黄体ホルモンを整える食べ物5つ。生理不順やPMSが気になる人へ


黄体ホルモンは女性特有の生殖機能である妊娠に欠かせないホルモンです。今は妊娠の予定がない人でも、いざ子どもを授かりたいと思ったときのために、黄体ホルモンのバランスを整えておきましょう。

生理不順や生理前の不調が気になる人は、黄体ホルモンが乱れているかもしれません。

食べ物に含まれる栄養素でホルモンの分泌をサポートし、おだやかに黄体ホルモンを整えていきましょう。

黄体ホルモンを整える栄養素、食べ物を厳選して紹介していきますので、一緒にチェックしてくださいね。

黄体ホルモンを整える効果が期待できる栄養素

黄体ホルモン(プロゲステロン)は、いわゆる「妊娠を助ける女性ホルモン」で、排卵後から分泌が活発になることで子宮内膜を厚くして、体を妊娠しやすい状態に導きます。

もうひとつの女性ホルモン「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と常にバランスを取りあいながら分泌を続けているのですが、なんらかの原因で脳の下垂体や卵巣の機能が乱れると、黄体ホルモンがスムーズに分泌できなくなってしまいます。

もしも黄体ホルモンが不足すると、子宮内膜が厚くならず妊娠しにくい状態になります。逆に黄体ホルモンが多くなると、ホルモンの作用が強くはたらいて生理前に「月経前症候群(PMS)」と呼ばれる心身の不調が出やすくなってしまいます。

こうしたホルモンバランスの乱れは、ストレス、不規則な生活習慣、栄養の偏った食生活が原因で起こることが多いので、生活習慣や食生活を改善して体調を整えると、黄体ホルモンの分泌も次第に安定するようになります。

ホルモンは食べ物に含まれる栄養素を材料に分泌されているので、生理不順やPMS症状が気になる人は、黄体ホルモンを整える食べ物を意識して食事に取り込むと良いでしょう。

黄体ホルモンを整えるために摂取したい主な栄養素は次の4つです。

▼黄体ホルモンを整える作用のある栄養素

栄養素 はたらき
ビタミンE
  • 女性ホルモンの分泌を促進させる
  • 血行を促進させる
ビタミンB6
  • ホルモンの分泌に必要な補酵素の材料になる
  • 月経前症候群(PMS)を予防する
ビタミンC
  • ストレスに対抗する力をつける
  • 抗酸化作用がある
葉酸
  • ホルモンの分泌に必要な補酵素の材料になる
  • 子宮内膜を厚くする

黄体ホルモンを整えたい人は、栄養バランスのとれた食生活を基本に、これら4つの栄養素は特に意識して摂取するように心がけましょう。

ホルモンバランスを整える作用があると言われる食品はたくさんあるのですが、ここでは黄体ホルモンを整える栄養素が効率よく摂取できる食べ物を厳選して紹介していきたいと思います。

レバーは栄養の宝庫!女性におすすめしたい栄養がいっぱい

レバーはビタミン、ミネラルの宝庫です。レバーが苦手な女性は多いようですが、まさに女性ホルモンに必要な栄養素がたっぷり含まれている食品なので、意識してレバーを食べていただきたいと思います。

レバーから摂取できる主な栄養素
  • たんぱく質
  • 亜鉛
  • 葉酸
  • ビタミンB6
  • ビタミンC

動物性食品のレバーには、体を作る材料として欠かせないたんぱく質が豊富に含まれています。たんぱく質をしっかり補給すると、ホルモンを分泌する下垂体や卵巣に栄養が行き渡り、黄体ホルモンをスムーズに分泌することができるようになります。

さらに、レバーは同じ動物性食品の肉よりも低カロリー・低脂肪なので、ヘルシーなたんぱく源としてダイエット中の女性も安心して食べることができます。

また、レバーはさまざまなビタミンがバランスよく含まれ、特に葉酸やビタミンB6をはじめとするビタミンB群が豊富です。これらビタミンB群はホルモンの分泌に必要な補酵素の材料になり、黄体ホルモンの分泌をスムーズにしてくれます。

レバーの良いところは、複数のビタミンBがまとめて摂取できる点です。体内でビタミンB同士がお互いに助け合ってはたらくので、ホルモンを分泌する効果がより発揮されやすくなります。

鉄や亜鉛は女性に不足しがちなミネラルなのですが、鉄が不足すると貧血や血行不良による冷え症、亜鉛が不足するとホルモン不足が起こりやすくなるので、レバーで鉄や亜鉛を効率良く摂取したいです。

ほとんどの女性が毎月の生理で経血と一緒に鉄を損失し、貧血または体内の鉄が不足している状態になっています。日頃からレバーやあさりなど鉄の豊富な食品をどんどん食べるようにしましょう。

ちなみに女性がレバー1食分(50g)を食べると…

鶏レバーで、1日に必要な葉酸の2.7倍
豚レバーで、1日に必要な鉄の60%と亜鉛50%
牛レバーで、1日に必要なビタミンB6の38%

を簡単に摂取することができます。

▼レバー1食(50g)あたりの栄養価

栄養素 牛レバー 豚レバー 鶏レバー
エネルギー(kcal) 66 64 56
たんぱく質(g) 9.8 10.2 9.5
鉄(mg) 2.0 6.5 4.5
亜鉛(㎎) 1.9 3.5 1.7
ビタミンA(μgRAE) 1100 6500 7000
ビタミンB6(mg) 0.45 0.29 0.33
ビタミンC(mg) 15 10 10
葉酸(μg) 500 405 650

参照…文部科学省「日本食品標準成分表2015(七訂)」

ただ、レバーを食べるときは、動物性のビタミンA(レチノール)の過剰摂取に注意が必要です。成人女性に推奨される1日あたりのビタミンA摂取量は650~700μgRAEですが、レバーは1食分で1日あたりの摂取推奨量を超えています。

過剰摂取したビタミンAは体内に蓄積されやすく、長期にわたって大量摂取すると肝臓障害や妊娠中の胎児の障害を引き起こす可能性が出てきてしまいます。

栄養豊富といってもレバーばかり食べ続けるのだけはやめましょう。レバー料理を1日一皿食べるくらいの適量なら問題はありません。

また「どうしてもレバーが苦手」という人は、赤身の牛肉や鶏肉からビタミンやミネラルを補給することもおすすめします。できれば国産のお肉を食べましょう。

冷凍室に常備したい枝豆は葉酸もたっぷり

枝豆は緑黄色野菜に分類され、豆野菜とも呼ばれますが、完熟していない大豆を収穫した物なので大豆とほぼ同じすぐれた栄養価を持っています。

枝豆から摂取できる主な栄養素
  • たんぱく質
  • 葉酸
  • 亜鉛
  • 大豆イソフラボン

枝豆は、大豆と同様にたんぱく質、鉄、ビタミン類を豊富に含むほか、大豆よりは少ないものの「大豆イソフラボン」が含まれているので、卵胞ホルモンと黄体ホルモンのバランスを整える効果を期待することができます。

枝豆の栄養価で注目したいのは、葉酸が野菜や果物の中でもトップクラスの含有量を誇っているところです。

▼葉酸の含有量が多い食品

植物性食品 葉酸の含有量
(μg/100g)
動物性食品 葉酸の含有量
(μg/100)
えだまめ 260 鶏レバー 1300
モロヘイヤ 250 すじこ 160
ほうれんそう 210 卵黄 140
ブロッコリー 120 うずら卵 91
アボカド 84 ほたて貝柱 81

参照…文部科学省「日本食品標準成分表2015(七訂)」

葉酸は女性ホルモンの分泌を促進させ、高温期に子宮内膜をしっかり厚くする、妊娠していなければきちんと生理を起こす、といった正常な生理周期をもたらす役割があります。

それだけでなく葉酸には、妊娠初期の胎児の神経を正常に成長させ、先天性の重篤な障害(神経管閉鎖障害)を予防する重要な役割があることから、妊娠の可能性がある女性は葉酸を十分に摂取することがすすめられています。

将来妊娠する可能性を持つ女性は、1日400㎍を目安に葉酸を摂取する習慣を身につけたいです。

葉酸は加熱によっていくらか消失する成分ですが、枝豆はさやごと茹でることで葉酸が流失しにくく葉酸が効率良く摂取できる食品となっています。また旬の夏以外でも冷凍食品で一年中食べられて便利なので、ぜひ冷凍室に常備されることをおすすめします。

高温期に食べてほしい!低脂肪・低カロリーの魚、鮭

鮭(サーモン)は、身に含まれる色素「アスタキサンチン」に抗酸化作用のあることがよく知られています。美白やアンチエイジングにも良いのですが、女性ホルモンを整える効果も期待することができます。

鮭から摂取できる主な栄養素
  • たんぱく質
  • ビタミンB6
  • 亜鉛
  • DHA・EPA
  • ビタミンD

鮭は、低脂肪・低カロリーな白身魚(身のピンク色はアスタキサンチンによるもの)
で、ホルモンを分泌するために必要なたんぱく質、ビタミンB6、亜鉛などの栄養素が豊富に含まれています。

DHA・EPA、ビタミンB6には黄体ホルモンをコントロールする作用があり、ビタミンDは、PMSの症状を緩和させたり受精卵の着床率を高めたりする作用があることも知られています。

なお魚では、マグロやカツオなどの赤身魚にもビタミンB6、亜鉛、鉄が豊富に含まれています。

近年はお寿司のネタでも、マグロよりサーモンのほうが人気も高くなっているのだそうですね。鮭は値段も手ごろでさまざまな料理にも使いやすいので、特に高温期には鮭を食べるのも良いと思います。

ビタミン豊富で卵巣機能を助けるピーマン

ピーマンやパプリカ(赤ピーマン・黄ピーマン)は、ビタミン類が豊富です。苦味や青臭さがあるので、ときおり大人でもピーマンが苦手という人を見かけますが、女性ホルモンのサポートに役立つので食べないのはもったいないですよ。

パプリカから摂取できる主な栄養素
  • ビタミンC
  • ビタミンE
  • カロテン

ピーマンやパプリカの栄養価で注目したいのは、黄体ホルモンのバランスを整えるビタミンCやビタミンEが豊富なところです。

ビタミンCはホルモンバランスを乱すストレスに対抗し、ビタミンEは生理不順や生理痛を改善します。

赤ピーマンはレモン果汁の3.4倍、ピーマンは1.5倍のビタミンCが含まれます。赤ピーマンは、特にビタミンEやカロテン(ビタミンAの前駆体)も豊富です。

また、ビタミンA・C・Eは一緒に摂取することで強力な抗酸化作用をもたらすので、赤ピーマンを食べると、ビタミンA・C・Eが効率良く摂取でき、抗酸化作用によって卵巣機能の劣化を防ぐ効果も期待できるようになります。

選ぶなら赤いパプリカがおすすめですが、もちろん緑色のピーマンや黄色、オレンジ色のパプリカも同じ効果が期待できるので、使い分けながらサラダや炒め物などに幅広く取り入れると良いでしょう。

アボカド好きな女性は得してる!でも脂質には注意

アボカドは、サラダやわさび醤油で食べたりスムージーにしたり、また最近は種までローストして食べる方法がすすめられるなど、楽しみ方が広がっている食品です。

良質の脂質が豊富に含まれ、マグロのトロを思わせるコクが特徴ですが、栄養価も高く女性ホルモンを整える効果が期待できます。

アボカドから摂取できる主な栄養素
  • ビタミンE
  • 亜鉛
  • ビタミンB6
  • 葉酸

ただし、アボカド1個のカロリーは約190kcal、脂質は約19gとカロリーも脂質も多いので、あまりダイエット向きではなく食べ過ぎには注意が必要です。ほかの食品とのバランスを考えながら適量を食事に取り入れるのがコツです。

アボカドが食べられない方は、かぼちゃやアーモンドからビタミンEを補給しても良いでしょう。

黄体ホルモンと一緒に卵胞ホルモンのバランスも整えましょう

黄体ホルモンは卵胞ホルモンとバランスを取りあってはたらいているので、どちらかだけを整えるのではなく、両方の女性ホルモンを整えていくことが大切です。

また、排卵がスムーズに起こらなければ、排卵の済んだ卵胞から黄体ホルモンがしっかり分泌されないので、排卵を起こすためにも卵胞ホルモンの分泌をきちんと整える必要があります。

卵胞ホルモンを整える食べ物については、女性のエストロゲンを整える食べ物で紹介していますので、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。

黄体ホルモンを整えるには、サプリメントやホルモン剤を使う方法もあるのですが、まずは食べ物の力でおだやかにバランスを整えることをおすすめします。

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