生理痛の薬が効かない!2つの理由と、市販鎮痛剤を効かせるポイント
生理痛がつらくて鎮痛薬を飲んだのに、一向に痛みがおさまらない…これは本当にガックリしてしまいますよね。
痛みを止める薬なのに効いてくれないのはなぜなのでしょうか?それには、大きく分けて2つの理由がありました。
鎮痛剤の特性や生理痛(月経痛)が起こるメカニズムを理解すると、その理由が納得できます。
生理痛に鎮痛剤が効かない理由について、また生理痛を早く楽にするために鎮痛剤とはどう付き合えばよいのかについて説明していきます。
鎮痛剤を飲んだのに生理痛がおさまらないのはなぜ?
鎮痛剤(解熱鎮痛剤)は、痛みを感じさせるもとをブロックして痛みをしずめる薬です。
市販の鎮痛剤は服用して30分くらいたつと効き始め、数時間のあいだ、あの痛みから女性を解放してくれます。生理痛には欠かせないアイテムですよね。
ところが、薬を飲んでも痛みが消えなかったり、薬を飲んでしばらくしてすぐ効き目が切れてしまうこともあります。
頼りにしていた鎮痛剤が効かなかったときは、いらだたしいような、心細いような、なんともいえないつらい気持ちになりますよね。
鎮痛剤が効かないのは、次のような理由があるためなのです。
- 鎮痛剤が効かない理由
-
- 薬を飲むタイミングが合っていない
- 生理痛が強すぎる
どんなときに鎮痛剤が効かなくなるのかを理解し正しく薬とつきあえば、薬が効かなくて困ることもなくなります。
では、どうすれば鎮痛薬でしっかり生理痛を抑えることができるのか、それぞれの理由ごとにチェックしてみましょう。
鎮痛薬が効かない理由:薬を飲むタイミングが合っていない
実は、同じ鎮痛剤でも薬を飲むタイミングによって、薬がよく効いてくれたり、あまり効かなかったりすることがあるんです。
鎮痛剤は生理痛が始まったらなるべく早めに飲むのがコツ。そうすれば薬がよく効いて痛みをしっかりしずめることができます。逆に生理痛が強くなってから鎮痛剤を飲んでも、痛みはなかなかおさまりません。
このようなことが起こるのは、鎮痛剤が痛みをしずめるメカニズムが関係しています。
市販の鎮痛剤はプロスタグランジンを抑えて痛みを止める薬
市販の鎮痛剤は、痛みを起こす「プロスタグランジン」という物質の産生を抑えることで、痛みが起こらないようにする薬です。
プロスタグランジンは、ケガや病気をした時に痛みや炎症を起こす物質。一見、悪者に見えますが、体の機能を維持するために欠かせない物質でもあり、生理の時に子宮を収縮させて経血を外に押し出す重要な役割も持っています。
そして、生理になってプロスタグランジンが産生されても、通常は生理痛は強くならないのが正常だと言われています。
ところがプロスタグランジンは一度産生されるとどんどん産生される場合があり、生理時にプロスタグランジンが大量に放出されると、子宮の収縮が強くなって下腹部に強い痛みを感じるようになってしまうのです。
痛みが強くなるとプロスタグランジンが抑えきれなくなってしまう
生理痛が強くなっている時には、すでにプロスタグランジンが大量に放出されています。そのため、市販の鎮痛剤が持つ一定の力ではプロスタグランジンを抑えきれなくなり、薬を飲んでも痛みが残ってしまいます。
多くの人は生理開始から1~2日目に強い痛みを感じていますが、皆さんはどのタイミングで鎮痛剤を飲んでいますか。
「鎮痛剤は、痛みがピークになって我慢できなくなったら飲む」という人は、残念ながら鎮痛剤の効果があまり発揮されていなかった可能性がありますね。
プロスタグランジンが少ないうちに鎮痛剤を飲むのがポイント
生理痛に気づいた時点ではまだプロスタグランジンの量は少なく、痛みはそれほど強くありません。
生理痛が始まったときに鎮痛剤を飲めば、プロスタグランジンの量が少ないのですぐに痛みをしずめることができ、生理痛が強くならず快適に過ごすことができるようになります。
生理痛に限らず、鎮痛剤で抑えることのできる痛み(頭痛や筋肉痛など)も同じことが言えます。「来たな。」と思った時に鎮痛剤を飲むのがベスト。
タイミングを間違えるとせっかく飲んだ薬が台なしになってガッカリなので、ぜひ覚えておいていただきたいです。
生理痛が毎月ある人、仕事が忙しくて生理痛があっても体をゆっくり休めることができない人は、生理が来た時にすぐ鎮痛剤が使用できるよう、バッグやお財布の中、デスクの引き出しなどに鎮痛剤を携帯しておくと心強いです!
鎮痛薬が効かない理由:生理痛が強すぎる
「市販の解熱鎮痛剤を正しいタイミングで使っているはずなのに薬が効かず、毎月の生理がつらい」という人は生理痛が強すぎて、市販の鎮痛剤では痛みを抑えきれていない可能性があります。
ほとんどの人が、生理痛に市販の解熱鎮痛剤を使って生理を乗り切っていますが、中には市販の解熱鎮痛剤が効かないほど生理痛が強い人もいます。
解熱剤には病院で処方されるものと市販の鎮痛剤があり、市販の鎮痛剤は病院で処方される鎮痛剤よりも効き目がおだやかになっています。
もし毎月の生理痛が市販の解熱鎮痛剤で抑えられないようならば、婦人科を受診して、市販の解熱剤より効き目の強い薬を処方してもらうことも考えましょう。
病院で処方される薬とは?
生理痛の緩和には、主に消炎鎮痛剤の「ロキソニン」「ボルタレン」などが処方されます。どちらも鎮痛作用の高い薬なので、市販の薬では効きにくかったという人も効果が期待できます。
生理痛がつらい人には、消炎鎮痛剤の中で効き目が最強ともいわれるボルタレンが処方されるかもしれません。
ロキソニンは同じ処方のものが市販薬で購入できるようになっていますが、ボルタレンは病院でしか入手できないので、市販薬が効かない人は病院に相談している価値はあります。
また、日常生活に差し支えるほど生理痛が強い状態は「月経困難症」と呼ばれ、病院の治療が必要になる場合もありますが、鎮痛剤にくわえ、生理を軽くするためのホルモン療法や、不安を軽くするための「抗不安薬」が投与されることもあります。
若い女性は生理痛を強く感じやすい
月経困難症の9割以上は、検査をしても異常が見つからず、鎮痛剤で痛みが対処できればあまり心配いらない「機能性月経困難症」です。
機能性月経困難症は、子宮の発達が未熟だったり、子宮口(子宮の出口)が狭く開きにくくなっているために起こりやすくなっています。経血を押し出そうとするときに子宮が強く収縮するために痛みが強くなりやすいのです。
10~30代の若い女性に多く、体が成熟してきたり出産を経験すると子宮口が開きやすくなって自然と生理痛がなくなることがほとんどです。検査をしてこれ以外の異常がなければ、あまり心配する必要はありません。
また若い女性は、生理に対する不安や緊張も手伝って余計に痛みを強く感じ、日常生活に差し支えるほど生理が重くなってしまうこともあります。この場合も市販薬だけで対応するより、婦人科を受診して話を聞いてもらったり、鎮痛剤と一緒に抗不安薬を処方してもらったりするのが安心です。
市販薬がまったく効かない場合は病気が原因かも
「市販の鎮痛剤を正しく使っているはずなのにまったく効かない」という人は、何らかの病気が原因で「器質性月経困難症」を起こしている可能性が考えられます。
生理痛が強く次のような症状のある人は、早めに婦人科で検査を受けることがすすめられます。
- 鎮痛剤を飲んでも痛みが消えない
- 鎮痛剤の効き目がすぐ切れてしまう
- 経血量が多い
- 経血にレバー状のかたまりが混じる
- 貧血がある
- 以前に比べ、生理痛が強くなってきている
- 性交痛や肛門痛(肛門にひびくような痛み)を感じることがある
- 生理日以外に痛みや出血がある
器質性月経困難症の原因で最も多いのは「子宮内膜症」です。鎮痛剤を飲んでも効かないくらいの激しい痛みやかたまりの混じった経血が特徴。放置すると重症化するので早く受診して、ホルモン療法、手術など適切な治療が必要になります。
このほか、子宮筋腫、子宮腺筋症、ホルモンの異常などが月経困難症の原因になっている可能性があります。
薬が効きにくい人、それはNG行為かも!?鎮痛剤の正しい使い方とは
鎮痛剤の選び方、使い方が正しくないと、薬の効果が得られなかったり思わぬトラブルが起こったりしてしまいます。
生理のときに必ず鎮痛剤のお世話になるという人は、適切な選び方、使い方をチェックしておきましょう。
効かない場合はほかの薬に替えてみよう
基本的に市販の鎮痛剤の効き目は、どれも大きな差はないといわれます。ただ、体質や体調によって人それぞれ、よく効いてくれるものとあまり合わないものがあるので、効かない場合はほかの鎮痛剤に替えてみるのもひとつの手です。
解熱鎮痛成分は作用の強さが異なります。比べると次のような順になるといわれているので、成分の強さで解熱鎮痛剤を買い替えるのもおすすめです。
ロキソプロフェン>イソプロピルアンチピリン>イブプロフェン>アセトアミノフェン・アスピリン
ただし、作用の強い成分ほど副作用のリスクが高くなるので、薬剤師に相談の上、効き目と体へのやさしさのバランスが良い薬を選ぶことをおすすめします。
▼市販薬でどれがいいのか迷ったら、この記事を参考にしてみてくださいね。
【比較】生理痛に効く市販薬。あなたにはどの解熱鎮痛薬が合う?
また補助成分として鎮静成分が配合されている解熱鎮痛剤は、早くよく効くだけでなくリラックス効果があるので、ストレスや緊張の強い人は鎮静成分が配合されているタイプを選ぶのも良いでしょう。
ただし、副作用の眠気に注意してください。
▼眠気が起こらない成分でできている市販の解熱鎮痛薬はこちらで紹介しています。
眠くならない生理痛薬はこれ!各シリーズで成分を徹底比較
生理痛を予防するためには使わない
痛くない時に薬を飲むのはNG。痛くないのに生理前から薬を飲んでおいて生理痛を予防することはできません。痛みを感じてから「すぐ」飲むようにしましょう。
クセにはならないので我慢せずに薬を飲もう
「鎮痛剤は飲み続けるとクセになって、だんだん薬が手放せなくなる」と、痛くても鎮痛剤を使わずに我慢して過ごす人もいます。
解熱鎮痛剤に依存性はないので、飲み続けてもクセになることはないので、我慢せず適切に薬を使うことをおすすめします。
ただし、病院の中だけで使われる強い鎮痛剤は麻薬系なので、こちらは依存性があります。市販の解熱鎮静剤には配合されることのない成分なので、市販の薬は安心してを使ってください。
薬は噛んだり中を割ったりしてはいけない
チュアブル錠(噛んで服用するタイプの錠剤)以外の錠剤やカプセルは、噛み砕いたり中を割ったりしてはいけません。
噛んだり中を割ったりすれば早くよく効くわけではなく、食道や胃に炎症を起こす可能性があるだけなので、そのまま飲むようにしましょう。
薬の形や大きさは、薬が体に吸収される時間を計算して作ってあるので、そのまま飲めば効果をきちんと発揮してくれます。
服用回数、量は必ず守る
鎮痛剤が効きにくい場合でも、追加で薬を飲んだり、規定より短い間隔で次の薬を飲んだりしてはいけません。大量の成分を体内に取り込むことになり、思わぬ副作用を起こす可能性があります。
薬が効かなかった場合は、体を休めたりお腹を温めたりして次の服用時間まで待つようにします。また、決められた回数、量でいつも生理痛が楽にならない場合は、病院を受診することがすすめられます。
飲み続けても痛みが消えない場合は受診を
痛みが長く続く場合は鎮痛剤を飲み続けるのをやめ、病院を受診しましょう。
市販の鎮痛剤は、長期間の連用が認められていません。メーカーや製品にもよりますが、説明書にも3~5日間くらいの短期間の使用にとどめるよう注意書きが記載されているはずです。
通常の生理痛ならば、鎮痛剤を飲めば1週間以内には痛みが消えるはずなので、鎮痛剤をしばらく飲み続けてもまだ痛みが残る場合は、ほかの原因を疑って受診されることをおすすめします。
市販薬・病院の薬を上手に使って生理痛にサヨナラしよう
生理痛に鎮痛剤が効かない理由として、意外にも薬を飲むタイミングが関係していたこと、また生理痛が強すぎると市販の鎮痛剤では効きにくいことがお分かりいただけたと思います。
最後に、生理痛を鎮痛剤でしっかりおさえるためのポイントをおさらいしておきましょう。
- 「鎮痛薬は生理が来た時にすぐ飲む」が速くよく効くコツ
- 市販の鎮痛薬が効きにくければ、病院の薬をもらうことも考えて
- 寝込むほどつらい「月経困難症」は、病気が原因の可能性もあるので早めに受診を
- 市販の鎮痛薬は自分に合った薬を選び、正しい方法で安全に使いましょう
薬と上手につき合って痛みをコントロールし、毎月の生理を快適に過ごしてくださいね。