ロキソニンの効果と副作用。生理痛や生理にともなう頭痛への威力は?

「ロキソニンS」は、第一三共ヘルスケア株式会社が販売している解熱鎮痛剤。発売開始は2011年と、ほかのメーカーのブランドと比べてもかなり新しいです。

にもかかわらず、発売開始の2011年にはいきなり解熱鎮痛剤の市場で売上トップに躍り出て、それ以降も変わらない人気を保ち続けています。売り場でも目立っているので、ロキソニンS派じゃない人も気になるのではないでしょうか。

生理痛や生理時に起こる頭痛に効くロキソニンSの特徴、選び方をチェックしてみましょう。

薬局で買えるロキソニンSってどんな薬?特徴・有効成分をご紹介

第一三共ヘルスケア株式会社の解熱鎮痛薬「ロキソニン®S」シリーズは、錠剤「ロキソニンS」のデビューに始まり、現在は計3種類の製品を販売しています。

▼ロキソニンSシリーズ
ロキソニンSシリーズ商品イメージ

  • ロキソニンS
  • ロキソニンSプラス
  • ロキソニンSプレミアム

ロキソニンSの最大の特徴は、病院で処方される「ロキソニン」と成分や量が「基本的に同じ」薬というところです。

違いは、製品名に「S」がつくところ、錠剤の表面に縦線と刻印がついているところ、使い方(市販薬として3日間程度の服用にとどめるところ)で、それ以外はまったく同じです。

ロキソニンSの特徴・人気を集めている理由を詳しく見ていきましょう。

ロキソニンSの特徴 病院で処方されるロキソニンの「スイッチOTC医薬品」

「ロキソニンS」は次に挙げる特徴をもっています。

  • 抗炎症・解熱・鎮痛作用のすぐれたロキソプロフェンを配合
  • 飲みやすい小型錠
  • 病院のロキソニンと同じ処方のスイッチOTC医薬品で効き目はたしか

ロキソニンSのラインナップは、シンプルな処方の「ロキソニンS」と、ロキソニンSに補助成分を配合した2つで構成されています。

ロキソニンS(第1類医薬品)

製品名 1回分のコスト 特徴
ロキソニンS 54円 眠くならない
胃にやさしいプロドラッグ製剤
ロキソニンSプラス 58円 眠くならない
胃を保護する成分を配合
ロキソニンSプレムアム 106~108円 鎮痛作用が高い
胃を保護する成分を配合

※1回分のコストは、メーカー小売価格(税抜)を参考に算出したもの

そして、すべての製品には、医療用のロキソニンと同じ成分量のロキソプロフェン水和物68.1㎎が配合されています。

病院で処方される消炎鎮痛剤のロキソニンは、整形外科や外科で炎症や痛みを止めるために使われている抗炎症・鎮痛作用にすぐれた薬。外用薬や内服薬に、幅広くもちいられています。

その効き目はたしかなのですが、かつては市販薬(=OTC医薬品)の中には、ロキソプロフェンを配合した同じタイプの解熱鎮痛薬は存在していませんでした。

そのロキソプロフェンを配合し、病院の処方薬ロキソニンに代わるOTC医薬品として画期的なデビューを果たしたのがロキソニンSというわけです。

ロキソプロフェンとはどんな薬?副作用は起こりにくいけど存在する

ロキソプロフェンは、市販の解熱鎮痛薬に使われる「非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)」の一種。痛みを引き起こす「プロスタグランジン」の過剰なはたらきをおさえ、すみやかに痛みをしずめます。

ロキソプロフェンは、解熱鎮痛剤の中でも速く効いて抗炎症・鎮痛作用が高く、副作用も起こりにくいところが注目されています。

ロキソニンと対比されることの多い消炎鎮痛薬に、医療用の「ボルタレン」があります。ボルタレンはロキソニンより効き目の強い成分ですが、市販薬では湿布や塗り薬などの外用薬だけが存在し、内服用の解熱鎮痛薬はまだ出まわっていません。

そのため現在のところは、OTC医薬品の解熱鎮痛成分の中で最も速くよく効くのはロキソプロフェンと考えられています。

ただし、ロキソプロフェンには弱点もあります。胃の粘膜を保護するプロスタグランジンのはたらきまで抑制するため、副作用で胃腸障害を引き起こしすことがあるのです。これは、多くのNSAIDが抱える問題です。

ロキソニンSシリーズは、こういったロキソプロフェンの特性を生かし弱点をカバーする工夫がなされているので、自分に合ったロキソニンSを選ぶことで、より快適で安全に使用することができるようになっています。

そのほかの有効成分の特徴と副作用

ロキソニンSシリーズの製品に配合されている有効成分には次に挙げる3つがあります。

成分名 効能
酸化マグネシウム 胃酸を中和し胃を保護する
アリルイソプロピルアセチル尿素 心身の鎮静作用がある
ロキソプロフェンの効果を高める
無水カフェイン 倦怠感を取り除く
血管を収縮させ、頭痛をやわらげる
ロキソプロフェンの効果を高める
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 胃酸を中和し胃を保護する

これらの成分はロキソニンンSの補助成分として、鎮痛作用を高めたり体にかかる負担をやわらげたりする目的で配合されています。

続いて、各製品の特徴と選ぶ時のポイントを説明していきます。

初めての人にはベーシックなロキソニンSがおすすめ

ロキソニンSは、ロキソニンのスイッチOTC医薬品として、最初に発売された製品です。

▼ロキソニンS
ロキソニンS商品イメージ

ロキソニンSの基本情報

成分 / 成分量 ロキソプロフェンナトリウム水和物 68.1mg
(無水物として60mg)
1回量 / 服用回数 1回1錠 / 1日2回まで
(症状があらわれた時は1日3回まで)
年齢 成人(15歳以上)
包装・価格(税抜) 12錠 648円

ロキソニンSには、次の5つの特長があります。

  1. 痛みに速く効く
  2. プロドラッグ製剤で胃の負担が少ない
  3. 眠くならない
  4. 1回1錠でよく効く
  5. 小型の錠剤で飲みやすい

ロキソニンSの成分はシンプルですが、ロキソプロフェンの量は医療用のロキソニンやほかのロキソニンSの製品とまったく同じなので、その中で鎮痛作用が劣ることはありません。

よく効いて眠くならないので、仕事や学校のある日にも安心して使えますね。

「プロドラッグ製剤」というのは、作用の強い薬が体になるべく副作用を起こさないよう、プロドラック化(成分が効き終わってから体に作用させる)した薬のこと。

ロキソニンSはこのプロドラック化により、ロキソプロフェンが胃腸を刺激する時間がなるべく短くなるように配慮されているので、胃の負担が気になる人も安心です。

ロキソニンSはこんな人におすすめ
  • ほかのメーカーの薬で効き目に物足りなさを感じている人
  • ロキソニンSを初めて試す人
  • 眠くなるのが困る人

ただ、胃にかかる負担はおさえられていますが、胃腸の弱い人が服用すると胃が荒れることもあるので、服用後に吐き気や胃の不快感が起こった場合は服用を控えることをおすすめします。

また、普段から胃が痛くなりやすい人は、ロキソプロフェンの作用が強すぎる場合もあるので、胃を保護する成分が配合された薬または胃に作用しないアセトアミノフェン系などの薬を選ぶと安心です。

ロキソニンSに胃へのやさしさが加わったロキソニンSプラス

ロキソニンSプラスは、ロキソニンSに続き2015年から発売されている薬です。

▼ロキソニンSプラス
ロキソニンSプラス商品イメージ

ロキソニンSプラスの基本情報

成分 / 成分量 ロキソプロフェンナトリウム水和物 68.1mg
(無水物として60mg)
酸化マグネシウム 33.3mg
1回量 / 服用回数 1回1錠 / 1日2回まで
(症状があらわれた時は1日3回まで)
年齢 成人(15歳以上)
包装・価格(税抜) 12錠 698円

ロキソニンSプラスには、次の5つの特長があります。

  1. 痛みに速く効く
  2. 胃を保護する成分として酸化マグネシウムを配合
  3. 眠くならない
  4. 1回1錠でよく効く
  5. 小型の錠剤で飲みやすい

ロキソニンSプラスの効き目の強さはロキソニンSと同じですが、胃酸を中和して胃の荒れを防ぐ酸化マグネシウムがプラスされ、より胃にやさしい処方に改善されています。

しかも、ロキソニンSと比べても効果がプラスされながら1回分のコストがそれほど変わらないので、手に取りやすい薬かと思います。

ロキソニンSプラスはこんな人におすすめ
  • 胃にやさしいロキソニンを使いたい人
  • 眠くなるのが困る人

ただ、胃に負担をかけにくい処方になっていますが、続けて服用すると胃が荒れやすくなるので、胃の弱い人は注意しましょう。

ロキソニンSに胃へのやさしさが加わったロキソニンSプレミアム

ロキソニンSプレミアムは、2016年に発売されたロキソニンSシリーズ最上位の薬。ロキソニンSシリーズの中で最も成分数が多い「プレムアム処方」が売りです。

▼ロキソニンSプレミアム
ロキソニンSプレミアム商品イメージ

ロキソニンSプレミアムの基本情報

成分 / 成分量 ロキソプロフェンナトリウム水和物 68.1mg
(無水物として60mg)
アリルイソプロピルアセチル尿素 60mg
無水カフェイン 50mg
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 100mg
1回量 / 服用回数 1回2錠 / 1日2回まで
(症状があらわれた時は1日3回まで)
年齢 成人(15歳以上)
包装・価格(税抜) 12錠 698円 / 24錠 1,274円

ロキソニンSプレミアムには、次の4つの特長があります。

  1. 鎮静成分のアリルイソプロピルアセチルを配合
  2. 鎮痛効果を助ける無水カフェインを配合
  3. 胃を保護するメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを配合
  4. 小型で飲みやすい

アリルイソプロピルアセチルと無水カフェインは、鎮痛作用を効きやすくする作用があります。鎮静成分のアリルイソプロピルアセチルは不安やストレスをやわらげ、緊張によって強くなりがちな痛みをしずめてくれます。

また、酸化マグネシウムより効果の高いメタケイ酸アルミン酸マグネシウムが配合され、胃にかかる負担もさらに軽減されています。

ロキソニンSプレミアムはこんな人におすすめ
  • 辛い生理痛にしっかり効く薬が欲しい人
  • 胃にやさしいロキソニンを使いたい人

ロキソニンSプレミアムは、1回分のコストも効き目もまさにプレミアムなレベルの薬ですが、配合される成分が増える分、副作用のリスクも少し高くなってしまいます。

アリルイソプロピルアセチルが原因で眠気が起こる、人によっては胃に負担がかかってしまう、といった副作用に注意が必要です。また、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムは、下痢、便秘、口の渇きなどの副作用を起こす可能性もあります。

ほかのロキソニンSシリーズと異なり、アリルイソプロピルアセチルが配合されることで酔い止めの併用ができなくなることも頭に入れておきたいです。使用の際は、添えつけの説明書を確認してください。

ロキソニンSシリーズの注意事項・副作用について

ロキソプロフェンは解熱鎮痛成分の中では作用が強い分、副作用を起こすリスクも少し高くなっている薬です。安全に使うため、特に次に挙げる注意事項や副作用のリスクについて、しっかり把握しておかなければなりません。

解熱鎮痛剤に共通する一般的な副作用・使用上の注意に関しては、【比較】生理痛に効く市販薬。あなたにはどの解熱鎮痛薬が合う?で紹介しています。

次の人はロキソニンSを使うことができないので注意してください。

  • 15歳未満の人
  • 妊婦(出産予定日12週以内)
  • 消化性潰瘍にかかったことのある人
  • 解熱鎮痛剤でぜんそくを起こしたことのある人
  • 血液の病気がある人
  • 消化性潰瘍・腎臓病、心臓病、肝臓病の治療を受けている人

「第1類医薬品」に分類されている薬です。薬剤師・登録販売者のいるお店で情報提供を受け、注意事項や一般的な副作用についてよく把握したうえで購入してください。薬剤師の情報提供を受けていない人が、家族の常備薬を借りるときには注意が必要です!

ロキソニンを服用する際は、なるべく症状のあるときだけ、3~5日間の使用にとどめます。もしも服用後に体調の変化がみられた場合はすぐ使用を中止して、医師か薬剤師に相談してください。

生理痛がつらい人の味方、ロキソニンS!薬剤師のいるお店で購入を

生理痛がつらい人、痛みを強く感じやすい人には、病院でもらえる薬と効き目が同じレベルのロキソニンSがおすすめです。

ただ作用の強い薬なので、痛みがそれほど強くない場合には「第2類医薬品」に分類されるおだやかな製品を選ぶこともおすすめします。

ロキソニンSはあくまでも痛み・炎症・発熱を一時的にしずめる目的の薬です。機能性月経困難症(異常がないのに痛みが強くなる症状)や歯痛・外傷痛のように、原因がはっきりわかっている強い痛みにロキソニンSを選ぶのが上手な使い方です。

病気やケガを治す効能は持っていないので、子宮内膜症や子宮筋腫などが引き起こす強い痛みは、ロキソニンSを服用しても改善されません。しばらく服用して強い痛みが治まらない場合はすぐに使用を中止し、受診されることをおすすめします。

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