ロキソプロフェンの効果と副作用。生理痛や頭痛に効くけど選び方に注意

ロキソプロフェンは、病院で処方される薬と同じ効き目を持つ、頼もしい解熱鎮痛成分です。

市販薬はTVCMや店頭での宣伝も目立っていて人気も高いのですが、利用する際にはその特徴や副作用のリスクについてもしっかり理解しておく必要があります。

ロキソプロフェンの特長、副作用、注意点についてチェックしてみましょう。

処方せん不要で購入できるようになったロキソプロフェン

ロキソプロフェンは

  • 炎症をしずめる
  • 痛みを抑える
  • 高熱を平熱に下げる

という作用を持つ解熱鎮痛剤です。

正式名は「ロキソプロフェンナトリウム(ロキソプロフェンナトリウム水和物)」で、一般にロキソプロフェンとも呼ばれています。

ロキソプロフェンには、病院で処方される「医療用医薬品」と、現在は薬局で「第1類医薬品」として販売されている「OTC医薬品」があります。

医療用医薬品とOTC医薬品のロキソプロフェンは、成分の組織や効能が変わりません。

かつて、ロキソプロフェン(ロキソニン)は「処方せん医薬品」に指定されていて病院の処方せんが必要な薬だったので、消費者が自分で選んで入手することはできませんでした。

2010年、医療用のロキソプロフェンを市販向けに切り替えた「スイッチOTC医薬品」の販売が承認され、第一三共ヘルスケアが解熱鎮痛剤「ロキソニンS」の販売を開始しました。

もともとロキソプロフェンは、整形外科などで薬を処方してもらっていた患者さんに評判の良かった薬で「あのロキソプロフェンが処方せんなしに薬局で購入できるようになった」ということで大きな反響を呼びました。

一般的な解熱鎮痛剤の市販薬は、消費者が手に取ってそのままレジで購入できる「第2類医薬品」なのですが、ロキソニンSは「第1類医薬品」に区分されているため、購入する際は薬剤師に注意事項を確認してもらうのが規則となっています。

そのようなちょっとした手間が必要になるにもかかわらず、たしかな効き目の実感できるロキソニンSは解熱鎮痛剤の市場で大ヒットをとばし、注目を浴びることになりました。

その後、ロキソニンSシリーズが展開したりほかのメーカーからもロキソプロフェンを配合した解熱鎮痛剤が販売されるようになり、次の製品などが薬局で入手できるようになりました。

  • 「ロキソニンS」シリーズ(第一三共ヘルスケア)
  • クニヒロ「ロキソプロフェン錠」(皇漢堂製薬)
  • バファリンEX(ライオン)

▼「ロキソニンS」シリーズ
ロキソニンSシリーズ商品イメージ

▼クニヒロ「ロキソプロフェン錠」
ロキソプロフェン錠商品イメージ

▼バファリンEX
バファリンEX商品イメージ

また、ロキソプロフェンは、解熱鎮痛剤以外にも外用消炎鎮痛剤(湿布・塗り薬)に配合されています。

ロキソプロフェンの痛みをしずめる仕組み

ロキソプロフェンは、プロピオン酸系の「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDまたはNSAIDs)」に分類される鎮痛成分です。

NSAIDは「シクロオキシゲナーゼ」という酵素の働きを阻害し、シクロオキシゲナーゼが痛みの原因物質「プロスタグランジン」の生成を防ぐことで、すみやかに痛みをしずめます。

またプロスタグランジンは、炎症や発熱を起こす作用も持っているので、NSAID系の解熱鎮痛剤を使用すると、鎮痛作用だけでなく同時に抗炎症作用や解熱作用を得ることもできます。

一般に、NSAIDは中等度以下の痛みに対して用いられます。依存性がなく大きな副作用の心配が少ないので、市販の解熱鎮痛剤にも広く配合されています。

NSAIDにはさまざまな種類があり、市販薬の成分では「イブプロフェン」や「アセトアミノフェン」などがおなじみです。

そして、これらよりも強い鎮痛・抗炎症作用を持っているのが、フェニル酢酸系の「ジクロフェナク」やプロピオン酸系の「ロキソプロフェン」といわれています。

病院では、生理痛に鎮痛作用の高いジクロフェナク(ボルタレン、ソレルモン)を処方することもありますが、内服薬は市販化されていません。

ボルタレンやソレルモンと同じような効果の市販薬を探すならば、選択肢の一つとして「ロキソニンS」などロキソプロフェン系の解熱鎮痛剤をおすすめします。

ロキソプロフェンが配合されている薬の概要

ロキソプロフェンを使った薬には、内服薬と外用薬があります。また医療用医薬品とOTC医薬品では用途や使用方法が少し異なっています。

▼解熱鎮痛剤(内服薬)

OTC医薬品 医療用医薬品
効能・効果
  • 鎮痛
    (頭痛・月経痛・歯痛
    咽喉痛・神経痛・筋肉痛
    外傷痛など)
  • 悪寒・発熱時の解熱
  1. 歯痛・ 腰痛症
    関節リウマチ
    肩関節周囲炎
    頸肩腕症候群
    などの消炎・鎮痛
  2. 外傷・抜歯後・手術後
    の消炎・鎮痛
  3. 急性上気道炎の消炎・解熱
用法・容量 1回60㎎を1日に2~3回
(1日量の限度は180㎎)
※15歳未満は使用できない
上記の1・2の場合は
1回60㎎を1日に3回経口投与
上記の3の場合は
  1回60mgを1日2回まで
 (1日量の限度は180㎎)
頓用は1回60~120mg
※15歳未満には適応しない

参照…「ロキソニンS」「ロキソニン錠60mg ロキソニン顆粒10%」添付文書 (第一三共ヘルスケア)

▼消炎鎮痛剤(外用薬)

OTC医薬品 医療用医薬品
効能・効果
  • 腰痛・肩こり痛・関節痛
    筋肉痛・腱鞘炎・肘の痛み
    打撲、捻挫 の緩和
  • 変形性関節症・筋肉痛
    外傷後の腫脹・疼痛
    の消炎・鎮痛
用法・容量 テープ・パップ剤は
1日1回、患部に貼布
ゲルは適量を1日3~4回塗擦
※15歳未満は使用できない
テープ・パップは
1日1回、患部に貼布
ゲルは適量を1日数回塗擦
※15歳未満には適応しない

参照…「ロキソニンテープ」「ロキソニンゲル1%」「ロキソニンSテープ50㎎ロキソニンSテープ100㎎」「ロキソニンSゲル」添付文書 (第一三共ヘルスケア)

医療用医薬品の場合は、頓用(急な発作などをすぐ止める目的で薬を飲むこと)で1回あたり120㎎までの服用が認められていますが、基本的には医療用医薬品・OTC医薬品とも1回あたり60㎎、1日量は180㎎までの服用が基準となっています。

また、ロキソプロフェンは、医療用医薬品・OTC医薬品とも15歳未満の小児に使うことはありません。

小児に対する安全性が確認されていないので医療用として使ったことがなく、そのためにOTC医薬品のロキソプロフェンは安全性を考慮して小児への使用が禁止される形になっています。もちろん、15歳以上の人が適切に使用する場合には問題はありません。

頭痛・生理痛、炎症に効く。ロキソプロフェンの効果と特徴

医療用のロキソプロフェンは、もともと生理痛に処方される薬ではありませんでした。ほかの解熱鎮痛剤と同じ仕組みでさまざまな痛みをしずめるので、市販の解熱鎮痛剤は生理痛や頭痛にも使えます。そのロキソプロフェンには次の特長があります。

  • 速くよく効く
  • プロドラッグ化によって胃腸障害が軽減されている
  • 眠くならない
  • 炎症を抑える効果が高い

速くよく効く

鎮痛作用はNSAIDの中ではトップレベルの強さです。また血中に移行するのが速い、つまり早く効きやすいので、服用して15~60分くらいで効果があらわれ、つらい生理痛や一刻も早く止めたい頭痛におすすめです。

プロドラッグ化によって胃腸障害が軽減されている

ロキソプロフェンは強い作用を持つNSAIDですが、プロスタグランジンが胃粘膜を保護する作用を低下させ、胃を荒らす副作用が強く出てしまうという弱点も持っています。

しかしそれでは消化性潰瘍のリスクが高まってしまうので「プロドラッグ」化という製法によって、胃腸障害が大きく軽減されています。

このプロドラッグというのは、副作用を起こす成分がからだになるべく作用しないよう工夫することで、さまざまな医薬品に用いられています。

たとえばロキソプロフェンの場合だと、胃腸を通るときには胃腸を刺激しない状態になっていて、胃腸を通った後にはじめて胃腸を刺激する性質があらわれるようなプロドラッグ化がほどこしてあります。

こうすることで胃腸には大きな負担をかけることなく薬効を発揮させ、すぐれた鎮痛効果を示すことができるのです。(完全に胃腸障害が抑えられるわけではありません。)

眠くならない

ロキソプロフェンは眠くなる成分ではありません。熱鎮痛剤を飲むと副作用で眠くなることがありますが、ロキソプロフェンは日中や車を運転する前など眠くなってはいけないときにも安心して使用することができます。

眠気をもよおすのは、解熱鎮痛剤に配合されている鎮静成分が原因です。眠くなるのが困る場合は、鎮静成分が配合されていない薬を選びましょう。

炎症を抑える効果が高い

ロキソプロフェンは抗炎症作用にもすぐれ、痛みだけでなく同時に腫れや赤みなどの炎症もしずめます。

そのため、内服薬の解熱鎮痛薬を常備しておくと、頭痛や生理痛だけでなく、筋肉痛、外傷、抜歯後の歯茎の痛みなど炎症を伴う痛みが起こった時にも役立ちます。

外用剤のロキソプロフェンは、プロドラッグ化により患部だけにしっかり作用し、全身に及ぼす副作用を抑える工夫もなされています。

ロキソプロフェンで起こると考えられる副作用

ロキソプロフェンで起こりうる副作用は、基本的にほかのNSAIDと同じで、主な副作用には次の症状が挙げられます。

胃部不快感、腹痛、吐き気、食欲不振、嘔吐、むくみ、発疹、じんましん、皮膚のかゆみ、眠気、口の渇き、口内炎、めまい、ふらつき、倦怠感、動悸、しびれ、ほてり、貧血など

中でも胃腸障害が起こりやすく、ロキソニン錠60㎎の場合は消化器症状の副作用が2.25%の頻度で診られることが報告されています。

プロドラッグ化によって胃腸にかかる負担は軽減されているものの、もともと胃・十二指腸潰瘍のリスクが高い成分のため、ほかのNSAIDに比べると胃腸障害がやや起こりやすくなっています。

また眠くならない成分ですが、0.1%の頻度で眠気が起こることも報告されています。

ロキソプロフェンの重篤な副作用

ロキソプロフェンを配合したOTC医薬品は「第1類医薬品」にリスク区分され、薬局では自由に商品を手に取って購入することができません。商品棚には空箱が置いてあり、商品は消費者が直接手にすることができないようになっています。

ほとんどのOTC医薬品はレジでお金を払うだけで購入できる「第2類医薬品」「第3類医薬品」ですが、ロキソプロフェンは、特に副作用や健康被害の起こるリスクに十分注意しなければならないため、薬剤師が確認したうえで消費者に販売するよう義務付けられています。

ほかの解熱鎮痛剤に比べて副作用の起こる頻度が極端に高いというわけではありません。

しかし、新たに重篤な副作用(小腸・大腸の狭窄・閉塞)が報告されるなど注意しなければならない点があるので、副作用についてはきちんと理解しておく必要があります。

ちなみに、ロキソプロフェンを配合したOTC医薬品は、2015年に第2類医薬品への移行が検討されたのですが、副作用が報告されているため移行は見送りとなりました。

ロキソプロフェンによって起こる重篤な副作用には次の症状があります。

副作用の種類 特徴的な症状
ショック
アナフィラキシー
かゆみ、じんましん、呼吸困難
など
無顆粒球症・血液障害 のどの痛み、青あざ、倦怠感
出血しやすくなる
スティーブンス・ジョンソン症候群
(皮膚粘膜眼症候群)、
中毒性表皮壊死融解症
目の充血、唇のただれ、のどの痛み
高熱、皮膚の広範囲の発赤・発疹
など
消化器穿孔 激しい腹痛、嘔吐、タール状の便、血便
など
小腸・大腸の狭窄・閉塞 腹部膨満感・腹痛、嘔吐など
うっ血性心不全 息切れ、動悸、倦怠感、めまい
胸痛など
肝機能障害 倦怠感、黄疸、発疹、かゆみ、褐色尿
など
間質性肺炎 からだを動かすと息切れ、咳、倦怠感
発熱などが起こり持続する
腎障害 倦怠感、尿量の減少、全身のむくみ
など
ぜんそく 息をする時ヒューヒューと音が出る
無菌性髄膜炎 首筋のつっぱり、激しい頭痛、発熱
嘔吐など
横紋筋融解症 筋肉が痛んだりこわばったりする
血尿が出る

上記のような副作用が起こることはまれなので、むやむにおそれる必要はありません。ただし万が一の際にはすぐ受診しなければならないので、どのような副作用があるのかということは知っておいていただきたいと思います。

ロキソプロフェンを使用するときの注意点

第1類医薬品のロキソプロフェンは、購入する際にいくつかの条件があります。薬局に行く前に、購入方法と使用上の注意点をチェックしておきましょう。

ロキソプロフェンを使用することができない人

次に挙げる人は、病気が悪化したり副作用を起こすおそれがあるため、ロキソプロフェンを使用することができません。

  • 胃・十二指潰瘍がある人
  • 肝臓・腎臓・心臓の病気がある人
  • 15歳未満の小児
  • 出産予定日12週以内の妊婦
  • ロキソプロフェンでアレルギー症状を起こしたことのある人
  • 解熱鎮痛剤や風邪薬でアレルギー症状を起こしたことのある人
  • 血液の異常(貧血・赤血球または血小板が少ない)がある人

購入前に薬剤師へ相談することが必要な人

次の人は、ロキソプロフェンのOTC医薬品を購入する前に、薬剤師または医師に相談する必要があります。

  • 病院の治療を受けている人
  • ワルファリン、アスピリン製剤など特定の薬を服用中の人
  • 出産予定日まで12週以内をのぞく妊婦、または妊娠の可能性がある人
  • 授乳中の人
  • 高齢者(65歳以上)
  • 薬などでアレルギー症状を起こしたことのある人
  • 次の疾患にかかったことのある人
    胃・十二指腸潰瘍、血液の病気、肝臓病、腎臓病
  • 次の疾患にかかったことのある人
    気管支ぜんそく、全身性エリテマトーデス、
    潰瘍性大腸炎、クローン病、混合性結合組織病

持病があって受診中の人は担当医に相談しましょう。解熱鎮痛剤の購入する場合は、薬剤師のいる薬局に足を運び店頭で相談してください。

使用する際の注意事項

ロキソプロフェンを服用する場合は次の注意事項を守る必要があります。

  • 症状の出ているときのみに使用する
  • ほかの解熱鎮痛薬、かぜ薬、鎮静薬と併用しない
  • 薬の服用前後に飲酒してはいけない
  • 1~2回使用して効果の感じられない場合は、薬剤師か医師に相談する
  • 解熱鎮痛剤は3~5日以上の長期連用をしない

これらの注意事項を守らずに使用すると、内臓に大きな負担をかけたり思わぬ事故が起こりやすくなったりして危険です。自己判断で「少しくらい大丈夫」と正しくない使い方をするのはやめましょう。

もしも服用後に副作用と思われる症状がみられた場合は使用を中止し、薬の説明文書を持参して薬剤師または医師に相談します。

呼吸困難、激しい腹痛、嘔吐など強い症状が起こった場合は重篤な副作用を起こしている可能性があるので、すぐ受診しなければなりません。

また、ロキソプロフェンはほかのNSAIDよりも消化器を刺激しやすいため、体質や体調によっては消化性潰瘍のような強い胃腸障害を起こす可能性があります。消化器症状がみられた場合は、継続して服用するのはやめましょう。

頭痛や生理痛にはたしかな効き目のロキソプロフェン

ロキソプロフェンはほかの痛み止めと比べると歴史の浅い成分ですが、効き目が確かなことから多くの人に支持されるようになりました。次のような効能を期待する人にはロキソプロフェンがおすすめです。

  • たしかな効き目の痛み止めを選びたい
  • 生理痛や頭痛が起こりやすい
  • 生理痛を一刻でも早くしずめたい
  • 眠くなるのが困る

また、話題性や評判の良さだけでなく、自分の体質や体調に合うかどうかということが重要です。店頭で薬剤師の説明を受ける時(薬剤師の在籍する薬局からネット通販での購入も可能)によく相談し、納得したうえで購入されることをおすすめします。

ロキソニンに関する詳しい情報はロキソニンの効果と副作用。生理痛や生理にともなう頭痛への威力は?でも紹介しています。

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