月見草オイルの効果と副作用。PMSや生理痛を改善するサプリメント

月見草オイルは、女性の不調をおだやかに改善することで注目を浴びている植物油です。

美容オイルやサプリメントに配合される成分として見かけることが増えてきましたが、月見草オイルにはどのような特徴があるのでしょうか。

月見草オイルの原料になっている月見草とは、月見草オイルの効果と気になる副作用について説明していきます。


「王の万能薬」として珍重されてきた月見草オイルの特徴

「月見草オイル」は、月見草の種子を低温で圧搾してつくられる油です。

食用することもできますが希少な油で、普段スーパーで見かけることもないように、現在は食用油として出回ることがほとんどありません。私たちは、美容オイルやサプリメントを入手することで月見草オイルを利用することができます。

月見草オイルは、皮膚トラブルを改善するオイルとして知られるほか、女性特有の悩みを緩和する健康食品としても注目されています。

月見草ってどんな植物?

月見草は、アカバナ科マツヨイグサ属の多年草で、学名をメマツヨイグサといいます。

▼黄色い花のマツヨイグサ
メマツヨイグサ写真
メマツヨイグサ写真2クローズアップ

和名のマツヨイグサ(待宵草)や月見草は夜間だけ咲くことが由来しています。

ヨーロッパではイブニングプリムローズ(夜に咲くサクラソウ)と呼ばれ、月見草オイルは「イブニングプリムローズオイル」という名前で出まわっていることもあります。

一夜限りの花を咲かせるなんて、はかないけどロマンチックな花ですね。ところがこの可憐な月見草、残念ながら日本ではほとんどお目にかかることができません。

月見草は、原産地の北米~メキシコをはじめ、南半球やヨーロッパでみられる植物です。

マツヨイグサ属の仲間は黄色い花を咲かせるものが多く、荒れ地や草原に繁殖して雑草化します。

白い花を咲かせる月見草は繁殖力が弱く、日本の環境になじまないこともあり、見かける機会はありません。ただし、同属で黄色い花を咲かせる「メマツヨイグサ」や「コマツヨイグサ」は、夏に河原や道端でもよく見かけます。

厳密に分類する場合は白い花の咲くものを月見草と呼ぶのですが、一般に、黄色い花が咲くマツヨイグサも月見草と呼ばれることが多くなっています。また、メマツヨイグサの種子は月見草オイルの原料として使われています。

月見草の歴史

月見草が日本に入ってきたのは1850年ごろですが、日本で栽培されることが少なく、薬用植物として広まることもありませんでした。国内で黄色い花を咲かせるマツヨイグサは、月見草が外国から入って変化したものとされています。

月見草の原産地である北米では、すでにネイティブアメリカン(アメリカの原住民)が月見草の薬効を発見し、花、茎、葉、種を薬草として活用していました。月見草は、咳止めや痛み止めの内服薬、傷やできものの外用薬と、幅広く役立っていたようです。

また17世紀に入ると月見草がイギリスに伝わり「王の万能薬」としてヨーロッパにも普及していきました。中国でも、種子や乾燥させた根が薬用に用いられています。

月見草は体に良い植物として、あらゆる部位がお茶、スープ、漬物などの食用に用いられるようになりました。

そして、月見草の種子に含まれる成分が注目されるようになったのは、1930年以降のことです。

体内に存在する生理活性物質「プロスタグランジン」の発見がきっかけで、月見草オイルにはプロスタグランジンの材料になる「ガンマリノレン酸」が多く含まれることもわかりました。

以降、ガンマリノレン酸(γリノレン酸)の素晴らしい健康効果が注目されると共に、その補給源となる月見草オイルも重宝されるようになり、化粧品やサプリメントの製品化が始まりました。

ガンマリノレン酸を含む月見草オイルの効果効能

月見草オイルには、リノール酸、γ(ガンマ)リノレン酸、パルチミン酸などの脂肪酸が含まれ、月見草オイルは次に挙げる健康効果が期待されています。

月見草オイルに期待される健康効果
  • 月経前症候群(PMS)や生理痛を緩和する効果
  • 皮膚トラブルを予防・軽減する効果
  • 生活習慣病の予防

月見草オイルの特筆すべき点は、ほかの食品にほとんど含まれていないガンマリノレン酸が含まれているところ。ガンマリノレン酸が全体の約10%前後の割合で含まれ、ガンマリノレン酸の貴重な補給源となっています。

ガンマリノレン酸とは

ガンマリノレン酸は、油に含まれる「不飽和脂肪酸」のひとつです。体内で生理活性物質「プロスタグランジン」の材料になり、皮膚や粘膜を丈夫にしたり、ホルモンのバランスを整えたりします。

このプロスタグランジンには、炎症をしずめたり体の調子を整えたりする「善玉」と、炎症や痛みを起こす「悪玉」があり、ガンマリノレン酸は善玉の「プロスタグランジンE1」を増やす役割があります。

善玉のプロスタグランジンを増やすガンマリノレン酸は、積極的に摂取したい栄養素ですが、含まれているのは母乳、月見草の種子、ボラージというハーブの種子など限られた食品のみです。通常の食事ではまず入手が難しいですよね。

ただし、私達のからだは、同じ不飽和脂肪酸の「リノール酸」からガンマリノレン酸を生成する機能をそなえているので、リノール酸を摂取していればガンマリノレン酸が欠乏することはほとんどありません。

またリノール酸は、植物油やマヨネーズに多く含まれているので、通常の食生活を行っていれば十分に摂取することができます。

かといって、植物油やマヨネーズからリノール酸を積極的に摂取すればガンマリノレン酸が増えるのかといえば、そうでもありません。

逆にリノール酸を大量摂取すると悪玉の「プロスタグランジンE2」を増やすアラキドン酸に作り替えられてしまい、悪玉のプロスタグランジンによってアレルギー症状、痛み、炎症が起こりやすくなってしまうのです。

つまり、善玉のプロスタグランジンを増やして痛みや炎症をしずめるにはリノール酸が必要ですが、リノール酸が多すぎると悪玉のプロスタグランジンが増え、逆に痛みや炎症が強くなってしまう、ということになります。

リノール酸は揚げ物や炒め物、調味料などから幅広く摂取でき、過剰摂取が問題になっています。アレルギーや生理痛、頭痛のある人は、もしかするとリノール酸の大量摂取によって悪玉のプロスタグランジンを作っているのかもしれません。

リノール酸ではなくガンマリノレン酸を摂取すれば、悪玉のプロスタグランジンを作らずに善玉のプロスタグランジンを増やすことができ、PMSや生理痛などを改善する効果も期待できますね。

月見草オイルがもつPMSや生理痛を緩和する効果

ガンマリノレン酸が体内で善玉のプロスタグランジンE1に作り替えられると、ホルモンバランスが整い、PMSの症状を緩和する効果が期待できるようになります。

またプロスタグランジンE1には鎮痛作用があるので、生理痛、PMSや生理に伴う頭痛をしずめる効果も期待できます。

月見草オイルがPMSの症状を緩和する効果は、臨床実験で詳しいことが証明されているわけではありませんが「PMSの症状がある女性38人が月見草オイルを6サイクル摂取したところ、有益な効果がみられた」という報告もあります。

(参照…米国国立医学図書館NCBI PMID: 2201888 )

また、月見草オイルは女性ホルモンのバランスをおだやかに整えるので、ホルモンバランスが乱れることで起こる更年期障害の改善にも効果が期待されます。

月見草オイルの肌トラブルを予防・改善する効果

月見草オイルは肌の乾燥や肌荒れを防ぐ美肌効果があり、美容オイルや化粧品などにも加工されています。ニキビ、肌荒れ、アトピー性皮膚炎などの肌トラブルの予防・改善にも効能があると期待されています。

月見草オイルに含まれるリノール酸やガンマリノレン酸が肌の表面をコーティングして肌内部の水分が蒸発するのを防ぎ、しっかりと肌を保湿します。また、抗炎症作用を持っているので肌荒れやニキビの予防にも役立ちます。

月見草オイルは、アトピー性皮膚炎向けの保湿剤にも適しています。月見草オイルをつけると肌のバリア機能が高まり、アレルゲンの刺激から肌を守る効果が高まります。また抗炎症作用によってアトピー性皮膚炎の炎症をしずめる効果も期待されています。

ガンマリノレン酸は体内で善玉のプロゲステロンを増やし、アレルギーやかゆみを防ぐ効果をもたらします。そのため、月見草オイルは肌に塗るだけでなく経口摂取をすることで皮膚の症状を軽減させる効果が高まります。

月見草オイルの生活習慣病を予防する効果

月見草オイルは女性向けのオイルみたいなイメージもありますが、生活習慣病が気になる人ならどなたでも利用することができますよ。

ガンマリノレン酸から作られる善玉のプロスタグランジンには、血圧、コレステロール値、血糖値を抑制する作用があります。

月見草オイルはサプリメントなのでカロリーが低く、生活習慣病を予防するために食事制限が必要な人も安心してガンマリノレン酸が摂取できます。

月見草オイルの安全性は?気になる副作用について

月見草オイルは、肌につけて良し、体の中に取り込んで良しの素晴らしいオイルですが、副作用の情報も気になりますね。

月見草オイルは食用できる植物油なので、ほかの食用油と同じように、薬のような副作用が起こることはまずありません。適量を摂取する場合は安全に利用することができます。

ただし、使い方を間違えるとほかの健康食品と同じようにトラブルが起こる可能性があることも理解しておきましょう。

大量摂取には注意

月見草オイルは健康食品といえど100%油なので、ほかの食用油と同じく大量摂取をすると脂質やカロリーのとり過ぎになってしまいます。

脂質をとり過ぎると、肥満や生活習慣病のリスクを高めるほか、皮脂の分泌も促進させてしまうので、生理前にニキビができやすい人は摂取量には気をつける必要があります。

推奨される油の摂取量は、成人で1日にあたり大さじ1杯半くらいです。食事からも油は摂取しているので、月見草オイルを含めて1日の油の摂取量が推奨量をオーバーしないよう注意しましょう。

入手できる月見草のほとんどはサプリメントに充填されたものです。サプリメントから1日に摂取できる月見オイルの量はそれほど多くないので、サプリメントを適切に摂取しているかぎりは、健康に影響を及ぼす心配はないと考えられます。

でも、サプリメントを一度にまとめて飲んだり、1日の摂取量を増やしたりすることは、油の大量摂取につながってしまうので控えるようにしてくださいね。

胃腸障害を起こす可能性も

月見草オイルはまったく副作用を起こさないというわけではありません。ほかの食用油でも起こりうる軽い副作用として、悪心、軟便、頭痛の起こる可能性が報告されています。

このような軽い胃腸障害を起こしやすいのは、脂質の消化に時間がかかり、体質によっては油の摂取が胃腸に負担をかけることがあるためです。胃腸の調子が悪い時には、油や月見草オイルのサプリメントの摂取を控えると良いでしょう。

また、サプリメント摂取後に気になる症状が出たときには、すぐ使用を中止することをおすすめします。

月見草オイルを避けたほうが良い人

月見草オイルには、からだに強く作用するような成分は含まれていません。ただし、健康状態によっては月見草オイルの作用が良くない影響をおよぼすおそれがあります。次に挙げるタイプの人は月見草オイルの摂取を控えましょう。

月見草オイルの摂取を避けたほうが良い人
  • 妊娠中の人
  • ワルファリンなど血液を固まりにくくする薬を飲んでいる人

月見草オイルが妊娠中の人にすすめられないのは、月見草オイルに分娩を促進する可能性があると報告されているためです。

また、月見草オイルには出血を助長する作用があるため、血液を固まりにくくする薬を飲んでいるときも摂取を控えなければなりません。

あくまでも食品なので、1~2回飲んだだけで体調が急変する心配はありませんが、長期連用すると体調に影響を及ぼす可能性が高くなるので、健康状態によっては使用を避けるか、使用前に医師に相談することがすすめられます。

ちなみに、授乳中に月見草オイルを利用することは、特に禁止されていません。

お母さんが摂取した栄養素は母乳を通して赤ちゃんにそのまま送られますが、月見草オイルに含まれるガンマリノレン酸は、もともと母乳に含まれ、粉ミルクに強化される赤ちゃんの大切な栄養素なので、適切に摂取すれば問題ないとされています。

月見草オイルの効果をパワーアップさせるには?摂取のコツと注意点

月見草オイルはデリケートなオイルです。特性を理解して上手に利用することで、効果を高め、使用上のトラブルを回避することができるようになります。

美容オイルを使う時の注意点

保湿性と抗炎症作用にすぐれた月見草オイルは、生理前のニキビや肌荒れができやすい人の基礎化粧品にぴったりな美容オイルです。

ただ、月見草オイルは「非常に酸化しやすい」という弱点があります。瓶詰めのオイルを利用する場合は、オイルの劣化に注意が必要です。

容器はふたを閉めて冷暗所に保存し、開封後は早め(1か月以内)くらいに使い切ります。においや色が変わってきた場合は使用を中止しましょう。

また、酸化しやすい油は紫外線に弱く、肌につけて紫外線を浴びると「油やけ」を起こしやすいので、月見草オイルは日中より夜間につけるのが安心です。

肌のバリア機能が低下しているアトピー性皮膚炎の人は、特に油やけなど紫外線ダメージに注意しましょう。

ガンマリノレン酸はEPA・DHAと一緒に

ガンマリノレン酸を摂取するときは、不飽和脂肪酸の「EPA」「DHA」を併用するとより効果的です。

EPA・DHAによって悪玉プロスタグランジンを抑える作用が増長され、炎症や痛みを緩和する効果をさらに高めることができます。

EPA・DHAは、血液中の善玉コレステロールを増やしたり脳の血流を促進させたりする「からだに良い油」です。EPA・DHAを多く含むイワシ・マグロ・サンマ・カツオ・サバなどを積極的に食べましょう。

肉の脂身や乳製品に含まれる飽和脂肪酸は悪玉コレステロールやアラキドン酸を増やすので、メインディッシュは肉料理やバター・チーズを使った料理に偏らず、魚料理、オレイン酸を含むオリーブオイルを使った料理なども取り入れましょう。

脂肪酸にはたくさんの種類があり、体内では互いがバランスを取り合ってはたらきます。

その仕組みは複雑で、脂肪酸のとり方が偏ると、コレステロールの善玉と悪玉でバランスが乱れ血管の病気を引き起こしたり、ホルモンを分泌する機能の低下を引き起こしたりします。

また、脂肪酸同士のバランスが乱れると、からだに良い脂肪酸が悪い影響を及ぼすようになることもあります。

ですから、月見草オイルを摂取するときは、ガンマリノレン酸の健康効果に依存するのではなく、さまざまなジャンルの食品から種類の違う油を少しずつとる工夫もおすすめします。もちろん、規則正しい食生活を心がけることが前提です。

月見草オイルは特にこんな人におすすめ

月見草オイルは、幅広い人が健康維持や美容を目的として利用することのできる健康食品です。その中でも、次に挙げるタイプの人におすすめです。

  • PMSに悩んでいる人
  • 頭痛や生理痛で鎮痛剤を使うことが多い人
  • 生理前のニキビや肌荒れが気になる人
  • 生活習慣病を予防したい人
  • アトピー性皮膚炎を改善したい人
  • 動物性脂肪をとることが多い人

PMSやアトピー性皮膚炎の人は、血液中のガンマリノレン酸濃度が低い傾向のみられることから、PMSやアトピー性皮膚炎はガンマリノレン酸不足が関係していることが示唆されています。

通常、ガンマリノレン酸は食用油に幅広く含まれるリノール酸から作ることができるので不足する心配はありません。ところが、中にはガンマリノレン酸を生成するのが苦手な体質の人もいて、ガンマリノレン酸が不足しやすい人がいることもわかっています。

「思い当たる理由がないのに、どうもPMSや生理痛、アレルギー症状がスッキリしない」「痛みに弱くて、頭痛や生理痛には鎮痛剤が手放せなくて困る」という人は、体内のガンマリノレン酸が不足しているかもしれません。

規則正しい食生活に月見草オイルをプラスしてガンマリノレン酸を直接補給し、体調をサポートしてみるのも良いでしょう。

月見草オイルのサプリでPMSや生理痛をおだやかに改善しよう

月見草オイルは天然成分100%の植物油です。薬ではないので、女性ホルモンの量を直接増やすような強い作用は持っていません。

ホルモン剤や鎮痛剤で気になる副作用もなく、おだやかにホルモンバランスを整えたり痛みの原因物質プロスタグランジンをしずめたりしてくれるので、安心して利用することができます。

PMSや生理痛を緩和させるためにサプリメントを選ぶ場合は、月見草オイルと女性の体調を整える成分が一緒に配合されている製品を利用するのもおすすめです。

からだに負担をかけずPMSや生理痛を改善したいときには、月見草オイルを是非お役立てください。

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