黄体ホルモンは増やすor減らす?重要なのはバランスを整えること
「黄体ホルモン」は、妊娠に備えて排卵後から生理前にかけて分泌量が増える女性ホルモンのひとつ。
黄体ホルモンは、分泌量が多すぎても少なすぎても女性にさまざまなトラブルをもたらしますが、ある程度は自分でもバランスをコントロールすることが可能です。
女性が健康でよりハッピーに過ごせるよう、毎日の心がけで黄体ホルモンのバランスを整えていきましょう。女性はぜひチェックしておきたい対策を紹介していきます。
生理不順は黄体ホルモンが不足、PMSは黄体ホルモンが過剰
生理が不順、生理がだらだら来る場合は、黄体ホルモンの分泌量が少なく、排卵や子宮内膜を厚くする機能がきちんと行われていない可能性が考えられます。
黄体ホルモンの不足は不妊症や流産の原因になるので早めの対処が必要です。
- 黄体ホルモンの分泌が過剰になっている
- または卵胞ホルモンとのバランスが乱れている
といった可能性があります。
特に、PMSの多彩な症状は多くの若い女性を悩ませています。PMSにお困りの方は、黄体ホルモンのバランスを整えるための対策を意識して生活に取り入れ、ホルモンバランスを積極的に整えていきましょう。
下垂体や卵巣の機能を向上させるため、規則正しい生活を心がけて体の調子を整えましょう。
ストレスを解消することで黄体ホルモンのバランスを整える
女性ホルモンは、脳の下垂体が卵巣に指令を送ることで分泌されているのですが、下垂体はストレスに弱いため、ストレスを受けると卵胞ホルモンも黄体ホルモンもスムーズに分泌されにくくなってしまいます。
特に、黄体ホルモンはストレスを受けた時に増える抗ストレスホルモン「コルチゾール」の影響を受けて分泌が阻害されやすいので、ストレスが増えるのは良くありません。
PMSに悩んでいる方は、黄体ホルモンのバランスが安定しやすくなるよう特に高温期のストレス対策を心がけましょう。
ストレスの要因は人それぞれですが、特に女性は人間関係に強いストレスを感じやすいといわれます。また、騒音、悪臭、暑さや寒さ、空腹、痛みやかゆみなど体が感じる不快感もストレスになります。
ストレスを感じるときには、たいていイライラや緊張を伴い呼吸が浅くなっていることがほとんどです。呼吸が浅くなると脳の酸素が不足してストレスの不快感が強まるので、まずはその場で意識して深呼吸をすることをすすめします。
深呼吸をすると、脳に酸素が行き渡り、リラックス効果をもたらす副交感神経のはたらきが優位になるので、ストレスをやわらげることができます。
普段の生活では、一例として次に挙げるようなストレス解消法の実践もおすすめします。
- 女性ホルモンのバランスを整えるためのストレス解消法
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- 趣味の時間を持つ
- 部屋に花を飾る
- 友達とおしゃべりする
- つらい時は素直に周りの人に甘える
- アロマテラピーをする
- 温泉や景色の良い所に旅行する
- 動物と触れ合ったり、可愛い動物の動画を見る
- 温かいハーブティーを飲む
- 映画やドラマを見て、思い切り笑ったり泣いたりする
- 手打ちうどんやパン生地を思い切りこねる
甘いものを食べる、やけ食い、ショッピングなどの方法は一時的にスッキリしますが、PMSの症状が重くなったり、あとで後悔してストレスがたまることがあるので、女性ホルモンを整える目的ではおすすめはしません。喫煙、飲酒、ギャンブルもNGです。
また、物にあたる、壊す、悪口を言う…といったネガティブなストレス解消法も、交感神経が興奮して黄体ホルモンのバランスが乱れるのでおすすめできません。
怒りの感情が爆発しそうなときは、怒りの矛先を人に向けず「手打ちうどん」やパン生地にぶつけ、力いっぱいこねたり踏んだりすると、スッキリして後で食べておいしく一石二鳥。冗談みたいですが、このように後味の悪くない解消法を選ぶことが大切だと思います。
高温期の睡眠の質に注意!睡眠不足は下垂体や卵巣の敵
黄体ホルモンのはたらきが活発になる高温期は、睡眠が浅くなりやすく、十分に睡眠がとれないために日中に眠気が起こったり睡眠不足でイライラしやすくなります。
また、睡眠が不十分だと脳や体の疲労を修復することができず、下垂体や卵巣の機能が低下して、ますます黄体ホルモンの分泌が不安定になってしまいます。
特に高温期は意識して快眠対策を心がけ、黄体ホルモンのバランスを整えましょう。
できれば高温期は、普段よりも睡眠時間を多めに確保するのが理想ですが、睡眠時間が確保できない場合は、睡眠の質を高める工夫をしましょう。
- 睡眠の質を高めるためのコツ
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- 早く起きて朝日を浴びる
- 夕方に軽い運動をする
- 就寝前にぬるめのお風呂にゆっくりつかる
- 温かい飲み物を飲む
生理前の不眠が強くなかなか改善しない場合は、受診することをおすすめします。
会話しながら楽しめる程度の運動を。ハードなのはダメ!
適度な運動は、ホルモンバランスを整えるのに最適です。体を動かして血行が促進されると全身に酸素と栄養が行き渡り、体の機能が向上して、ホルモンがスムーズに分泌されるようになります。
特に女性ホルモンのバランスを整えるなら、ハードなスポーツではなく、会話しながら楽しめる程度のゆるやかな運動がおすすめです。
ウォーキング、サイクリング、ゆっくりしたペースのジョギング、スイミングがおすすめです。
スタジオに通ってエアロビクスやヨガをするのも楽しいですね。「気持ちいい」「楽しい」と感じられるレベルの運動はストレス発散にもなり、一石二鳥です。
一方、真剣に勝ち負けをかけて行う競技は神経をピリピリさせて交感神経が過剰に興奮してしまうので、かえってストレスを感じてしまうかもしれません。
また、ハードなスポーツは体に大きな負担をかけたり、黄体ホルモンの分泌をさまたげるプロラクチン(乳汁分泌ホルモン)の分泌を高めたりする場合があります。女性がハードなスポーツを続ける場合は、専門家に相談するなどの健康管理も必要です。
スポーツが大好きな人でも、スポーツが心身にストレスをかけると女性ホルモンのためには良くないので、あくまでもホルモンバランスを整える目的の場合は心身にストレスがかからないレベルを目指すようにしましょう。
バランスのとれた食生活を心がける
ホルモンのバランスを整えるには、栄養バランスのとれた食生活も必要です。
- コレステロール
- ビタミン
- ミネラル
が欠かせません。また黄体ホルモンの分泌をコントローするには、ビタミンB6も必要です。
黄体ホルモンの分泌をコントロールする栄養素について、詳しくは女性ホルモンのエストロゲンを整える食べ物。栄養素で厳選!をご覧ください。
生理不順やPMSのある人は、絶対に過剰なダイエットもやめましょう。過剰なダイエットをすると黄体ホルモンを分泌するために必要な栄養素が欠乏し、黄体ホルモンのバランスが乱れてしまいます。
私達の体の仕組みは、体に必要な栄養素が大きく不足した場合、女性ホルモンのように生命の維持には直接関与しない物質は栄養の供給が後回しにされ、生命の維持に必要な機能に栄養素が優先して送られるようになっています。
そのため過剰なダイエットをして栄養が不足すると、真っ先に女性ホルモンの分泌に異常をきたして、生理不順や無月経などが起こりやすくなります。
近年は、日本の若い女性のスタイルが向上してきたものの、若い女性、それほど太っていない女性の栄養不足が示唆されるようになってきています。
体型維持のためのハードな食事制限はホルモンのバランスを乱し、むしろ女子力を下げてしまうことになりかねません。過剰なダイエットは結果的にお得でないと考えましょう。
また、栄養不足で黄体ホルモンが不足した状態が慢性化すると「黄体機能不全」に陥り、妊娠しにくくなる可能性が出てきてしまいます。
将来、いざ子供が欲しくなった時に困ってしまう可能性が高くなるので、偏食や食事制限を避け、栄養をきちんと摂取しましょう。
もしダイエットが必要な場合は、食事制限はゆるやかにし、あとは運動でエネルギーを消費していく形をとるのが良いです。
体に必要なエネルギーと栄養素はきちんと摂取して、あとは運動で脂肪を燃焼させるようにすれば、ホルモンバランスは安定させたまま、健康的に引き締まった体を作ることができます。
生理不順やPMSが続く場合は婦人科の受診を
生理周期が長すぎ、または短すぎる人は、黄体ホルモンの分泌がスムーズに行われていない可能性が、またPMSの症状が強くて日常生活に支障をきたす人は、黄体ホルモンの分泌が過剰になっていることが考えられます。
黄体ホルモンの分泌に問題のある場合は、下垂体や卵巣の機能低下、内分泌系の病気が原因になっている場合があるので、気になる症状が続く場合は婦人科を受診して相談することもおすすめします。
- 受診がすすめられる症状
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- 生理周期が24日以下、または39日以上
- 基礎体温の高温期が14日未満、または18日以上
- 高温期の体温が上がらない、または上がったり下がったりする
- 生理が来ても体温が下がりきらない
- PMSの症状や生理痛がつらい
ホルモンバランスの異常は血液検査を受けることで、数値ではっきり確認できます。結果によってはホルモンの分泌を整えるためにHRT療法やピルの服用などの治療が必要な場合もあります。
生理周期の異常が気になる気になる場合は、まだ妊娠を希望していなくても一度婦人科で検査を受けましょう。
黄体ホルモンの過剰な分泌の抑制、または分泌の促進には、漢方薬の服用もすすめられます。PMS、生理不順が気になる方は医師や薬剤師に相談し、漢方薬を試してみるのも良いでしょう。
黄体ホルモンを整えて美しく健康的な女性になりましょう
女性ホルモンといえば、女子力を高める、バストアップに良いと言われる卵胞ホルモンのほうが重視されがちです。
ただ、黄体ホルモンの分泌に問題があると卵胞ホルモンとのバランスが乱れ、女性らしさを発揮することができなくなってしまうことも忘れないようにしましょう。
黄体ホルモン(プロゲステロン)は卵胞ホルモン(エストロゲン)と共にバランスを取りながら分泌され、規則正しい生理周期を作っています。そのバランスが乱れると生理周期が不規則になってしまうので、分泌量が多すぎても少なすぎても良くありません。
これら2つの女性ホルモンは、脳にある「下垂体」と卵巣の連携によって、常に体内のホルモンが適切な量になるようコントロールされています。また、その仕組みはとてもデリケートにできています。
ホルモンを分泌するシステムのどこかに少しでも乱れが出ると、すぐにホルモンの分泌量が変動し、黄体ホルモンが必要以上に多く分泌されたり逆に分泌量が不足してしまいます。
そして、黄体ホルモンの分泌が乱れたときには、生理周期が長くなったり短くなったり、また生理前に黄体ホルモンの作用によって胸の張りや痛み、下腹部痛、ニキビなどが起こりやすくなる、といった影響が出やすくなります。
ホルモンバランスが少し揺らぐことは誰にでもよくあることで、生理予定日のずれや体調不良が一時的なものなら、あまり気にしなくて良い場合がほとんどです。
ただ、生理不順が毎月のように続く、月経前症候群(PMS)がつらくて日常生活に差し支える、ということであれば、話は別です。
美しく毎日を健康的に過ごすため、卵胞ホルモン、黄体ホルモンについて知識を深め、普段からホルモンが安定する生活を意識しながら過ごしましょう。