【ピルとは】月経困難症の治療と避妊で違う、ピルの種類

日本は世界的に見ても、ピル後進国です。ピルを認可する時期が遅いのも要因の一つですが、一番の要因はピルが大衆に広がらなかったことです。

その原因としてあげられるのが、ピルについての偏見です。ピルという薬そのものに対して、専門家以外の一般人の多くが誤解を根強く持ち、異常に偏見して見ているせいで、日本はピル後進国のままなのです。それは現代においても変わっていません。

しかしそのピルに対する偏見の元となった情報は、いつの時代のものでしょう?

ピルは技術と時代を得て、用途別にそれぞれ開発され、種類が豊富に揃いつつあります。一言でピルと言っても、どのピルの事なのかを尋ねることができる時代になったのです。

今回は、そんなピルの種類について簡単に紹介します。

ピルの種類は女性ホルモンの含有量によって分類される

ピルは、女性ホルモンの含有量にとって種類が分けられています。女性ホルモンの含有量が多い程、そのピルは効果が高い代物となります。

しかし同時に、女性ホルモンの含有量が多いという事は、身体に大きな負担をかけて副作用も強く現れるということも意味しています。

そのため女性ホルモンの含有量により、用途別に種類を選び処方する方法が進んでいます。

世界で一番ポピュラーな避妊薬!高用量ピル

高用量ピルは、世界中の多くの国々で使用されている避妊薬ですが、大元の用途しては月経困難症を始めとした生理トラブルを改善・緩和するための薬として登場しました。それを転用して、避妊薬として使用し始めたのです。

つまり順序としては避妊の役割よりも、生理トラブル改善の役割が強いのが高用量ピルだったのです。

現代における高用量ピルは、低用量ピルや中用量ピルでも月経困難症の改善や生理周期のコントロールなどが正しく行えなかった場合に処方される最終手段です。

高用量ピルは、ピルの中で最も強い効果を発揮し、その反面として副作用も最も強く出やすい薬です。もちろん個人差が存在するので、必ずしも副作用が出るというわけではありませんが、最もリスクが高いのも事実です。

▼ピルの副作用について、詳しくはこちらの記事でご覧ください
誤解の多いピルの副作用!現代における本当の副作用とデメリットとは

もし産婦人科の医師に高用量ピルを進められた場合は、なぜ低用量・中用量のピルではだめなのかをよく聞くことをおすすめします。最終手段を使わねばならないことが、あなたの身体に起こっているのかもしれないのですから。

緊急避妊として使用される!中用量ピル

低用量ピルが月経困難症の治療などに使用できるように認可されるまで、中用量ピルが日本で主に処方される薬でした。特に生理痛が重く、日常生活が困難であった女性に対する処方薬としての知名度を持っていました。

現代では、月経困難症の治療薬としても、避妊の薬としても、副作用の少ない低用量ピルが使用されています。ならば高用量ピルのように滅多に使われないのかと言えば、そうでもありません。

現代になると中用量ピルは、日本において緊急避妊する時のアフターピルとして大活躍しています。性交渉後に服用して避妊する薬として、中用量ピルは広く使われるようになっているのです。

そのため、もしかしたら中用量ピルという名称よりも、アフターピルの名前の方がよく見かけるのではないでしょうか?

アフターピルは、主に72時間以内に服用すると80%の確率で避妊に成功します。そのため不安に思ったならば万が一を考えて病院に駆け込み、アフターピルを処方してもらう女性も最近は増えてきています。

日本で最も幅広く使われる!低用量ピル

現在、この低用量ピルが日本国内で一般的なピルの地位を占めています。一般的にピルと言われるものは、この低用量ピルのことです。

一昔前に日本で認可された低用量ピルは、当時のピルの中でも最も副作用が少ないものでした。日本ではこの副作用の少ない低用量ピルをさらに研究・開発をして現代に至ります。

その結果として、現代ではこの低用量ピルが、避妊薬として、月経困難症の治療薬として、かつて高用量ピルと中用量ピルがこなしていた役割で幅広く使用されることが多くなりました。その背景として、最も副作用が少ないという安全性があります。

また一昔前は、低用量ピルは避妊薬という扱いが強すぎて保険が適用されませんでした。しかし時代が進んだことと、ピルの種類がさらに増えたことで、月経困難症の治療のための低用量ピルも登場し、保険が適用されるピルが増えました。

注意点があるとすれば、病気ではないため避妊薬としてのピルは依然として保険適用外であることです。求める用途により、そのピルに保険が適用されるのか確認しておくといいでしょう。

誕生した第四世代!超低用量ピル

実は、低用量ピルの中にもさらに分類が存在します。女性ホルモン含有量と販売開始時期により、低用量ピルは第一世代・第二世代・第三世代と、世代別に三種類に分類されています。

その低用量ピルの世代の中でも、一際飛び出て新分類になってしまったピルが、第四世代の低用量ピルです。それまでの三世代に渡る低用量ピルに比べて、女性ホルモン含有量が少ないことから、「超低用量ピル」と呼ばれています。

この第四世代である超低用量ピルは、副作用に対するリスクも圧倒的に低いことが最大の特徴です。第四世代に分類される一部の商品では、低用量ピルでも抑えきれなかった副作用を抑えることに成功しています。

低用量ピルでも副作用が出ていたり、体質的に合わない人でも、この第四世代は大丈夫だったという女性もいます。超低用量ピルは、ピルの種類の中で最も女性の身体に優しく、ピルの歴史をさらに進めた新しい可能性とも言えるでしょう。

▼ピルの効果について、詳しくはこちらの記事でご覧ください
女性を救うピルの正しい効果!日本で誤解が多い理由とは?

何錠ごとに1シート?ピルの服用方式の種類

ピルは1か月分として、1シートを処方されます。毎日一錠づつ服用し、1か月分が終われば1シートに入っている薬が空っぽになるという方式です。その1シートに入っている錠剤の数により、ピルは服用方式によっても種類があります。

ちなみにピルは原則として、平均的な生理周期に合わせて28日分を一つのサイクルとして考えられています。

21錠タイプ

ピルを3週間毎日飲み続け、1週間の休薬期間を設ける服用方式のものです。

自分でしっかり管理することができる人に向いている服用方式であり、最近では丁寧に毎日服用したのか確認したり、休眠期間も数えることのできる有り難い薬シートも開発されています。

28錠タイプ

3週間分のピルと、1週間分の偽薬を、毎日飲み続ける服用方式のものです。

一週間の休薬期間を設けたら、次の月に飲むのを忘れてしまう人に向いている服用方式です。休薬期間に偽薬を付けることで、飲み忘れ防止を目的としています。

種類により異なる、ピルの服用開始日に注意!

必ず、医師からピルを処方された時に服用開始日を確認しましょう。ピルは種類により、服用開始日を定められているものもあります。

特に、生理周期をずらす用途でピルを服用する場合は、なおのこと服用開始日に従った方がいいでしょう。薬のパッケージに記載されていることや、医師の助言に従って服用を開始してくださいね。

ピルへの誤解がリスクに!それは間違ったイメージかも…

日本でピルを正しく服用するためには、病院で処方されることが正規ルートです。原則として、ピルが市販薬として許可されていない上に、副作用のリスクが市販薬より高い以上は、病院経由で手に入れることが一番安全です。

しかし、それは逆に言えば病院に受診に行かなければ、ピルに触れる機会は滅多にないということです。そのため実際の知識ではなく、古い知識から誤解を鵜呑みにし、それがピルを服用する上でのリスクに変貌することもあります。

その中には、ピルの間違った効果や、間違った副作用に対する情報も存在します。まず、ピルについて最新の情報を獲得しましょう。

あなたは、ピルについて正しい知識があるでしょうか?

ピルとは性感染症を予防する薬ではない!

ピルについての誤解の中には、性感染症を防ぐ効果も持つという誤解があります。ピル=避妊薬という強い認識から、性交渉に関する病気の治療薬としての誤解が広まったのかもしれません。

確かに避妊に対してピルは強い効果を発揮しますが、性感染症を防ぐ力は皆無です。

日本国内において、女性でさえも「ピルは避妊するための薬」という意識が強く、それ以外の用途に使われるという発想をされにくい残念な結果があります。

そしてそれは女性以上に男性にも多い誤解です。ピルについて正しい知識を有しているとは言えない男性も多く、そのためもしパートナーがピルに性感染症を防ぐ効果があると誤解している場合には、あなた自身がそれを正さなければなりません。

時代の進歩と共に多数の薬が改良され、正しい情報が続々と登場しています。それはピルも例外ではありません。

あなたが服用している、もしくは服用したいピルにどのような効果があるのか。医師や薬剤師など専門家に尋ねて、きちんと把握しておきましょう。

ピルには保険が適用されない!……わけでもない?

ピルのデメリットとして、金額の問題があります。「保険が適用されないからピルが高い!」という声があるのも事実です。

しかし、ピルには複数の種類があります。その種類の中には、保険が適用できるピルも存在しているのです。保険が適用される分かれ道は一つだけです。病気のために使用するか、使用しないかの違いです。

なぜならば保険診療とは、病気の治療を目的とした行為に対して力を発揮するものだからです。

分かりやすく言えば、妊娠は病気ではありません。そのため妊娠しないための対処として飲む「避妊薬のピル」は、病気治療目的ではないため保険が適用されません。

対して、月経困難症は病気です。生理不順を治療したり、生理が重たい症状を軽減したいから飲む「治療薬のピル」は、病気治療が目的のため保険が適用されます。

ピルに保険が適用されないから高い。このような認識は、ピルが避妊を目的としている薬だという一面を強調しているからです。月経困難症を初めとして、女性特有の病気治療のために処方されるピルには、正しく保険が適用されます。

そのため、ピルに保険が適用されないという情報は間違いでもありませんが、正しくもありません。あなたが何のためにピルを服用するのか。何のために処方して欲しいのか。その理由により、処方されるピルに保険が適用するかが決定します。

ただし、例えば保険を適用して安くしたいからという理由で、月経困難症のために処方されたピルを、避妊薬として活用することはおすすめしません。先述したようにピルには複数の種類があり、用途によりピルの種類も変わります。

医師が処方した月経困難症の治療に特化したピルが、避妊の効果を持っているという保証は存在しません。薬のパッケージにも記載がないならば、避妊効果は期待しない方がいいでしょう。

お金の安さに目がくらんで嘘をつくことがないように、求める用途に特化したピルを処方してもらってくださいね。

求める用途により、ピルを選びましょう!

月経困難症を初めとする女性特有の病気治療のために、避妊の為に、そして不妊治療のためにも、ピルはその用途と幅を広げて活躍しています。

病院の産婦人科へ受診に行った時には、自分が求める用途を正しく医師に伝えてください。用途により、専門家である医師や薬剤師の方々は、貴方が求める用途に合うピルを、数多くの種類の中から選んで処方してくれます。

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