【グラフでみる】生理周期で変化する女性ホルモンと基礎体温
女性の体調は生理周期の影響を受けて変化し、そのサイクルは「月経期」「卵胞期」「排卵期」「黄体期」の4つに分けることができます。
生理周期を作っている女性ホルモンは、女性のからだに素晴らしい機能をもたらしてくれるホルモンです。
しかし「月経前症候群」という用語が知られるように、生理前などホルモンバランスの乱れやすい時期には、不快な症状を引き起こすことが多くなってしまいます。
女性のからだは、生理周期にあわせてどのような変化がみられるのでしょうか。生理周期を構成する「月経期」「卵胞期」「排卵期」「黄体期」の特徴をチェックしてみましょう。
生理周期によって変化する女性ホルモンの分泌と基礎体温
女性は10歳ごろに初潮が来てから50歳ごろに閉経をむかえるまで、生理が周期的に繰り返されます。
生理周期を作っているのは、卵巣から分泌される2つの女性ホルモン「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」です。
女性ホルモンは、下垂体から分泌される2つの性腺刺激ホルモン「卵胞刺激ホルモン」「黄体化ホルモン」とも連携をとりあって周期的に分泌量を変動させ、排卵や生理を起こすことで毎月の規則正しいリズムを作ります。
「生理周期」は、生理が始まった日から次の生理が来る前日までの期間のことで、1周期分の生理周期を見てみると、女性ホルモンと性腺刺激ホルモンは次のように大きく変動していることが分かります。
(出典:生理周期・期間や体の変化など、生理の仕組み-生理用品のソフィ)
生理がある女性の体温は生理周期に合わせて変化する、という特徴があります。
起床時時など活動を始める前に測定した「基礎体温」を約1周期分間測定してみると、前半は低温、後半は高温が続きます。ホルモンが正常に分泌されている場合、その差は0.3℃以上開き、折れ線グラフで表すときれいな二相に分かれます。
(出典:基礎体温で妊娠や健康状態も分かる!正しい見方-生理用品のソフィ)
基礎体温のリズムを作っているのは、女性ホルモンの体温を上げたり下げたりする作用です。
このほかにも女性ホルモンにはたくさんの作用があり、女性にうれしい恩恵をもたらす半面、不快な症状を引き起こしてしまうことが少なくありません。
そのため、1周期の間で女性ホルモンのバランスが大きく変動するに伴い、調子の良い期間と調子の悪くなりやすい期間が自然とうまれます。
一般に、1周期はからだの変化や基礎体温の変化にあわせて、次の4つのサイクルに分けられます。
月経期 | 生理開始から1~6日目ごろ |
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卵胞期 | 生理開始から7~11日目ごろ |
排卵期 | 生理開始から12~14日目ごろ |
黄体期 | 生理開始から15~28日目 |
生理周期は個人差があり、正常な生理周期は25~38日間とされています。標準的な生理周期は約28日とされているので、この記事では28日周期をモデルに説明を進めていきたいと思います。
それぞれの期間にみられる特徴、ホルモンバランスが女性のからだと心にどのような変化をもたらすのかについて、詳しく説明していきましょう。
生理中はちょっとひと休み…月経期に起こるからだと心の変化
生理開始から約7日間は「月経期」と呼ばれます。
- 月経期の特徴
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- ホルモンバランス…どのホルモンも分泌量が減少する期間
- 体温…生理開始と同時に体温が下がり、低温が続く
- 生理中のため、からだも心も不調になりがち
生理が来る前は、妊娠の可能性にかけて黄体ホルモン・卵胞ホルモンの分泌が高まり、赤ちゃんのベッドになる「子宮内膜」という組織が厚くなっていました。
妊娠が成立しなかった場合は黄体ホルモンと卵胞ホルモンの分泌量が減少します。すると、その刺激で子宮内膜がはがれ落ち、血液と一緒に子宮の外に排出されます。これが生理です。
基礎体温は、体温を上げる黄体ホルモンが大幅に減少するため、黄体期に高くなっていた体温が生理開始と共に一気に低くなります。
月経期のほとんどは生理中なので、生理に伴って生理痛、眠気、吐き気などの不快な症状が続き、どちらかというと、からだも心もどんより沈みやすい時期になります。
また、からだと心の健康を保つ卵胞ホルモンがあまり分泌されないことから、肌荒れ、ニキビ、むくみ、倦怠感、イライラなども起こりやすくなります。
- 月経期を快適に過ごすには
- 生理中は、生理痛や貧血など生理に伴う不調が起こりやすい時期なので、あまり無理をせず、休養をとってゆっくり過ごすのがおすすめです。貧血予防とホルモンバランスの改善のため、鉄の多い食事をとりましょう。
また卵胞ホルモンが少ないために肌の機能が低下しているので、肌荒れやかぶれが起こりやすくなります。月経期は肌に刺激を与えるカラーリング、パーマ、脱毛は控えましょう。
お肌も心も絶好調!卵胞期に起こるからだと心の変化
生理開始から6~11日目のころ、ちょうど生理の終わるころから1週間くらいは「卵胞(らんぽう)期」と呼ばれます。
- 卵胞期の特徴
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- ホルモンバランス…卵胞ホルモンの分泌が高まる
- 体温…月経期と同じように低温が続く
- からだ、心、肌の調子は絶好調!
生理が終わるころ、卵胞刺激ホルモンが卵巣を刺激することで卵巣の中にある卵胞の成長が始まります。それに伴い卵胞ホルモンの分泌も高まって、子宮内膜が厚くなり始めます。
基礎体温は、黄体ホルモンの分泌量が少ないために体温が上がらず、月経期に引き続き低いのが特徴です。
卵胞期は、1ヵ月の間でもっとも不調が少なく、快適に過ごせる時期にあたります。
からだと心を健康に保つ卵胞ホルモンがたっぷり分泌されるので、その恩恵を受けて髪や肌がしっとりして美しくなり、女性らしさが増します。また情緒が安定するのでイライラしなくなり、前向きな考え方をすることができるようになります。
男性から見ても魅力的に見えるようになり、まだ女性も排卵前は卵胞ホルモンの作用で性欲が高まるので、異性への興味が高まり、恋愛のチャンスが多くなる時期ともいえます。
- 卵胞期を快適に過ごすには
- 不調が少なく、快適に過ごすことができる時期です。
卵胞ホルモンのおかげで前向きな気持ちになれるので、アクティブに活動したり、何かを始めたりするのも適しているでしょう。食欲が安定しているので、ダイエットも成功しやすい時期です。
肌の機能が高まってるので、カラーリングや脱毛などをしてもトラブルが起こりにくくなっています。美容院やエステに行くならこの時期がおすすめです。
受精のチャンス到来!排卵期に起こるからだと心の変化
生理開始から12~14日目のころは「排卵期」と呼ばれます。名前の通り、排卵が起こる時期です。
- 排卵期の特徴
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- ホルモンバランス…卵胞ホルモンの分泌量が減り、黄体ホルモンの分泌が高まり始める
- 体温…排卵日を境に、体温が一気に上がる
- おりものが増えます。人によっては軽い腹痛を感じることも
生理開始から14日たったころには、少しずつ成長していた卵胞が成熟をむかえます。卵胞ホルモンの分泌量もピークに達し、その刺激で黄体化ホルモンが分泌され、排卵が起こります。
卵子の出ていった卵胞は、黄体化ホルモンのはたらきによって「黄体」と呼ばれる組織に変わり、黄体ホルモンを分泌し始めます。
このように排卵後から黄体ホルモンの分泌が始まるため、黄体ホルモンの影響で排卵日を境に基礎体温が急上昇します。
基礎体温のグラフを見てみると、折れ線は排卵日のあたりで体温が一段と下がり、排卵日が谷のようになる場合があります。
これは、卵胞ホルモンに体温を下げる作用があり、排卵日のあたりで卵胞ホルモンの分泌量が最も増えることが影響しているといわれます。ただし、体温への反映のしかたは個人差があるので、必ずしもその通りにならなくても問題はありません。
排卵期のからだの変化には、おりものの増加、軽い腹痛や少量の出血などがあります。
特に、排卵の2~3日間前後は、どろっとしたおりものが増えるのが特徴です。排卵日のあたりにおりものが増えるのは、受精を助けるためだと考えらえています。
卵子はとても小さいので、排卵するときには痛みなどの感覚を伴わないのがほとんです。ただし感覚には個人差があるので、痛みに敏感な人は、排卵が起きた側の下腹部に軽い痛みをおぼえることもあります。
また排卵日を境に2つの女性ホルモンの分泌が大きく変化することから、ホルモンバランスが不安定になって、少量の出血や軽い下腹部痛が起こる人もいます。
- 排卵期を快適に過ごすには
- 排卵日の付近でおりものが増えるので、おりものが不快な人はおりものシートを使ったりショーツをこまめに替えたりして清潔な状態を保ちましょう。
排卵日の2日前後は妊娠しやすくなっているので、妊娠または避妊を希望している人は、基礎体温や体調をしっかり観察してこの期間の過ごし方を考えましょう。
排卵日のころに起こる出血や腹痛が強い場合、何日も続く場合はホルモンバランスの乱れや排卵に伴う卵巣の炎症が原因になっている可能性があるので、婦人科を受診しましょう。
また排卵後に卵胞ホルモンの分泌量が減るため、人によっては情緒が不安定になることもあります。ホルモンのバランスが乱れやすい時期なので、リラックスを心がけホルモンバランスの安定につとめましょう。
最もトラブルが多い時期…黄体期に起こるからだと心の変化
生理開始から15~28日目のころは「黄体期」と呼ばれます。
- 黄体期の特徴
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- ホルモンバランス…黄体ホルモンが活発に分泌される。ホルモンバランスの乱れに注意が必要
- 体温…高温が続く
- もっとも不調の起こりやすい時期。月経前症候群(PMS)が起こりやすくなる
黄体から分泌される黄体ホルモンは、妊娠を助ける役割があり、卵胞ホルモンと共に子宮内膜を厚く柔らかくして、受精卵が着床しやすい状態を作ります。
黄体ホルモンは体温を上げる作用があるので、黄体ホルモンの分泌量が増えることで体温の高い状態が続くようになります。
また、黄体ホルモンがからだを妊娠にふさわしい状態に保とうとはたらき、栄養や水分をためこもうとするので、いつもより食欲が亢進したり体がむくみやすくなったりします。
生理前に胸が張りやすいのも、黄体ホルモンが母乳を分泌する準備として、乳腺を刺激して発達させることが原因になっています。
個人差はありますが、この時期は黄体ホルモンの分泌が活発になって体調に変化が起こること、卵胞ホルモンと黄体ホルモンのバランスが乱れやすいことから、からだと心にはさまざまな不調が起こりやすくなります。
黄体期に起こるさまざまな不調を「月経前症候群(PMS)」といいます。その症状は200種類以上もあるといわれ、黄体期にはそれらの症状が複数あらわれます。
- PMSの主な症状
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- 下腹部痛
- 乳房の張りや痛み
- 眠気または不眠
- イライラ・不安など心の不調
- ニキビ
- 吐き気・食欲不振など消化器の不調
- むくみ
- 過食
- 頭痛・肩こりなど体の痛み
PMSの特徴は、からだの不調だけでなく心の不調が起こりやすいところです。
女性は生理前になると、理由もなくイライラ・不安・抑うつなどの症状が出やすくなりますが、これは情緒を安定させる卵胞ホルモンのバランスが乱れることが原因とされています。
PMSは特定の病気というわけではありません。ただし不快な症状は生活の質を低下させてしまうので、きちんと予防・改善することが必要だといわれています。
- 黄体期を快適に過ごすには
- ホルモンが持つ作用の悪い一面がからだと心に大きく影響し、1か月の中で最も不調が起こりやすくなります。
規則正しい生活やストレス緩和を心がけ、ホルモンバランスの安定につとめましょう。
からだが水分や栄養をため込もうとする時期なので、ダイエットをしてもあまり成果が得られません。この時期のダイエットは結果を焦らず、少しペースを落としましょう。
黄体ホルモンの影響で甘いものが無性に食べたくなったり過食に走ったりして、体重が増加しやすいので、食欲に任せて食べるのではなく栄養バランスの良い食事を心がける必要があります。
黄体ホルモンの分泌がきちんとできていないと、月経前困難症や黄体機能不全が起こりやすくなります。
生理不順や生理前の不調が気になる人は、基礎体温を測定して折れ線グラフがきれいな二相になっているか確認してみるとよいでしょう。
黄体期に体温が上がっていなければ、黄体ホルモンのバランスが乱れていることが考えられるので、婦人科を受診することをおすすめします。
生理前の不調を改善する対策について詳しくは関連記事で説明しています。
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生理周期にあわせた過ごし方を心がけ、快適な毎日を手に入れましょう
女性は、ホルモンバランスに翻弄され、元気の出ない日、ブルーな気持ちになりやすい日を経験することが多いかもしれません。
しかし4つのサイクルの特徴を把握し、体調に合わせた過ごし方を心がけるようにすれば、今まで感じていた不調は起こりにくくなるはずです。
今まで生理周期のサイクルをあまり気にせずに過ごしてきた人は、これからは生理周期を意識してスケジュールや生活習慣を調整してみてはいかがでしょう。
女性ホルモンがもたらす自然なリズムにフィットした生活を送ることで、より快適な毎日が過ごせるようになると思います。