PMSに効くハーブティー10選。イライラ、不安なきもちの対策に


女性の約8割がPMSで何らかの症状を経験しているとのことで、PMSの症状はなんと200種類以上あるといわれます。

特に多いのが下腹部痛、乳房の痛み、倦怠感、そしてイライラやゆううつな気持ちといった心の不調です。PMSでイライラを感じる女性は約6割もいるのだそうです。

イライラしていると周りの人にもあたってしまい、お互いに良い気持ちがしません。できればPMSは予防したいですね。

まずは薬に頼らずセルフケアでPMSを予防・改善したい…そんなときには、からだにやさしく作用するハーブティーがおすすめ。PMSのイライラをしずめてくれるハーブティー10種を厳選して紹介いたします。

ハーブティーは女性の体調をやさしく整える飲み物

生理前は女性ホルモンのバランスが乱れやすく、そのために情緒を安定させる神経伝達物質「セロトニン」が減ると、イライラする、攻撃的になる、わけもなく落ち込む…といった不調が起こりやすくなります。

PMSは薬やサプリメントで予防・改善することもできますが、ちょっとそこまではハードルが高い、と感じている人には、ティータイムを楽しむ感覚で取り入れることのできるハーブティーの活用がおすすめ。

ハーブティーは、ノンカフェイン・ノンカロリーでリラックス効果もある、からだにやさしい飲み物です。

またハーブはさまざまな薬効を持っているので、鎮静作用やホルモンバランスを整えるハーブを選ぶと、PMSによるイライラなどの諸症状を予防・緩和させる効果も期待できます。

「いつもよりイライラしてるみたい」「生理前の不調が来た」と感じたら、ハーブティーをいれてPMSの症状をしずめてしまいましょう。

※ただし、生理が近づくたびにPMSが起こる場合、日常生活に差し支えるほど症状が重い場合は婦人科の受診もおすすめします。

ハーブティーのつくり方(ドライハーブの場合)

ハーブは少しくだいて茶葉を均等な大きさにし、ティーポットに入れてから熱湯を注ぎます。

そしてふたをして3~8分ほど蒸らしてからカップに注ぎます。ティーポットにお茶が余る場合はティーコゼ(布製のポットカバー)をかぶせて保温すると、おかわりもおいしく楽しめます。

特におすすめしたいハーブティーは次の10種類です。

チェストツリー 黄体ホルモンの分泌をコントロールする
ラズベリーリーフ
レディースマントル
ホルモンバランスを整える
リンデン
オレンジフラワー
鎮静作用がある
カモミール 鎮静・鎮痛作用がある
セントジョーンズワート 抗うつ作用、精神を安定させる作用がある
パッションフラワー 精神を安定させる作用・催眠作用がある
フィーバーフュー 鎮痛作用(特に片頭痛をしずめる作用)がある
タンポポ ノンカフェインコーヒーの代用になる

 
それぞれのハーブティーの特徴をチェックしてみましょう。

PMSの治療薬にも用いられているチェストツリー

チェストツリーは、ヨーロッパで女性の聖薬として古くから親しまれてきたハーブで、その種子を食用や薬用に用います。種子は「チェストベリー」とも呼ばれます。

名称 チェストツリー
原料 シソ科ハマゴウ属チェストツリーの種子
成分 リモネン、シネオール、アルカロイド、フラボノイドなど
注意事項 妊娠中・授乳中の女性、ピルを飲んでいる人、子どもは
使用を避ける
香り・味の特徴 スパイシーな香りと苦味がある
セイヨウタンポポ ノンカフェインコーヒーの代わりに

 
チェストツリーの種子に含まれる芳香成分のリモネンやシネロール、アルカロイドなどの成分が女性ホルモンの分泌に関与する脳下垂体にはたらきかけ、黄体ホルモンの分泌をコントロールすることがわかっています。

ハーブの先進国であるドイツでは、早くから医薬品として用いることが承認されています。PMSや月経前不快気分障害 (PMDD)の症状を緩和することがわかっていて、日本でもチェストツリーを有効成分としたPMSの治療薬が販売されています。

PMSの予防・改善には特におすすめしたいハーブティーです。チェストツリー単独では、少し飲みにくいと感じるかもしれません。ペパーミントやレモンバームなど爽やかなハーブとブレンドすると飲みやすくなるでしょう。

女性のさまざまな不調を改善するラズベリーリーフ

甘酸っぱさが女性に人気のラズベリー(セイヨウキイチゴ)は、その葉にうれしい効能があります。

ラズベリーは果実・葉ともに健康をサポートする作用があるとされ、ラズベリーリーフはエストロゲンにはたらきかけたり子宮の機能を高めたりすることがわかっています。ヨーロッパでは安産に良いとして、分娩をひかえた妊婦さんに愛用されてきました。

名称 ラズベリーリーフ
原料 バラ科キイチゴ属ラズベリーの葉
成分 フラグニン、フラボノイド 、ポリペプチド、タンニン
注意事項 妊娠中は担当医の指示のもとで使用する
香り・味の特徴 さっぱりした味

ラズベリーリーフのハーブティーには、PMSや月経困難症の症状を緩和する効果、産後の母体の回復を早める効果があるといわれます。

ただし、フラグリンという成分に子宮の収縮を促進させる作用があるので、妊婦さんは自己判断でラズベリーリーフを使用することがおすすめできません。

ラズベリーリーフは果実のような甘酸っぱい味や香りはなく、あまり風味がありません。ほかのハーブとブレンドしたり、レモンやハチミツを加えるとさらに飲みやすくなると思います。

おだやかにホルモンバランスを整えるレディースマントル

レディースマントルは古くから女性の健康をサポートするために用いられてきたハーブ。「レディースマントル=聖母マリアのマント」と名前からも、女性をいたわるやさしさが伝わります。

名称 レディースマントル
原料 バラ科ハゴロモグサ属レディースマントルの葉、茎
成分 タンニン、エラグ酸、サリチル酸など
注意事項 念のため、妊娠初期は使用を控える
香り・味の特徴 くせがなく、さっぱりしている

レディースマントルには抗炎症作用があり、のどの痛みや口内炎をしずめるほか、ホルモンバランスを整える作用あると考えられます。そのほか、生理不順、PMS、更年期障害など女性の不調を改善する効果が期待されています。

女性ホルモンにはおだやかにはたらきかけますが、妊娠中の安全性が確認されていないので、念のために妊娠初期は使用を控えます。

くせがなく飲みやすいので、単独で飲んでも良いですし、ラズベリーリーフやパッションフラワーとのブレンドでホルモンバランスを整える作用をアップさせるのもおすすめです。

リラックス効果、安眠効果のあるリンデン

リンデン(セイヨウボダイジュ、セイヨウシナノキ)は、ヨーロッパで街路樹やハチミツを採集するために植えられることの多い落葉樹です。花はリンデンフラワーと呼ばれます。

ドイツの薬用植物の評価委員会の「コミッションE」では、風邪と咳の治療に使うことも承認されているハーブです。

名称 リンデン
原料 シナノキ科シナノキ属リンデンの葉、花
成分 ファルネソール、フラボノイド、サポニンなど
注意事項 植物アレルギーのある人、妊娠中の人は
避けることがのぞましい
香り・味の特徴 くせがなく、さわやか

リンデンには、咳をしずめる作用のほか鎮静作用があり、心身の緊張をほぐしてPMSのイライラや不眠をしずめる効果が期待されています。

ヨーロッパでは、グッドナイトティー(安眠をさそうお茶)としてリンデンのハーブティーを寝る前に飲むこともあるとのこと。

オレンジフラワー、ペパーミント、ジャスミンとのブレンドには、精神を安定させる効果がさらに期待できます。

甘い香りに気分も上がるオレンジフラワー

「オレンジフラワー」は、名前からも想像できるとおり、ダイダイというミカンの仲間の白い花を採取して乾燥させたハーブです。オレンジフラワーから抽出した精油は「ネロリ」と呼ばれます。

名称 オレンジフラワー
原料 ミカン科ミカン属ダイダイ(ビターオレンジ)の花
成分 リモネン、ネロール、アントラニル酸メチル、苦味配糖体
注意事項 妊娠中の人は使用を避ける
香り・味の特徴 甘い香りとわずかな苦味

アントラニル酸メチルは、ブドウ、レモン、ジャスミンに含まれる芳香成分で、気分を高揚させる甘い香りのもとになっています。リモネン、ネロール、苦味配糖体には抗不安作用があります。

鎮静作用があり、ストレスや緊張をほぐしたり、自律神経のバランスを整えたりする効果が期待できます。またイライラや落ち込み、不眠、お腹のガスだまりの改善にも効果があるといわれています。

香りが良く単独でもブレンドでも飲みやすいハーブです。

痛みや不眠にも効くカモミール(ジャーマンカモミール)

カモミール(カミツレ)は、古くからヨーロッパの家庭で民間療法に広く用いられ、女性の健康に良いことから「マザーリーフ」とも呼ばれてきました。

ハーブティー、サプリメント、化粧品などに配合されることが多いので、日本に住む私たちもその名前にはなじみがありますね。

カモミールにはジャーマン種とローマン種があり、どちらも抗菌作用、鎮痛痛作用、抗炎症作用などの健康に良い効果を持っています。

ジャーマンカモミールは、ドイツのコミッションEに治療目的の使用が承認されています。また、ハーブティーにも風味の良いジャーマンカモミールを使うのが一般的です。

名称 ジャーマンカモミール
原料 キク科シカギク属ジャーマンカモミールの花
成分 アピゲニン、ルテオリン、クマリンなど
注意事項 キク科の植物にアレルギーのある人は使用を避ける
香り・味の特徴 リンゴのような芳香がある

カモミールに含まれるアピゲニンは、平滑筋を弛緩させ鎮痛作用をもたらします。そのため、生理痛、ストレス性の胃痛、ガスだまりによる腸の痛みなどをしずめます。

またアピゲニンには精神を安定させる作用があり、PMSのイライラや不眠を緩和する効果が期待できます。

カモミールは香りが良く飲みやすい味なので、カモミールだけでハーブティーをいれても、ほかのハーブとブレンドしてもおいしくいただけます。

メンタルの不調にはセントジョーンズワート

セントジョーンズワート(オトギリソウ)は、メンタルの不調に効くことで知られます。軽度のうつ病を改善する効果が確認されているハーブで、ドイツのコミッションEではうつ病の治療に用いることも承認されています。

ドイツでおこなわれた臨床試験では、セントジョーンズワートを4週間摂取した被験者の約80%にうつ症状ストレス症状の改善がみられたという医師の客観的な報告が確認されています。

名称 セントジョーンズワート
原料 オトギリソウ科オトギリソウ属セントジョーンズワート
の葉、茎
成分 ヒペリシン、ヒペルフォリン、フェノール酸など
注意事項 妊娠中、授乳中の人、子どもは使用を避ける
療養中の人は医師に相談したうえで使用する
香り・味の特徴 薬草の香りがして、やや苦味がある

セントジョーンズワートに含まれるヒペリシンとヒペルフォンは、情緒を安定させて気持ちを前向きにするセロトニンの分泌をコントロールします。

情緒不安定やうつ症状は、セロトニン不足が原因で起こるといわれます。PMSはうつ病とは異なる病気ですが、セントジョーンズワートによってセロトニンのはたらきが安定すると、イライラなど気分の障害を改善する効果が期待できるようになります。

またセロトニンによってリラックスすることができると副交感神経のはたらきが活性化され、自律神経のバランスが整ってPMS特有の不調も起こりにくくなります。

単独で飲むと土臭さを感じる場合があるので、ほかのハーブとブレンドするのもおすすめ。味の相性が良いのは甘い香りのカモミール、さわやかなローズヒップ、ハイビスカスなどです。

リラックス作用、安眠作用のあるパッションフラワー

パッションフラワーは時計の文字盤を思わせる花を咲かせ、パッションフルーツと呼ばれる果実をつける植物です。

精神を安定させる作用があることで知られ、メンタルの不調を改善する目的で健康食品に配合されることがあります。ドイツのコミッションEでは、パッションフラワーのサプリメントを医療に用いることが承認されています。

名称 パッションフラワー
原料 トケイソウ科トケイソウ属パッションフラワーの葉、茎
成分 アピゲニン、アルカロイド、フラボノイド
注意事項 妊娠中、低血圧の人は使用を避ける
鎮静作用を持つサプリメントや医薬品、アルコール
との併用は避ける
香り・味の特徴 草の香りとさっぱりした風味を持つ

パッションフラワーの葉や茎に含まれるアピゲニンアルカロイド等には神経伝達物質のはたらきをコントロールする作用があります。

リラックス作用や気持ちを明るくする効果が期待され、PMSのイライラや気分の落ち込み、女性特有のヒステリー症状をしずめる効果が高いともいわれます。

また高い催眠作用があるので、生理前に寝つきが悪くなったり睡眠が浅くなったりしやすい人にもおすすめです。

単独でもそれほど飲みにくさはありません。また、カモミールとブレンドするとより美味しく楽しめます。

生理前の片頭痛にはフィーバーフューがおすすめ

フィーバーフューは古くから炎症や発熱をしずめる薬草として用いられてきたハーブで、特に片頭痛に効くことで知られます。日本では「夏白菊」と呼ばれ観賞用に栽培されています。

名称 フィーバーフュー
原料 キク科ヨモギギク属フィーバーフューの葉、茎
成分 パルテノライド セスキテルペン
注意事項 チラミンを含む食品とは併用しない
妊娠中は使用を避ける
香り・味の特徴 草の香りと苦味がある

フィーバーフューは、痛みの原因物質プロスタグランジンの生成を抑制して鎮痛作用をもたらすので、生理痛やPMSに伴う頭痛をやわらげる効果が期待できます。

また、フィーバーヒューに含まれるパルテノライドやセスキテルペンには、血管の拡張を抑制して片頭痛をしずめる効果が期待されています。

片頭痛はホルモンバランスの変動の影響で生理前から生理中に起こりやすいので、片頭痛持ちの人は予防を兼ねてフィーバーヒューのハーブティーを使用するとよいかもしれません。

チョコレート、ワイン、チーズは、片頭痛を誘発するチラミンが含まれ、フィーバーヒューと一緒に摂取することは避けることがすすめられています。

ホルモンバランスを整えるにはチェストツリーやラズベリーリーフとのブレンドがおすすめです。単独ではやや飲みにくいので、カモミールなど飲みやすいハーブとブレンドしたり、レモンやハチミツで風味をつけたりするとよいでしょう。

お茶にすると風味がコーヒーにそっくりなセイヨウタンポポ

タンポポは春に咲く可愛い野花というイメージがありますが、実はれっきとした薬草です。

日本でも一般に目にすることのできるセイヨウタンポポは、葉や根に滋養強壮作用があります。根を焙煎していれたお茶はコーヒーに似ているので「タンポポコーヒー」と呼ばれて親しまれています。

また、母乳の出を良くしたり乳腺の詰まりを防いだりする作用もあるので、授乳中の女性にも愛用者が増えています。

名称 セイヨウタンポポ
原料 キク科タンポポ属セイヨウタンポポの根
成分 カリウム、イヌリン、鉄、ビタミンA、B、C
注意事項 キク科アレルギーのある人は注意する
香り・味の特徴 焙煎した根でいれるお茶は色、香りがコーヒーに似ている

セイヨウタンポポはビタミンやミネラルが豊富で、からだの調子を整える作用があります。

利尿作用を持つカリウムが豊富で、生理前に多くの女性が悩むむくみを改善する効果があります。また鎮静作用があり、PMSによるイライラをやわらげる効果も期待できます。

セイヨウタンポポの根で作るお茶はコーヒーに似ていますが、ほかのハーブティーと同様にノンカフェインなので、カフェインをとりたくない妊婦さんに人気があります。

カフェインは自律神経とホルモンのバランスを乱しPMSの症状を悪化させる原因になるので、PMSを予防したい人は生理前にカフェインの摂取を控えることがのぞましいです。

「生理前はコーヒーを控えたいけど、やっぱりコーヒーを飲まないともの足りない。」という人もいますよね。そんなときにタンポポコーヒーがおすすめ。ミルクとハチミツを入れてもカフェオレ風においしく楽しめます。

おこのみのハーブティーでやさしくホルモンバランスを整えて

いかがでしたか。どのハーブティーも女性の心とからだにやさしく作用するので、効用や味・香りの特徴からおこのみのハーブを選んで楽しんでくださいね。また、あらかじめ数種類のハーブがブレンドされている製品を選ぶのも良いでしょう。

今回紹介したハーブティーは、更年期障害を改善する作用や産後の体調を整える作用を持ち合わせているので、お母さんやお姉さんにも、ぜひおすすめしてあげてください。

この記事をシェア

合わせて読みたい

ページ先頭に戻る