生理痛が酷いのは病気かも。器質性月経困難症のチェックリスト

毎月訪れる生理に痛みがあると、多くの女性は生理痛が引き起こされることが普通だと思い慣れていきます。

例えば、眠れないほどの痛みや動けないほどの痛みに襲われても、「今回の生理通は重いな」と思うだけで終わってしまう・・・。

しかし、眠れないほどの痛みや動けないほどの痛みを引き起こすのは、「ただの生理痛」だけではありません。

あまりの痛みに産婦人科に診察に行き、生理痛だと思っていたら別の病気だった。このようなことも少なくありません。

そこで、今回は生理痛の原因になりうる病気について紹介します。あなたの身体は、大丈夫でしょうか?

あなたの酷い生理痛は病気が原因かも?目安となるチェックリスト

そもそも「生理痛が酷い」という定義は、何を目安とすればいいのでしょうか?多くの場合、アドバイスとして「日常生活に支障が出たら」と言われています。しかしそれでは遅いと感じる人もいるのです。

「日常生活に支障はまだ出ていないけれど、このままだと出てしまいそう」という、病院に行くほどなのかも分からない人が持つ不安。そんな不安を少しでも払拭できるように、目安となるチェックリストを紹介します。

下記の12項目からなるチェックリストを見て、是非とも判断材料の一つにしてください。

  • 生理期間が長いほうで、十日以上継続する
  • 生理期間を重ねるごとに、生理痛がどんどん悪化し続ける
  • 鎮痛剤を飲んでも効果がないぐらいに痛い
  • 生理期間やその前後でもないのに、下腹部が生理痛のように痛む
  • 生理周期と合わないタイミングで、突然出血することがある(不正出血)
  • 経血の量がいつもより異常に多い
  • 生理中にレバーのようなドロッとした血の塊が出る
  • 予兆もなく、急に発熱・寒気・貧血を伴うことがある
  • 生理痛がひどくて、起き上がることも動くこともできない
  • 生理期間中に、頭痛や吐き気が頻繁に起こる
  • 排便時や排尿時など、力むときに腹部が痛む
  • 性行時に膣の奥の方が痛い

生理痛の痛みが病気からくるものの場合、上記のチェックリストにある症状が出ることが多々あります。心当たりがあり、不安を感じている場合は、放置することなく一度は産婦人科に受診に行ってみましょう。

不安を鬱々を抱えているよりは、ささっと払拭してしまったほうが精神的な安定にも繋がり、結果的なストレス緩和にもなるからです。

チェックリストにあてはまった人が注意したい、生理痛が酷くなる病気

では、このチェックリストに引っ掛かるような、生理痛が酷い時に疑われる病気とは、どのようなものがあるのでしょうか?簡単に紹介していきます。

酷い生理痛が起こる原因として最も多い「子宮内膜症」

酷い生理痛を引き起こす病気として、最も多いのがこの「子宮内膜症」です。

子宮の内側を覆う内膜が、子宮以外の場所にできてしまう病気です。生理が訪れる女性であり、閉経していないならば、年齢に問わず発病する可能性のある病気です。

なぜこの病気で生理痛を伴うのか?それは子宮内膜が子宮以外でできてしまうからです。子宮内部で作られる子宮内膜は、生理の度に経血と共に剥がれ落ちて体外に排出されます。

しかし、子宮以外の場所に子宮内膜ができた場合、生理周期がおとずれたとしても、古い子宮内膜を排出する通り道がありません。

その為、子宮内膜が剥がれ落ちにくくなったり、剥がれたとしてもその場にとどまり続けるため、激しい生理痛を伴います。場合によっては早期に治療をしないと、不妊症になったりガンに発展する可能性があります。

後々のためにも、不安に思ったならば産婦人科に相談に行くことも検討してくださいね。

できた位置によっては流産や不妊に影響するかもしれない「子宮筋腫」

「子宮筋腫」とは、子宮の中にできる良性の腫瘍のことです。40代の女性に多く、四人に一人は潜在的に持っていると言われています。

病気にカウントされていますが、それほど大きくなければ命にかかわる危険性はなく、出来た場所によっては無害のままです。ただし、筋腫ができた位置に問題があり、その結果として子宮の機能を阻害し、流産や不妊などの悪影響を与える場合があります。

この病気による生理痛の場合は、

  • 生理期間が長い
  • 経血の量が多い
  • 下腹部の圧迫感

が特徴的です。心当たりがあり不安に思ったならば、産婦人科で相談したり、筋腫の除去手術をすることを選択してもいいでしょう。

どんどん悪化する「子宮腺筋症」は早期の治療が大事

「子宮腺筋症」は、病気の発生条件が「子宮内膜症」とよく似ていますが、別の病気として数えられています。これは子宮の筋肉の内側に、子宮内膜とよく似た組織が増殖してできてしまう病気です。

子宮内膜が何らかの理由により、子宮の中の筋肉に入り込んで発症します。特徴としては、入り込む深さが子宮筋の8割を超えると、強い痛みが襲う生理痛を感じるようになります。

しかし、その生理痛は序の口です。放っておくとそれだけではなく、

  • 子宮の肥大化
  • 月経量の増加
  • 下腹部の痛み
  • 肛門痛
  • 足の痛み

と、子宮を中心として症状がどんどん伝播していきます。

また、妊娠しにくく不妊の症状が現れます。さらに、例え妊娠できたとしても、流産がしやすくなる傾向が強くなります。増殖する組織は女性ホルモンによって維持と増殖が行われるため、治療しなければ症状はどんどん重くなります。

症状がどんどん悪化していくことからも、早期発見と早期の治療を行う必要のあるものです。

急いで検査して!「卵巣嚢腫」は緊急手術になることも

生理痛が酷い時に疑われる病気の中で、もっとも早期発見が難しい分類に入るのがこの「卵巣嚢腫」という病気です。この病気は、卵巣そのものが腫れあがる病気で、悪化すると激しい腹痛を伴います。

また、放置すると不妊症になったり、最悪の場合では腫れあがった卵巣が「卵巣破裂」を引き起こして、お腹の中で多量の出血が生じ血が溜まってしまいます。

ここまでくると、発覚して即座に緊急手術に入ることもあるため、注意が必要です。

卵巣は元々「沈黙の臓器」と呼ばれるほどに痛みが伝わりにくく、分かりやすい症状が身体にあらわれないことが特徴です。その沈黙の臓器である卵巣に関して激し痛みがあるというだけで、既に緊急事態なのです。

そのため、この病気に関しては些細な変化も見逃さないようにすることが、後々の自分を救うことに繋がります。

  • 生理以外で下腹部や腰に生理痛のような痛みが生じる
  • 経血の量が多い
  • 生理痛が前より酷くなった
  • 下腹部にしこりがある
  • いつもなら太る量を食べても太らなくなった

これらの症状は注意が必要です。

このように、沈黙の臓器と呼ばれる卵巣の病気を見逃さぬように、痛みを感じたときには産婦人科に駆け込むことも検討してください。

特に、後々の妊娠を考えている女性にとっては大切な部分です。

年に一度は、産婦人科で定期検査を受けることも検討してみてくださいね。

生理痛のメカニズムと月経困難症の2タイプは知っておきましょう

そもそも生理(月経)とは、女性の子宮で卵子が受精せず、妊娠しなかった場合に起こる生理現象です。不要となった子宮内膜が剥がれ落ちて、子宮の収縮によって役割を終えて経血といっしょに体の外に排出されます。

この時に、子宮に収縮を促すプロスタグランジンという物質の分泌が多い人ほど、生理痛が起こりやすくなります。プロスタグランジンが過剰に分泌されると、子宮の収縮が必要以上に活発になり、激しい痛みを感じやすくなるからです。

プロスタグランジンは子宮の収縮に関する効果だけではなく、血管や胃腸の働きにも作用します。そのため、プロスタグランジンの過剰分泌が起こると、

  • 腹痛
  • 身体の冷え
  • 吐き気
  • 食欲不振

なども引き起こすことに繋がります。

他にも、このような物質によるものではなく、身体構造的なことが理由で生理痛になることがあります。

例えば、生理で剥がれ落ちる子宮内膜が平均より分厚く構成される人は、その剥がれ落ちる量と勢いも強くなります。そのため、剥がすためにプロスタグランジンの分泌量も増え、結果として経血の量も多くなり、生理痛が出やすくなる傾向にあります。

また、生まれ持つ子宮の形から生理痛を誘発することもあります。例えば、子宮の形が細く長い形状だったり、膣が狭いと上手に経血を行えず、生理痛が強くなることがあります。これが原因の場合は、妊娠・出産をすると、改善することがあります。

そのため、妊娠や出産をしたら生理痛が軽減した女性は、この身体構造的な問題で生理痛だったのかもしれません。妊娠・出産により、子宮の形が整ったり膣が広がることを経験したことで、経験前と子宮や膣の形が変わり、生理痛が改善した報告例があります。

日常生活に支障があるほどの生理痛は医学用語として「月経困難症」とも呼ばれ、その原因として大きく分けて二つに分類されます。

上記で紹介したようなものを中心として、身体的なものが原因である生理痛は、「機能性月経困難症」に分類されています。

そしてもう一つは、身体的な病気が原因となる生理痛の、「器質性月経困難症」に分類されるものです。

今回紹介したい生理痛の原因となる病気は、全て前述した「器質性月経困難症」に分類されているものです。

20代~30代の間に一度は産婦人科で受診しよう

今回紹介したように、激しい痛みを伴う酷い生理痛の原因が、病気であることは珍しくもありません。動けないほどに酷い痛みや、鎮痛剤の効きが悪くなり、生理痛を理由に産婦人科に行くことは、恥ずかしいことでもなんでもありません。

産婦人科の医師は、女性特有の病気や症状についてのスペシャリストです。生理痛についての悩みも、受診に行けば解決に向けて数々の提案をしてくれます。

それは生活習慣の改善アドバイスであったり、強めの鎮痛剤や低用量ピルなどの処方箋の提案であったりと、医師により様々な選択肢を授けてくれます。他にも、精神的な理由の場合は心理カウンセリングを進めてくれる場合もあるのです。

一番恐ろしいのは、当人や周囲による素人判断です。「これぐらい大丈夫だろう」と常日頃から生理痛を判断している方は、今回紹介したチェックリストをじっくりと見てください。

心当たりは一つもないでしょうか?無理をしていないでしょうか?

生理痛は、女性特有の痛みであり、個人差が激しい物です。他の人が大丈夫だと言っても、あなた自身が不安を抱くならば、すぐにでも産婦人科に受診に行ってみてください。問題がないならば、大丈夫だと医者が太鼓判を押してくれます。

専門家に裏付けを貰う安心感は、あなたの不安を払拭してストレスを軽減してくれるはずです。不安に思って悶々としているならば、一度は産婦人科に受診に行ってみてくださいね。

そして後々の妊娠を考えているならば、20代から30代の間に一度は産婦人科を受診し、検査を受けてみることをおすすめします。あなたにとっていつもの生理痛が、専門家からすれば病気の前兆であることもあるのです。

あなたにとって後悔のない、よりよき未来のためにも、酷い生理痛に悩んでいるならば行動してみてくださいね。

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