラや不眠などの副作用があらわれますが、イブに配合されているのは少量なので副作用を心配する必要はほとんどありません。

副作用に注意したいのは「アリルイソプロピルアセチル尿素」です。眠気を起こす作用があるので、車や機械類を運転する前、眠くなるのが困る人は、アリルイソプロピルアセチル尿素が配合されていない薬を選びましょう。

続いて、各製品の特徴と選ぶ時のポイントを説明していきます。

眠くならないイブプロフェン単一製剤の「イブ」

イブシリーズの中で最初に発売されたイブは、シンプルな処方の薬です。

▼イブ

▼イブの基本情報

補助成分は配合されていませんが、イブプロフェンが150㎎配合され、痛みに速くよく効きます。また、イブシリーズで唯一、眠くなる成分が入っていません。

処方の同じ製品には、サトウ製薬の「リングルアイビー」があります。飲みやすいジェルカプセルのリングルアイビーは価格が少し高めで、イブのほうがお財布にやさしいです。

イブは次のような人におすすめ

• 眠くならない薬を探している
• あまり強すぎる薬は苦手
• 薬にかかる費用をおさえたい

補助成分がプラスされ痛みによく効く「イブA錠」

イブA錠は、イブに続いて1990年に発売された製品です。

▼イブA錠

▼イブA錠の基本情報

イブプロフェンの量はイブと同じですが、補助成分がプラスされイブよりもさらに痛みをしずめる効果が高くなっています。

処方の同じ製品には、シオノギヘルスケアの「セデスキュア」があります。 お互いによく似ていますが、メーカー小売り価格で比較するとイブA錠のほうがややお得です。

イブA錠は次のような人におすすめ

• 生理痛にしっかり効く薬が欲しい
• あまり強すぎる薬は苦手

アリルイソプロピルアセチル尿素は眠気を起こす副作用があるので、眠くなるのが困るときには服用を控えてください。

EX処方ですぐれた効果を発揮する「イブA錠EX」

イブA錠EXは2014年から発売されている、イブプロフェンが最大量の製品です。

▼イブA錠EX

▼イブA錠EXの基本情報

イブプロフェンをOTC医薬品最大レベルの200㎎配合し、補助成分にアリルイソプロピルアセチル尿素と無水カフェインを配合した「EX処方」が特徴。プロスタグランジンのはたらきをすみやかにおさえ、すぐれた効果で生理痛や頭痛をしずめます。

イブA錠EXは次のような人におすすめ

• 生理2日目の強い痛みに効く薬が欲しい
• ロキソニンやアスピリン以外のよく効く薬を探している

アリルイソプロピルアセチル尿素は眠気を起こす副作用があるので、眠くなるのが困るときには服用を控えてください。

生理痛にも…イブクイック頭痛薬・イブクイック頭痛薬DX

イブシリーズからは、頭痛によく効く解熱鎮痛薬も2つ発売されています。「頭痛薬」という名前ですが、効果・効能はほかのイブシリーズと同じで、もちろん生理痛、生理に伴う頭痛などにもよく効く処方になっています。

▼左：イブクイック頭痛薬、右：イブクイック頭痛薬DX

▼イブクイック頭痛薬の基本情報

ほかのイブシリーズとの違いは、イブプロフェンが早く溶け吸収されるように「酸化マグネシウム」を配合した「クイックアクション製法」を採用しているところ。プロスタグランジンのはたらきを素早くおさえ、つらい痛みをしずめます。

また、酸化マグネシウムが胃酸を中和して胃を保護するので、解熱鎮痛剤で胃が荒れやす人にもおすすめできます。

イブクイック頭痛薬DXは、価格も高めですがイブシリーズの中では成分数も最も多く、それだけすぐれた効果が期待できます。

イブクイック頭痛薬・イブクイック頭痛薬DXは次のような人におすすめ

• 頭痛持ちの人
• 生理のときに頭痛が起こりやすい人
• １秒でも速く痛みをしずめたい人
• よく効いて胃にやさしい薬を探している人

ほかの製品と同様、アリルイソプロピルアセチル尿素は眠気を起こす副作用があるので、眠くなるのが困るときには服用を控えてください。

イブは生理痛に速くよく効く！ただし眠気には注意

ほかのメーカーの解熱鎮痛剤よりも比較的おだやかな処方になっているので、体に負担をかけず生理痛を速くしずめたい人におすすめです。

ほとんどの製品に鎮静成分が配合されているので、眠くなるのが困る人には選択しにくいかもしれません。逆に、しっかり休養したい時にはよく効いてくれるので、上手に使い分けると生理が快適に過ごせるでしょう。

生理痛には「イブA錠」「イブA錠EX」を、また頭痛が起こりやすい人にはイブが一押ししている「イブクイック頭痛薬」「イブクイック頭痛薬DX」もおすすめです。薬局で薬剤師に相談するなどし、ぜひ痛みの強さに合ったものを選んでください。

イブシリーズを使う際、ほかのメーカーの解熱鎮痛剤よりも特に注意する点は特にありません。

ただ、体質によっては有効成分が体に負担をかける場合があるので、説明書をよく読んで指示通りに正しく使用し、服用後に気になる症状がみられたらすぐ使用を中止して、薬剤師に相談することをおすすめします。

解熱鎮痛剤に共通する副作用・使用上の注意に関しては【比較】生理痛に効く市販薬。あなたにはどの解熱鎮痛薬が合う？で、ご確認ください。

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