自律神経を整える運動&ストレッチ。いつでもどこでもできるもの厳選
運動にはさまざまな良い作用があるので、健康のために適度な運動を習慣にすることがすすめられています。もちろん自律神経のバランスを整える効果もバッチリです。
ただ、やみくもに運動をすればよいというわけではありません。自律神経を整える効果のある方法を選ぶことが大切です。
なんとなく不調が続いている、自分は自律神経が乱れている、イライラすることが多い、眠れない…そんなお悩みをもったあなたへ、自律神経のバランスを整える簡単な運動とストレッチをご紹介します。
これから紹介する調整方法で自律神経のバランスや体調を改善していきましょう。
この記事の目次
運動は自律神経のバランスを整える効果大!
自律神経は、ちょっとしたストレスを感じただけでもすぐバランスが乱れてしまうデリケートな神経です。
そのうえ、手足などを動かす「運動神経」と違って、その名の通り自律的(他の支配を受けず自分で)に動く神経なので、自分の意思で直接コントロールすることもできません。
自律神経のバランスを整えるには、規則正しい生活やストレスを解消することが大切ですが、運動には交感神経または副交感神経に傾き過ぎた自律神経のバランスを整え、心身を健やかに保つ絶大な効果があります。
ただ、どのような運動でもよいわけではありません。たとえば激しい運動をすると、心身に大きなストレスがかかりやすく、自律神経のバランスが余計に乱れてしまうことがあります。良かれと思っておこなった運動がかえって逆効果になることもあるので、注意してくださいね。
自律神経のバランスを整える効果があるのは、次のような運動です。
- ゆるやかな有酸素運動
- 一定のリズム運動
- ストレッチ
自律神経のバランスを整える理由やお勧めの運動法についてそれぞれ説明していきたいと思います。
ゆるやかな有酸素運動で楽しく自律神経のバランスを整える
ゆるやかな有酸素運動は、息を吸ったり吐いたりすることで交感神経と副交感神経をバランス良くはたらかせ、自律神経のはたらきを活性化する効果があります。
- おすすめの有酸素運動
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- ウォーキング
- ジョギング
- サイクリング
- 水泳・水中ウォーク
- ダンス
運動をすると、筋肉を動かすエネルギーを体内で作り出すための酸素がたくさん必要になります。
そのため、運動をするときには、酸素をたくさん取り込むために自律神経が活発にはたらいて呼吸数を増やし、ハアハアと息がはずむようになるのです。
ウォーキングやジョギングなど酸素がたくさん必要になる運動を「有酸素運動」といい、自律神経のバランスを整えるには、あまり強すぎない程度の有酸素運動を続けると効果があります。
有酸素運動は、会話ができる程度、軽く息がはずむ程度の負荷を保って15~30分程度行うのがおすすめです。
苦しい、つらい、やめたい、と感じると、そのストレスが交感神経を刺激し、かえって自律神経のバランスを乱してしまうので、ゆるやかな運動を楽しんでおこなうのがポイント。
さらに有酸素運動には、次のような嬉しいメリットもあります。
- 血行を促進させて筋肉の緊張や冷えをほぐし、痛みやコリを楽にする
- 全身に酸素や栄養を行き渡らせ、機能を促進させる
- 体脂肪を燃焼し、ダイエットや生活習慣の予防効果がある
普段ストレスを感じることが多い人は、交感神経が緊張して血管が収縮するので、血行がとどこおって筋肉に酸素や栄養、熱が行き渡りにくくなり、筋肉の疲労が蓄積して痛みやコリが生じやすくなります。
有酸素運動をすると、酸素を全身にたくさん送り届けるために交感神経がはたらいて心臓の鼓動を増やし、血液がたくさん送り出されます。
すると、血液が勢いよく流れて体のすみずみまで血液と一緒に酸素や栄養が届き、筋肉の疲労回復が促進されるので、肩こりや腰痛など筋肉のコリや痛みがやわらぐ効果が得られます。
また、血行が促進すると、女性に多い冷え症の改善、冷えが原因で起こりやすい生理痛やむくみも改善できます。同時にダイエットや健康効果も得られ、美しく健康的な自分に自信をもつことができるようになります。
できれば、これらの運動は毎日続けるのがおすすめです。健康のためには1回30分の運動を1週間に3日以上おこなうのが良いともいわれます。忙しい人は、通勤や買い物などの移動手段を徒歩や自転車に変えるなどして運動を取り入れるといいですよ。
いつでもどこでも!リズム運動で副交感神経を活性化
一定のリズムを繰り返す運動には、副交感神経を優位にはたらかせることで自律神経のバランスを均衡に保つ効果があります。
たとえば、次に挙げるようなリズム運動が良いといわれています。コツは、1秒に2回のペースで同じリズムを20分以上繰り返すことです。
- ウォーキング・ジョギング・サイクリング
- 踏み台の昇り降り
- 行進する時のように両腕を前後に振る
- その場で足踏み
- ガムを噛む
スポーツが苦手な人でもできる動きも多く、誰でも簡単に実践できそうですよね。
リズム運動で自律神経のバランスが改善できる理由は、リズム運動をすると、副交感神経を優位にはたらかせる「セロトニン」の分泌が促進されるためです。
セロトニンは「幸せホルモン」「癒しのホルモン」とも呼ばれる神経伝達物質で、情緒を安定させたり気持を前向きにする作用もあります。また体内時計にも関与し規則正しい睡眠リズムを作る役割も担っているので、リズム運動は不眠症の人にもおすすめです。
おすすめは、ウォーキング・ジョギングです。有酸素運動の効果も得られ、日光を浴びることでセロトニンの分泌も促進されます。
セロトニンを増やすためのリズム運動は「特にこの方法でなければダメ」という決まりもないので、自分のペースに合った動きを取り入れ、からだに痛みなどの症状のある人は無理をしない範囲で行なえばよいです。
スクワット、縄跳び、トランポリンを続けても効果がありますし、手軽なものでは手をグーパーグーパーと開閉する動きを繰り返すだけでも良いのです。
また、20分以上続けることが肝心なので、続けやすい運動をすることも大切です。室内ではステッパーやエアロバイクを利用して、テレビを見たり音楽を聴いたりしながら運動するのも続けやすいですね。
ガムを噛むのもれっきとしたリズム運動です。体を鍛える作用はありませんが、日常生活に取り入れやすくストレスを解消する効果も期待できるので、ぜひおすすめです。ガムを噛み続けていると、イライラせず気持ちが穏やかになるのは私も実感しています。
ストレスを感じやすい人は、副交感神経を活性化させるためリズム運動を積極的におこないましょう。
ストレッチで筋肉を伸ばしてリフレッシュ&リラックス
ストレッチとは、筋肉を伸ばす動きのことです。こり固まった筋肉をほぐして血行を促進する効果があり、疲れが取れてリラックスできるので、とても気持ちがいいですよね。
ストレッチには、自律神経のバランスが乱れたために生じる体の痛みやコリをやわらげる効果があります。また、ストレッチ自体に交感神経または副交感神経を活性化する作用が期待できます。
朝のストレッチで交感神経にスイッチを切り替える
日中、特に午前中に重だるく、思うように頭やからだがはたらかないと感じることが多い人は、副交感神経が優位になりやすいのかもしれません。このような人は、朝の起床後にストレッチをして交感神経を活性化させましょう。
- 布団の中で行なうストレッチ
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- 布団の中でリラックスした状態で仰向けになる
- 両腕、両足をなるべく遠くまで伸ばす
※15~30秒くらい「目が覚めてスッキリした」と感じるくらいおこないましょう。
- 背伸びのストレッチ
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- 肩幅くらいに足を開いてリラックスした状態で立つ
- 両手を組んで上に引き上げる
- 手や足が遠くまで伸びるイメージで、しっかり全身の筋肉を伸ばす
- 10秒くらい伸ばしたら手をおろし、体の力を抜く(数回繰り返す)
- 背中のストレッチ
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- よつんばいになる
- ひざを曲げてお尻をおろす
- 顔を床に近づけ、両腕と背中の筋肉をゆっくり伸ばす(30秒くらい)
※犬や猫が伸びをするような感じです。
朝の起床後は、夜間に優位になっている副交感神経から日中に優位になる交感神経へ自律神経のスイッチが切り替わり、交感神経が活性化するおかげで、私たちは日中に活発な活動をすることができるようになります。
ただし、自律神経がうまくはたらかないと交感神経にきちんと切り替わることができず、日中でもボーッとしたりやる気が出なくなったりしてしまいます。
交感神経がはたらき過ぎると健康を害しやすくなりますが、その逆で「リラックスモード」の副交感神経ばかり優位になるのも良くないのです。そのため朝はストレッチで交感神経にスイッチを入れることをおすすめします。
副交感神経を優位にするストレッチでイライラ・不眠を解消する
神経がたかぶってイライラしたり、夜になっても寝付けないことが多い人は、交感神経が優位にはたらき過ぎている可能性があります。このようなときは、副交感神経を活性化してリラックスモードに切り替えていきましょう。
- 首のストレッチ
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- 顔は正面を見たまま、右手で左の鎖骨の辺を軽く押さえる
- そのまま、首を傾ける
- 首の左側の筋肉(胸鎖乳突筋)を伸ばすつもりで、頭を右斜め後ろに傾ける
- 首を元に戻し、反対側も同じように1~4をおこなう
※首はデリケートな場所なので、無理をしない範囲でやさしく傾けましょう。
- 背中のストレッチ
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- 足を広げて椅子に座る
- 骨盤を後ろに倒すつもりで、息を吐きながら背中を丸める
- そのまま息を吸いながらお腹を前に突き出し、骨盤を起こすつもりで腰を伸ばす
- 1~4を数回繰り返します。力を抜いてゆっくり行いましょう。
- 体をひねるストレッチ
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- 両膝を立て腕を横に伸ばした状態であおむけになる
- 大きく息を吸いこみ、ゆっくり息を吐きながら両膝を倒して体をひねる
- 顔をひざと反対側に向け、脇腹の筋肉を伸ばす
- 息を吐き切ったら1に戻る。
※1~4を数回繰り返します。
筋肉がこわばって痛みやコリを感じるとき、リラックスしたいときにこれらの方法をお試しください。
交感神経と副交感神経のバランスは半々、またはやや副交感神経のほうが優位になるくらいが理想的だといわれます。
ところが、ほとんどの人は交感神経のほうが優位になりやすく、常に交感神経が強く興奮したまま副交感神経に戻りにくくなっている人も少なくありません。
自律神経が交感神経に傾くと心身の緊張が続き、自律神経失調症と呼ばれるさまざまな不調が起こりやすくなります。
ストレスを感じることの多い人は交感神経が優位に傾いたままになりやすいので、意識して副交感神経を優位にはたらかせるための運動をおこないましょう。
運動を楽しみながら自律神経のバランスを整えましょう
今回紹介した自律神経のバランスを整える運動は、どれも無理なく実践できて日常生活に取り入れやすいものなので、運動が得意な人もそうでない人もぜひ毎日の習慣に取り入れてみてくださいね。
これらの運動を始めると、理屈抜きに「きもちいい」「効いている」と感じることができるはずです。この感覚が自律神経のバランスが安定している証拠だと思います。心地良い運動で楽しみながら自律神経のバランスを整えていきましょう。