ラフマの効果と副作用。女性の心と体をおだやかに整えるハーブ

ラフマは、古くから体の病気を予防するハーブとして親しまれてきました。

さらに近年は、高い抗ストレス作用があることから「心のビタミン」とも称され、悩みの多い現代人を救うハーブとしても効能が期待されるようになっています。

そして、嬉しいことに女性の健康をサポートするときにも役立ちます。

ラフマってどんな成分?ラフマの気になる効果と副作用、どのような人におすすめなのかチェックしてみましょう。

ヤンロン茶で知られるようになったラフマってどんな成分?

羅布麻(ラフマ)は「燕龍茶(ヤンロン茶)」という名前で生活習慣病を予防するお茶が販売されているほか、心をおだやかにする成分としても静かなブームを呼んでいるハーブです。

ラフマってどんな植物?

ラフマは、キョウチクトウ科バシクルモン属の多年草。中国の西部~北西部にある羅布高原に自生しているほか、ヨーロッパ、アジアの砂地、河岸などでみられます。

▼ラフマ

(出典:ラフマ(Luo-bu-ma) – 薬用ハーブ辞典 – 常磐植物化学研究所)

その名前から麻の一種を想像しますが、麻はアサ科アサ属なので、ラフマそのものは麻に近い品種というわけでもありません。茎に豊富な繊維質が含まれ、麻のように布へ加工できることから名前に「麻」という文字が使われています。

ラフマは「紅麻」「沢漆麻」とも呼ばれ、繊維加工品の原料にも使われていますが、薬効が研究され始め、近年は日本でも健康食品として注目を浴びるようになりました。

ラフマの歴史

ラフマは、日本では作物として栽培したり家庭で観賞することがほとんどなく、植物としてはそれほど有名ではありません。原産地の中国ではどのように親しまれてきたのでしょう。

今回紹介するラフマの効能は、葉にあります。ラフマの葉は、中国で古くから、体に良くておいしいお茶になるということで親しまれてきました。ラフマのお茶を愛用している人には長寿が多いとも言われています。

15世紀・明の時代にされた文献「救荒本草」には「沢漆」という名前で、飢饉の際に代用でき茶葉としておいしく飲めることも掲載されています。なんと、すでに数百年前には飲用されていたのです。

そして、羅布高原という所に生育していることから、1952年には羅布麻と命名され、その名前で広く知れわたるようになりました。

また、中国ではラフマに含まれる成分の研究も始まり、1970年代には、医薬品や生薬の規格を示す薬局方「中華人民共和国薬典」に掲載されるなど、ラフマの薬理作用は公的にも認められるようになりました。

ラフマは、中国では医療に用いられることもあります。しかし、日本では医薬品としては認められていないので、あくまでも健康管理に役立てる用途で食品からラフマの成分を摂取することができます。

2つの成分が心と体をサポート!ラフマの効果・効能

実は、ラフマは女性の健康に良いほかのハーブのように女性ホルモンを直接コントロールする作用は持ち合わせていません。

ラフマの場合、葉に含まれるハイペロサイド(ヒペロシド)とイソクエルシトリンの精神安定作用によって、女性ホルモンのバランスを安定させる間接的な効果が期待されています。

ラフマによってストレスを緩和させると、女性に起こりがちな次の症状を改善する効果が期待できるようになります。

  • 月経前症候群(PMS)
  • 自律神経失調症
  • 生理不順
  • 更年期障害
  • 不眠症
  • 抑うつ

ハイペロサイドとイソクエルシトリンはちょっと聞き慣れない成分で、どんな特徴があるのか気になりますよね。

なぜラフマで女性特有のトラブルが改善できるのか、ハイペロサイドとイソクエルシトリンのはたらきについて、少し詳しく説明しておきましょう。

ラフマの有効成分が血流を改善する

食品として扱われているラフマですが、主に葉と根には薬理作用のある成分がしっかり含まれています。

食用・薬用に使うのは葉で、健康効果の期待できる成分では主に次に挙げるものがあります。

  • フラボノイド配糖体(ハイペロサイド 、イソクエルシトリンなど )
  • カテキン類(カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン)
  • クロロゲン酸
  • カリウム

そしてラフマを使った健康食品では、ハイペロサイドとイソクエルシトリンの生活習慣病を予防する効果と精神を安定させる効果が注目されています。

ハイペロサイドとイソクエルシトリンは、体内でフラボノイドの「ケルセチン」に変換され、ケルセチンが持つ血管機能を改善する効果ももたらします。ケルセチンは、玉ねぎに含まれる血液サラサラ成分としてもおなじみです。

ラフマを摂取すると血流が改善し、自律神経のバランスが安定してリラックス効果がもたらされると考えられています。

ラフマの有効成分が抗うつ・抗不安作用をもたらす

また、ハイペロサイドとイソクエルシトリンは、神経伝達物質の「ドーパミン」「ノルアドレナリン」をコントロールし、ドーパミンやノルアドレナリンの異常なはたらきを抑制して抗うつ作用・抗不安作用をもたらすこともわかっています。

この作用により、ラフマを摂取すると精神的なストレスが緩和されてリラックスでき、ストレスが引き起こすホルモンバランスの乱れや抑うつを予防する効果が期待できるようになります。

実験によっても、ハイペロサイドとイソクエルシトリンの抗うつ作用・抗不安作用は確認済みです。ラフマの葉から抽出したエキスについては、動物に用いた抗ストレス性の試験が複数行われています。

ラットを用いて抗ストレス性を比較する「強制水泳試験」において、水槽の中のラットにラフマの葉の抽出物を投与したところ、抗うつ作用を示す可能性のあることが確認されました。

その効果は、三環系抗うつ薬「イミプラミン」に匹敵することもわかっています。また、これらの抗ストレス性はハイペロサイド 、イソクエルシトリンが関連しているものと考えられます。

(参照…米国国立医学図書館 NCBI PMID: 11456130)

高架の通路をマウスに歩かせて不安を抱かせ、抗不安性を測定する試験において、ラフマの葉の抽出物を投与したところ、抗不安作用が確認されました。

また、その効果は抗不安薬「ベンゾジアゼピン」に匹敵することもわかっています。

(参照…米国国立医学図書館 NCBI  PMID: 17101250 )

ストレスを緩和させると女性ホルモンのバランスが安定する理由

ラフマを利用すると、男女ともリラックス効果や気持ちを前向きにする効果が期待できます。また女性は、ストレスが緩和されることで自律神経のバランスが整い、それに伴い女性ホルモンのバランスが安定することも期待できるようになります。

特に、女性は男性よりもストレスが体に反映しやすく、ストレスを受けるとすぐ生理周期や体調に影響を受けてしまうので、女性にとってのストレスはまさに大敵ともいえます。

これは、女性の脳の仕組みに理由があります。自律神経をつかさどる視床下部と女性ホルモンを分泌させる下垂体が近くにあり、ストレスで自律神経が刺激を受けると視床下部と一緒に下垂体も反応し、ホルモンがスムーズに分泌できなくなってしまいます。

その結果、女性ホルモンのバランスが乱れ、女性特有のトラブル(生理不順、PMS、月経困難症など)が起こりやすくなってしまうのです。

女性は毎月のリズムを整えるためにも、なるべくストレスの影響を受けないよう、日頃からストレス管理を心がけることが大切です。

とは言え、ストレスを上手に解消できる人は良いのですが、いったん自律神経や女性ホルモンのバランスが乱れてしまうと、ポジティブに体調を立て直すこともなかなか難しくなってしまいます。

このようなときは、ゆっくり休養することも必要ですし、あわせて健康食品を取り入れてセルフケアで体と心をサポートすると、さらに効果が期待できるようになります。

生活習慣病だけじゃない!ラフマが持つさまざまな効果効能

そのほか、ラフマはフラボノイド配糖体やカテキン類などの薬理作用によって、次のような健康効果をもたらすこともわかっています。

  • 血圧を低下させる
  • コレステロールを抑制し、動脈硬化を予防する
  • 抗菌作用があり、虫歯や風邪を予防する
  • むくみを予防する
  • 咳や喘息を緩和させる
  • 肝機能を保護する
  • 老化を予防する

ラフマに含まれるフラボノイド配糖体、カテキン類、クロロゲン酸は、抗酸化作用を持つ健康成分でおなじみの「ポリフェノール」の一種です。

ポリフェノーを摂取すると、体内に発生する「活性酸素」を除去することで、活性酸素が細胞を傷つけて体の老化や病気を引き起こすのを予防する効果が生まれます。特に期待されるのは、生活習慣病、がんの予防、アンチエイジング効果です。

また、ハイペロサイドとイソクエルシトリンが血管機能を改善し、ラフマに豊富に含まれるカリウムに血圧上昇を防ぐことから、ラフマ茶は高血圧を予防するお茶として知られます。

そのほか、コレステロールや中性脂肪を抑制し善玉コレステロールを増やす効果があることもわかっており、ラフマ茶を継続して飲むと高血圧、高脂血症、動脈硬化を予防する効果が期待できるようになります。

また、フラボノイドやカテキン類には抗菌作用があり、口の中や喉の粘膜に付着したウイルスを殺菌し、虫歯や風邪の予防にも役立ちます。

マウスを使った実験により、ラフマには、フラボノイドの肝臓を保護する機能、老化をもたらす細胞の酸化を抑制する効果があることもわかっています。

カリウムは利尿作用があり、体内の余分なナトリウムと一緒に水分を排出させ、むくみを予防します。生理前は黄体ホルモンの作用でむくみやすいのですが、PMSの症状が強く出てむくみが気になる人にも、まさにラフマはおすすめです。

ラフマは目立つ存在ではありませんが、このようにさまざまな効果効能を持っている実力派のハーブなのです。

ラフマを摂取できるヤンロン茶とサプリがおすすめな人

ラフマは食材として流通していないので、利用する場合は、健康食品を利用するのが一般的です。

生活習慣病を予防したい人は、手軽に入手できるヤンロン茶がおすすめ。体にやさしくノンカフェインでミネラルも豊富なので、お子様からお年寄り、カフェインを取りたくない人も一緒に家族で楽しむことができます。

また精神的なストレスが気になる人は、ラフマの成分がしっかり配合されているサプリメントの利用をおすすめします。

特にラフマのサプリメントがおすすめな人
  • おだやかにホルモンバランスを整えたい人
  • PMSや生理時のイライラやむくみが気になる人
  • ストレスや不安の強い人
  • 不眠症の人

ラフマは、GABA(ギャバ)や月見草オイル、チェストツリーなど女性の体調を整える成分と一緒に摂取すると、より効果が高まります。

ちなみに、ラフマは繊維加工品にも健康効果があるとされ、ラフマの繊維を織り込んだ寝具には咳や喘息を緩和する効能も期待できるのだそうです。ラフマは体の内側からも外側からも役立つハーブなのですね。

ラフマを飲んではいけない人、気になる副作用について

気になるのがラフマの安全性、副作用です。

ラフマは医薬品ではないので、メーカーの指示を守って適量を摂取する場合は、大きな副作用を起こす心配なく利用することができます。

ハイペロサイドとイソクエルシトリンは抗うつ作用・抗不安作用を持ちますが、抗うつ薬や抗不安薬とは作用機序が異なるので、病院で処方される薬のような副作用の心配もありません。

また、特定保健用食品に指定されているヤンロン茶は安全性が確認されているので、どなたでも安心して利用することができます。

ただしサプリメントのラフマは、副作用として腹部不快感、吐き気、胃痛、下痢など起こる可能性も示唆されています。

これは、ラフマの葉が消化器の粘膜を刺激することもあるためです。軽度の副作用ですが、サプリメントの服用後にこれらの症状がみられたら服用は中止します。

サプリメントの場合、小児と妊婦の安全性ははっきり確認されていないので、メーカーの指示に従いましょう。

また、ラフマの葉は食用できますが根は食用できません。ラフマを含むバシクルモン属の植物は、根に「強心配糖体」を含み、それが有毒になる場合があるためです。

強心配糖体は薬にも毒にもなる成分で、心臓疾患の薬に配合され慢性心不全の予防に用いられます。ただし適量を超えて摂取すると、急性中毒を起こす可能性があるので、バシクルモン属の植物を入手しても根まで使ってはいけません。

…ちょっとコワイ話をしてしまいましたが、もちろんの葉に毒性はないので、安心して健康食品をご利用ください。

おだやかなメンタルハーブで心も体もいきいき

ラフマは、しっかりした薬効を持ちながら体におだやかに作用するメンタルハーブです。

受診するほどではないけど、心の不調、PMSや生理時のイライラや落ち込みが切ないときってありますよね。こんなときには、ラフマのフマのサプリメントを試してみてはいかがでしょう。

また、いつもと違う不調が長く続く場合は、周りの人に相談したり受診したりして、原因を解決されることをおすすめします。

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