自律神経を整える食べ物。いい栄養素6つの含有量から厳選

女性は、自律神経のバランスが乱れてちょっとした不調があちこちに起こりやすいです。

自律神経のバランスが乱れることは、特に病気というわけでもなく、はっきりした治療法や特効薬がないので、そのまま症状が続いてスッキリしない毎日を送る女性も少なくありません。

このようにつかみどころのない体調のゆらぎは、食べ物から取り込む栄養素の力で改善していくことができます。自律神経のバランスを整える栄養素、食べ物にはどのようなものがあるのか、一緒にチェックしてみましょう。

自律神経を整えるには脳神経の機能を高める栄養素が必要

私たちは、食事から取り入れる栄養によって、からだを動かしたり調子を整えたりしています。

たとえお腹いっぱい食べることができても、どれか栄養が欠けていると体調が悪くなって病気にかかりやすくなってしまいます。現代人には、そのようなアンバランスな食生活の人が増えているようです。

自律神経も食事から取り込む栄養によってはたらいてるので、栄養のバランスが悪くなると機能が乱れやすくなってしまいます。

好き嫌いの多い人、ダイエットをしている人、忙しくて食事が不規則な人は、栄養不足で自律神経のバランスが乱れやすくなるので、食生活を見直して、からだに必要な栄養をバランスよくとる必要があります。

特に自律神経のバランスを乱れて不調が起こりやすい人は、自律神経が正常に機能するのをサポートする栄養素を意識してとることをおすすめします。

たとえば、このような作用を持つ栄養素は、自律神経のバランスを整える作用が期待できます。

  • 脳神経の機能を高める
  • ストレスに対抗する力をつける

脳神経の機能を高めると良いのは、自律神経が脳にある視床下部によってコントロールされているためです。

また、視床下部はストレスに敏感で、些細なストレスを受けてもすぐ自律神経のバランスが乱れてしまうので、自律神経のバランスを安定させるにはストレスに対抗する力を高めることも大切です。

これらの作用をそなえていて自律神経のバランスを整える効果が特に期待されるのは、次に挙げる栄養素です。

  1. カルシウム
  2. マグネシウム
  3. ビタミンB(B1・B6・B12)
  4. ビタミンC
  5. ビタミンE
  6. ガンマオリザノール

からだの調子が悪くて受診したところ「自律神経失調症」と診断された人、特に思い当たる理由がないのにどことなく調子の悪い人は、自律神経をサポートする栄養素をしっかりとりこんで、自律神経のバランスをおだやかに整えていきましょう。

では自律神経のバランスを整える栄養素が摂取できる、おススメの食べ物を紹介していきたいと思います。

1.カルシウムが豊富な【乳製品】は神経の興奮をしずめる

カルシウムが豊富な乳製品は、自律神経のバランスを整えるのにぴったりな食品です。

カルシウムを摂取するためにおすすめしたい食べ物
牛乳、ヨーグルト、チーズ、スキムミルク(脱脂粉乳)

カルシウムは骨や歯の材料になることでおなじみですが、脳神経の緊張をしずめ自律神経のバランスを安定させるという役割もあります。

たとえば「イライラするのはカルシウム不足」と言われることがあるのも、カルシウムのはたらきと関係があります。

カルシウムは、からだに必要なミネラルの中で最も多く含まれ、99%は骨に貯蔵され、残りの1%はそれ以外の場所に存在しています。

そして骨に貯蔵されているカルシウムは骨から出たり入ったりすることができるので、神経や筋肉をはたらかせるとき、必要に応じて骨から出ていきます。

ただし、カルシウムは通常の食事で不足しやすい栄養素なので、どなたも毎回の食事や間食でカルシウムを意識してしっかり摂取することをおすすめします。

カルシウムが豊富に含まれる食品には、乳製品、さくらえび、しらす、大豆製品、こまつな、などがあります。この中でカルシウム補給で特におすすめしたいのが、カルシウムが豊富で、かつ体に吸収されやすい乳製品です。

1日に推奨されるカルシウムの摂取量は、成人男性で650~800㎎、成人女性で650㎎です。乳製品だと1食分でカルシウムが次にように効率良く摂取できます。

  • コップ1杯の牛乳…約220mg
  • プロセスチーズ1ピース…約250㎎
  • プレーンヨーグルト100g…約140㎎

乳製品の良いところは、食事だけでなく間食や飲み物にも使えるところです。慢性的にカルシウムの摂取量が不足していると骨量が少なくなり、骨からカルシウムが出ていくことで骨がもろくなるので、しっかりカルシウムを補給することが大切です。

乳製品が摂取できない人は、さくらえび、納豆や豆乳からの摂取をおすすめします。

2.カルシウムと一緒にとりたいマグネシウムは【大豆製品や貝類】で

大豆製品や貝類に多く含まれるマグネシウムも、自律神経のバランスを整える作用を持っています。

マグネシウムを摂取するためにおすすめしたい食べ物
あさり、牡蠣、納豆、豆腐、豆乳

マグネシウムは骨を丈夫にしたり脳神経の緊張をしずめたりする役割があります。また、月経前症候群の症状を緩和させる作用があることも知られます。

マグネシウムは、骨や筋肉に存在するほか、情緒を安定させたりストレスを緩和させたりと精神活動にも大きく関与するミネラルです。

魚介類、海藻類、大豆製品に含まれ、日本人の食生活では比較的不足しにくい栄養素といえます。

ただ、精神的なストレスの強い人、お酒をよく飲む人はマグネシウムが不足しやすく、マグネシウム不足によってイライラや抑うつ、自律神経の乱れが起こりやすくなるので注意が必要です。

また、カルシウムが吸収されるにはマグネシウムが必要になります。

カルシウムとマグネシウムは2:1の割合で摂取するのが理想とされます。不足しやすいからとカルシウムばかり摂取してしまうと、マグネシウム不足でカルシウムがきちんと吸収されなくなり、骨や神経を健康に保つことができなくなるので注意が必要です。

大豆製品はマグネシウムのほか、女性ホルモンのはたらきをサポートする「イソフラボン」が含まれているので、特に女性にはおすすめですね。

3.神経を正常に保つ【ビタミンB群】はまとめてチャージしよう

ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB12は、脳神経のはたらきをスムーズにするために欠かせません。また、ストレスを受けるほど消耗されていくので、自律神経のバランスを整えるためにはしっかり補給することが大切です。

ビタミンB群を摂取するため、特におすすめしたい食べ物
レバー、魚、貝類

ビタミンB1は神経を正常に保つ

ビタミンB1は、食事でとりこんだ糖質を脳やからだに必要なエネルギーに変換したり、神経を正常に保ったりする役割があります。

もしもビタミンB1が不足すると、糖質がエネルギーに変えられずエネルギー切れで疲れやすくなったり、脳に必要な栄養が不足して自律神経をコントロールする機能が低下しやすくなったりします。

また、ビタミンB1は末梢神経(全身に分布する細い神経)を正常に保つ役割があるので、不足すると末梢神経が過敏になり、自律神経失調症になると手足のしびれや肩こり痛など神経の痛みが起こりやすくなります。

特に甘い物、ご飯、パン、麺類、スナック菓子をたくさん食べる人は、注意しましょう。糖質をエネルギーに変える度にビタミンB1が消耗されるので、ビタミンB1が不足しやすくなります。

ビタミンB1が不足すると、神経伝達物質の連携がスムーズにできなくなって情緒不安定になり、自律神経失調症の症状でもあるイライラや抑うつなどの精神症状も起こりやすくなってしまいます。

ビタミンB1は、豚肉、うなぎ、レバー、グリーンピース、にんにくに多く含まれます。どちらかというと動物性食品に多く含まれ、野菜や果物には少ないので、菜食主義の人はビタミンB1不足に注意しましょう。

セロトニンを作るために欠かせないビタミンB6

ビタミンB6は、たんぱく質をエネルギーに変換したり、たんぱく質をアミノ酸に分解してからだを作るのを助ける役割があります。

また、自律神経のバランスを安定させる神経伝達物質の「セロトニン」は、アミノ酸の一種トリプトファンから作られます。セロトニンを作るには、たんぱく質をトリプトファンに分解するビタミンB6が必要です。

またビタミンB6には女性ホルモンのバランスを整える作用があり、PMSを緩和させる効果があるとされています。

ビタミンB6は幅広い食品に含まれ、通常の食生活では不足しにくい栄養素ですが、たんぱく質をたくさんとる人、自律神経のバランスを整えたい人はしっかり摂取することが大切です。

特に、にんにく、レバー、まぐろ、かつお、鶏肉、牛肉、玄米、大豆製品に多く含まれています。

神経を修復するビタミンB12

ビタミンB12は神経の代謝を促進し、末梢神経の傷を修復する作用があります。

そのため、病院では神経痛やめまいの治療にビタミンB12を処方したり、市販のビタミン剤も肩こり痛や腰痛にビタミンB12が配合されたりします。

自律神経失調症の症状で肩こり、手足のしびれ、めまいが起こりやすい人は、ビタミンB12を意識して摂取すると良いでしょう。

また神経伝達物質のはたらきをスムーズにして情緒を安定させる作用も持っているので、自律神経やホルモンのバランスが乱れるために起こる抑うつやイライラを緩和させる効果も期待されています。

ビタミンB12は、レバー、貝類、さんま、にしんなどに多く含まれます。ヒトは腸内で生成できるので不足は起こりにくい栄養素ですが、動物性食品にしか含まれていないので、菜食主義の人はビタミンB12が不足することもあります。

ビタミンB12が不足すると貧血や抑うつが起こることがあるので注意しましょう。

ビタミンBはまとめて摂取するのが効果的

からだに必要なビタミンBは8種類あり、まとめて「ビタミンB群」と呼ばれます。

ビタミンBはお互いに助け合ってはたらくので、自律神経のバランスを整えるためには、1種類のビタミンだけ集中して摂取するのではなく、ビタミンB群をまとめて摂取するのが効果的です。

食品では、レバー、魚、貝類を食べるとビタミンB群が効率よく摂取できます。特にレバーは、ビタミンの宝庫とも呼ばれ貧血を予防する鉄も豊富なので、女性には是非おすすめです。

また、ビタミンB群は水溶性ですぐ尿と一緒に排出されてしまうため、まとめどりをしたり体内に蓄積させることはできません。さらにストレスや活動によっても消耗されるので、毎回の食事から補給することを心がけましょう。

4.【ビタミンC】たっぷりのかんきつ類で心身をリフレッシュ

ビタミンCは、ストレスが原因で自律神経のバランスが乱れてしまうのを防ぐはたらきがあります。

ビタミンCを摂取するためおすすめしたい食べ物
かんきつ類(レモン、オレンジ、ゆず、グレープフルーツなど)

ビタミンCの効能は、美白効果や風邪を予防する効果がおなじみですが、そのほかにストレスに対抗する「副腎皮質ホルモン」の分泌を促進させる役割があります。

果物や野菜に幅広く含まれ、特にパプリカやピーマン、ブロッコリー、いちご、キウイフルーツ等に豊富です。

そして、自律神経のバランスを整えるならば、香りや風味がさわやかなかんきつ類をおすすめしたいです。

かんきつ類はビタミンCが多いだけでなく、リモネンなどの芳香成分にはトレスを解消し、気分を明るくする効果があります。また、あの酸っぱさのもとになるクエン酸は心身の疲労を解消してくれます。

ビタミンのなかでは最も多く必要になる栄養素でもあり、ストレスを感じたり活動したりするたびに消耗していくので、自律神経のバランスを整えるには、こまめに補給するのが効果的です。

また、かんきつ類はデザートやジュース、食事に幅広く使えるので、いち早くストレスを解消したい人、自律神経のバランスを整えたい人のビタミンCの補給源にぴったりな食材といえるでしょう。

5.ナッツ類やアボカドに含まれる【ビタミンE】はホルモンも整える

ビタミンEは自律神経のバランスを整える作用を持ち、自律神経失調症で受診した時にビタミン剤として処方されることがあります。

ビタミンEを摂取するためおすすめしたい食べ物
ナッツ類、アボカド、かぼちゃ

ビタミンEには、血行を促進させて体や脳に十分な酸素と栄養を送り届ける役割があります。また抗酸化作用があり、からだや脳が活性酸素のダメージを受けるのを防ぎ、機能を高めます。

「生殖のホルモン」とも呼ばれるビタミンEは、生殖機能を高め、自律神経と連動してはたらく女性ホルモンのバランスも整えてくれます。

血行が滞っているために自律神経のバランスが乱れて肩こり、冷え性、手足のしびれが起こる人はビタミンEを意識して摂取しましょう。PMSや生理不順の改善にも効果が期待されます。

食品では、植物油、ナッツ類、アボカド、かぼちゃに多く含まれます。ナッツ類やアボカドに含まれる良質の脂質「オレイン酸」は、脳の機能を高めるので、自律神経のバランスを整えるためにも意識して摂取したいです。

6.米ぬかの成分【ガンマオリザノール】は自律神経を整える

ガンマオリザノール(γ-オリザノール)は、米ぬかの脂質に含まれる特有の成分です。

ガンマオリザノールを摂取するためおすすめしたい食べ物
米油

あまり聞き慣れない成分ですが、自律神経やホルモンのバランスを整えたり、うつや不安を改善する効能があります。

実際に、医療用医薬品として、自律神経失調症や更年期障害の不定愁訴、心身症やうつ病の治療薬に処方されています。(大塚製薬「ハイゼット」など)

病院の治療に使われると言っても、食品に含まれる成分なので効き目はおだやかで大きな副作用の心配もありません。

もちろん、病院に行くほどでなく自律神経やホルモンのバランスを整えたい人が、予防的に補給するのもOKです。

ガンマオリザノールが補給できる主な食品には、食用油の「米油」や「米胚芽油」があります。

近年は健康オイルブームのおかげで、スーパーに並ぶ食用油の種類も充実していて、米油はたいていのお店に並んでいます。調理用の油に米油を選択すれば、毎日の炒め物や揚げ物から自然にガンマオリザノールを取り入れていくことができます。

ガンマオリザノールを1日にどれくらい摂取すればよいという基準はありませんが、不定愁訴の軽減には1日に10~50㎎くらい摂取すれば良いとされています。

米油を大さじ1杯摂取すると、30㎎のガンマオリザノールを補給することもできます。(参照…築野食品「食用こめ油」栄養成分 大さじ1杯(14g)当たり)

成人は1日に1日大さじ1杯の油を摂取することが推奨されているので、油の使用量としても問題ない範囲です。また米油にはビタミンEも豊富に含まれています。

生活習慣病を改善する効果も確認されている油ですが、カロリーが気になってあまり油を使いたくない人もいますよね。その場合は、カプセルタイプの製剤を薬局で購入するのも良いと思います。

食べ物でおだやかに自律神経のバランスを整えていきましょう

もちろん1回や2回だけの食事で、自律神経のバランスが急に良くなったり悪くなったりするということはないのですが、毎日の食事の積み重ねは、そのまま心身の調子に反映されていくので、食事の内容を見直すことはとても大切です。

規則正しい食生活を基本に、今回紹介した食べ物をなるべく献立に取り入れ、自律神経のバランスをおだやかに整えていきましょう。

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